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恋愛フラグ?





 突然の感謝の言葉と行動に見事頭が真っ白になった私は、




「イエイエ、ドウッテコトナイデスよ」




 と不思議な片言で返すしかなかった。


 な、何だ?今何が起こった?手にチューを…あぁ、でもラスナグは騎士だからお礼に手の甲にキスとか常識かもしれない。そうだよ、私が慌てる必要ない。平常心平常心…。

 しかし顔は熱いまま。赤くなった自覚もあるので彼に背中を向けた。これ、何か普通にキスされるより恥ずかしいんですけどっ。




「ハナ様、ミアが戻ってきたようです」




 一人照れている間に冷静なラスナグが遠くを見ながら告げてきた。

 あまりに普通に言うものだから、やっぱり挨拶みたいなものだったのかと結論付け振り返る。




「ミアさん、おかえ…」




りなさい。と続けられない。

 彼女は黙々とこちらへ歩いてきている。背負っているジャガイモの魔物ごと。


 意識がないのか死んでいるのか、ただ引きずられている姿は何やら哀愁漂うシュールな図だ。

 そして五メートルくらいありそうなのに、軽々と運んでくる彼女が怖い。




「ミア=ラゴナッティ、無事任務を果たしました」




 ラスナグの足元に膝まづき、私の視線に照れた様子で目を反らす彼女。

 何処が照れポイントなのか分かりません。


 そんな私の混乱を他所に二人は話し合うとジャガイモを調べる。あれ、蔦がまだ動いてない?




「ハナ様。ジャガイモは気を失っているだけなので、カレーにどの部位が必要なのか教えてくれますか?」


「え。生きてるの?」


「森に恵みを与えますので、どの部位によっては放そうかと」




 キャッチ&リリースか。


 確かに埋められる危険はあるけど命の危機はない魔物だもんね。

 納得した様子を見せて私はソレに目を向ける。長い蔦の先にはゴロゴロと目的のものが。うん、一回り大きいけど、私の知ってるジャガイモだ。


 味も一緒か確認したいから、少し多めに持っていって別の料理を作ってみるかな。




「この根っこについてる茶色の実みたいなのが欲しいんですよ。大きいから…まぁ、十個くらい?」


「…この魔物の卵を?」




 ………種みたいなものだと思おう。


 若干引きつった笑みで頷いてみせればミアさんとラスナグがもぎってくれる。それを持ってきていた布に丁寧にくるむと、「帰りましょう」と担いで歩き出した。

 私は手ぶらでいいらしい。慣れない山道だから、有り難く持って貰うことにした。



 そして隊員が待っているだろう帰路につくとそこには…変な畑が出来上がっていた。





「たいちょ~」


「隊長、助けてくださいー」


「うっ、土が目に入って…」


「俺トイレ行きてーよぉ」





 嘆く隊員達は、一人残らず見事地面に埋まっていた。

 こりゃよい収穫日になりそうだわ…。











**














 何とか全員掘り出して城に辿り着く。夕日が目に染みるわぁ…。


 手や顔やら露出している部分はラスナグの魔法で洗わせてもらったけど、衣服は全部泥だらけ。

 勿論私だけじゃなく全員だ。


 ラスナグはやっぱり私が掘り出し作業をするのにいい顔をしなかったけど、無理にやった。いいんだよ、変な達成感あるから。

 流石に泥だらけの体をどうにかしようという事になり解散。私もフィノアにお願いしてお風呂に入らせて貰おう。




「何ですかこの汚れ具合は?!!」




 そして部屋に入ったとたん絶叫された。いやぁ…やっぱ酷い?




「ちょっと色々あって。ごめんね、オニューの服こんな汚しちゃって」


「それは構いませんが…ああ、ハナ様のお髪もボサボサ…お風呂でしたら用意が出来ております。今すぐ入浴してきてください」


「うん、ありがとう」




 それは有難い。着替えを取りに行って参ります、とフィノアが退室している間に汚れた服を脱ぎ纏めておくと浴室へ。

 無駄にだだっ広い素敵お風呂ですよ。多分学校の教室くらいはあると思う。一人で入浴は初めてだったので嬉しい。


 ピンクの濁ったお湯からは薔薇に似たいい香りがする。

 私は一通り体の汚れを落とすと湯船に浸かった。




「ふぃー…ゴクラクゴクラク」




 なんとも年寄り臭いセリフを吐くと足を揉む。

 絶対明日は筋肉痛だからね。軽度で済むようにしておかないと。



 しかし今日は大変だったな。ジャガイモが魔物なのは度肝を抜いたけど…あんなに大きいとは思わなかったし。崖から落ちるわミアさんは性格変わるわラスナグも…なんかアレだったし。


 思い出しても恥ずかしい。ドラマとか漫画とかでは見たことあったし、さぞイケメンにされたら幸せだろうとニヤけたりもしていた。実際ニヤけるどころじゃなかったが。




「うーん…」




 湯から出した己の手の甲をじっと見てみる。そこまで、私が意識することじゃないとは思うんだけど…。






 私、もしかしたらラスナグの事好きなんだろうか?






 顔も性格も申し分無い有力物件ではある。嫌われては…いないみたいだし。

 でも昔付き合っていた男にあんな事されたらドン引きな気がする。

 顔、顔か。やっぱり顔が原因か。




「美形は得ってことか。いい思いしたって事にしとこう。ラスナグもいちいち意識されちゃ面倒だろうし」




 モテるんだろうなー本当、羨ましい限りだ。


 そろそろ出るかと浴室を出るとタオルと真新しい下着が置かれていた。

 さっさと拭いて下着を身に付けたのはいいが、はてさて肝心の着替えをは何処にあるのだろうか?




「フィノア~?」




 仕方ないので下着姿の上にタオルを巻いた状態で部屋に出ると笑顔で彼女が迎えてくれた。


 あ、嫌な予感。






「さぁ、着替えましょう?」






 先程とは違い満面の笑みを向けるフィノアに、私は引きつった笑みを返しておいた。






フラグが立っているようで立ってない。

読んでくださり、ありがとうございます(深々)

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