大人の役目
少し小高い丘の上。ここが俺の一番気に入っている場所だ。
青い空。一面に広がる広大な草原。俺にゃどうも不釣り合いな景色だが、ここへ来ると心が休まる。
俺はタバコを咥え、草むらに座り込む。
フーッと煙を吐くと、何気無く空を見上げた。
白い雲が空を流れていく。心が洗われるようだ。
……そういえば、あのガキどもに出会ったのも、こんな晴れ晴れとした日だったな。
威勢だけは良くて。そのくせ弱い。
あぁ、懐かしいな。なんて思っちまうのは、あの頃に戻りたいって気持ちがあるからだろう。
「あー……ダメだ。どーも性に合わん。」
思い出話は後にしよう。本当に平和になってから。あいつらは無茶しすぎるからな。俺たち大人が守ってやんねーと。
俺はスッと立ち上がると、いつもの場所へ歩き始めた。
「子供を守るのは大人の役目ってか。……一体誰がそんなこと言ったんだっての。……まぁ、いっか。」