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夜明け(1)


 魔法心理研究所から帰宅すると既に時刻は21時を過ぎていた。


 途中まではジェシカが一緒にいた気がしたのだが、途中ではぐれてしまい、それ以降姿は見ていない。


 ――まあ、いいか。


 薄暗い自室の中でベッドに横たわりながら、僕は瞼を閉じた。


 視界は闇に包まれ、何も見えなくなる。


 11月10日、11日、12日――


 ウェストミンスターホテル――


 屋上で襲われた警備員――


 庭園に落ちた警備員――


 不手際の多い事件現場――


 警備室の構造――


 そして行方知れずの警備員――


 アンドレ・マクハーシュという人物についてはもちろん調べてみた。


 警備会社を辞めた後の行方を誰も知らず、警備会社に申告していた緊急連絡先にも電話してみた。


 だが、つながらなかった。


 あの事件があった以降、三人目の警備員は消えてしまった。


 一人死んで、一人消えた。


 だから、わからない。一体、クラウディアが襲ったのはどちらだったのだろう?


 警備のシフト表によると10日に警備にあたる人物はアンドレ・マクハーシュだった。


 僕は前回の裁判で監視カメラの映像は日付が違うと主張した。僕の仮説が正しいのであれば、クラウディアは11日ではなく10日にホテルに現れたことになる。


 だったら、襲われるのはアンドレ・マクハーシュではないのか?


 なぜ、11日に警備をする予定のハル・アンダーソンが死ぬ?


 何かがおかしかった。


 僕は監視カメラの映像を見た。あの映像を見る限り、襲われたのはハル・アンダーソンだった。



 実は10日に警備にあたったのはアンドレではなくハルだったのだろうか?


 なんでそんなことをする?二人は面識があったのか?いや、仮に面識があったとして、なぜわざわざ入れ替える?


 もしも事前にシフトの予定を入れ替えるのならば、それは彼らが所属する警備会社に許可を入れないといけないのでは?


 警備室の監視カメラの映像を管理するためには厳重なセキュリティをかいくぐってエレベーターに乗り、3階に行かないといけない。


 たとえ正規の警備員であったとしても、その日のシフトに入っていない者は3階にはいけない。


 つまり……シフトを変更するのであれば警備会社に連絡し、エレベーターを使用できるように許可をもらう必要がある。


 だが、そんな許可を警備会社は出していない。


 ならば、やはりあのときシフトの入れ替えはなかったと考えるべきでは?



 ……ったく、頭が混乱しそうだ。


 わからないことはある。結局、クラウディアに封筒を届けたのは誰なんだ?


 一番怪しいのは、黒い森の中にあった廃墟の住人。


 あそこにはかつて誰かいたはずなんだ。怪しいというのであれば、その住人がもっとも怪しい。


 だが、怪しい人物はただ怪しいってだけで、それ以上は何もわからない。


 唯一わかったことといえば、その住人はここ十年間はあの廃墟に近づいていないということだ。


 もしも最近あの廃墟にやって来たのであれば、フィルム式カメラだけでなくデジカメ対策の魔法も仕掛けていたはずだし。


 そして一番の謎はやはり、これか……


 僕はカバンから水晶玉を取り出す。琥珀色に輝くその水晶玉を手にとって、光にかざしてみた。


 なんだろう、これ?ケイトは知っているのかな?


「……あれ、一個足りないな」


 確か水晶玉は二個あったのだけど、どこにいったんだろう?


 ――まあいいか。同じものは二つもいらない。裁判に持ってきてほしいと言われたが、二個全部必要とは言われていないし。


 それに、この水晶玉はもともと三個あったようだしな。最初から一つ足りない。


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