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魔術と精霊と属性




 言ってやったはいいが、魔王の額にピシリと青筋が。

 そういや彼って召喚した本人なんだっけ?じゃあ魔術とか使いたい放題?


 私は手に持っていたカレー鍋の蓋をサッと構える。

 鍋の蓋をナメんなよ!RPGでは防御率高いレアアイテムな事が多いんだかんな!




「………ッチ」




 しかし相手は攻撃してくるでもなく言い返してくるでもなく、舌打ちだけ溢すと乱暴に腕をほどいた。そしてクッキリと手形がついてしまっている私の腕を見ると顔をしかめる。





「…それは悪かった」





 ……へぇ。


 悪いと思った事はすぐ認めるようだ。ただのツンデレではないらしい。よしよし、許してやろう。

 寛大な気持ちで頷きながら鍋の蓋を下げる。と、脳天にドゲムッと衝撃が走った。


 痛みはそこまでないが舌を噛みそうになったぞ!


 見れば眉間に皺を寄せたアスナが私にチョップをした体勢で言ってのけた。




「悪かったが、口で言えばいいものを攻撃するな」


「あんただって今攻撃したじゃん!」


「私のは反撃だ」




 屁理屈!


 チョップは私、異世界人の特権だろうよ。何で反撃されるんだ。

 頭を押さえて唸り声を上げるとラスナグが間に入ってきた。どうやら収拾をつけるらしい。




「ハナ様。相手に注意なさるのはいいですが、手を出してはなりません。危険です」


「う」



「アスナも。反撃とはいえ女性に手を上げるのはよくない」


「む」




 そうだよ。ツンデレさんなんだからほだしていけばいいんだよね。そうすれば今回の事だって後日反省するはず。今に見てろ!

 互いに顔を背ければラスナグが大きくため息を着いた。が、何やら少しだけ目が面白そうだと語っている。




「ラスナグ?」


「ああ、すいません。大抵の方はアスナの目線が怖いとかで正面切って喧嘩を売る事は無かったんですが…」




 私が見事やってのけたぞ。

 まぁ…でも王様の臣下である人に向かって啖呵きれる人間はいないだろう。私だってここが異世界じゃなきゃ我慢するし。そういえば名前は聞いたけど二人の職業とか聞いてないや。




「二人はお城に住んでるの?」


「ええ。俺は騎士団第二隊長で城の園内にある隊員寮の一室で住まわせて頂いてます。アスナは王族専門の魔術師ですので、城の一室に」


「やっぱ位は高いんだねぇ」




 陛下に案内するなんて庶民は無理か。




「そういえば…さっきから陛下の名前結構上がってるけど、何で召喚した場所にいなかったの?あそこで話した方が早いと思うけど」




 二度手間でしょ?と問いかければなんとも言えない空気が流れた。あれ?



「…これを言ったらハナ様は憤慨するかもしれませんが…」


「ん?」




「召喚術、というのは高度な魔術でして、呼び出すものを精密に理解して召喚するんです。ですから、今回未知のものを呼び出すのは初めての事だったので陛下は別室にお待たせしました」


「呼び出すのを『カレーを知る言葉を話すもの』とだけ設定したからな。何が呼び出されるか分からなかった。一応神々の食べ物だと言われていたから出てきたものがどんなものであっても敬意を払うよう心掛けたが」




 え。

 じゃあ私容姿や雰囲気が神々しいとかじゃなくとりあえず怒らせないようにしとこうぜ的な女神呼びだったの?!




「私異世界人だけど人間だし!女神って呼ばれるような容姿でもないし力もないけど得体の知れないものじゃないよ!」



「面白く、可愛らしい方ですよね」


「騒がしく乱雑な女だ」




 ラスナグ微妙だよその評価。珍妙とも聞こえるよ。そしてアスナ、ツンデレとはいえ腹立つな。

 しかし危険ではないと認識されてるのは有り難かった。剣突きつけられたり魔術でぶっぱなされたりはしたくないしね。

 なのであえて評価に反論せず全く違う事を聞いてみた。




「召喚術といい魔術師といい神官といい、この世界には魔術があるんだよね?」


「そうですね。ハナ様の世界にはないんですか?」


「ないねぇ。歩きがてら教えてくれる?」


「いいですよ。でも俺が答えるより専門であるアスナが話した方が分かりやすいかと…」


「…話せばいいんだろう、話せば」




 ラスナグの困った目線に仕方ないというようにアスナが説明を始めた。意外だ。





「この世界には精霊が存在する。火、水、風、土が主だが、細かく分ければ数百とあるだろう。だが人が操れる、契約出来るのはこの四種類だけだ。私達はこの世に生まれた瞬間精霊の加護を受ける。それにより火は赤、水は青、風は緑、土は茶と瞳の色が変化する」


「俺は水の精霊で青、アスナは火の精霊なので赤です。魔力の強さは個人で違うので、強ければ強い程瞳の色に深みが増します。そしてパッと見て何の精霊の守護を得ているか分かるように、この大陸では髪の一部を染めるんです」





 目とメッシュの色が同じなのには理由があったのね。確かに他の人もメッシュあったなぁ…精霊の加護とかカッコいい。私の目は黒から変化してないらしいので加護はない。残念。




「じゃあ魔術は、その属性のものしか使えないの?」


「そうですね。他の属性の魔術は精霊が嫌がりますので、使えたとしても本来の十分の一程しか威力はないでしょう」


「へ~そうなるとちょっと不便だね」


「近頃は属性を纏った魔術用具も増えた。他属性の他人を呼び大掛かりな魔術を行う機会など滅多にない。不便という程もないが…確かに召喚術は大魔術。王の許可を貰い数人ほどの属性別魔術師や神官が必要となる」


「え?アスナが私を召喚したんじゃないの?」


「大本は私だが、他もいる。私の後ろで膝まずいていた奴等も国に属する魔術師や神官だ」




 ほうほう。

 あれ?でも生まれつき精霊がつくなら全員魔術師なのか?でも魔力の強さに違いがあるって言ってたから極めた人だけ魔術師??でも神官もって話だし…うーん今一この世界の常識が分からないなぁ…。



 もう少し質問してみたかったが、通路が終わりを告げご立派な扉の前で立ち止まった。どうやら目的地に到着らしい。



 ラスナグがゆっくりと扉を開けた。




魔術の話。分かりにくかったらすいません…。

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