地上とゆう世界
歩きながらリファエルは思う。
つくづく此処は天界とは違うのだなと。
頭上に広がる物は青く彩られ白いものが漂っている。
神たちの集う神殿のような建物もなく、何よりも天界に多く存在する神々の姿や多く群がる天使たちの影すらも感じられない。
地上とはこんなにも広い場所なのだろうか、今までなら常にともにあったはずの神や天使の力とか存在を一切感じられないことに違和感を抱いていた。
この肉体のせいなのだろうか、それまでの時間や距離など考えるまでもなかった自身の存在とは随分違うものにされてしまったのだと改めて思った。
確か大地と呼ばれていたはずの物を踏みしめリファエルは歩き続ける。
永遠の存在や広大な力とは無縁で空虚で殺風景とも思われる地上界を物珍しく見回しながら。
やがて辺りは装いをかえ、見通しのよい緑色のものが足元になびく場所から、色々と見通す事の叶わなくなってしまったリファエルの視線を妨げるかのような物が立ち並ぶ場所へと変わっていった。
何も動かず喋らないそんな物の間の中、リファエルが歩み続けてゆくと、始めて動き喋る物の姿を遠目に確認する。
自分と同じく二本の足で歩む姿をみてリファエルは、これが噂に聞いていた人と云うものだなと思い、興味深くそれへと向かい歩くことにした。