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ジャガイモ探索




 現在私、山奥へ魔物退治に来ております。

 …本当、何でこんな事に。




「ハナ様、お疲れになりましたか?」


「大丈夫。私田舎育ちだからこのくらい屁でもな…あぐっ」


「…お疲れの様子ですね。すぐ休憩にしましょう」




 へばる私を甲斐甲斐しく世話してくれてるのは長い金髪の一部を茶色く染めた美女だ。なんとなんと、女騎士さんですよ!しかもラスナグ率いる二番隊の副隊長!強いんだろうなぁ。

 念願の女騎士さんと二人っきりで山の中を歩いているのには、ちゃんとした理由があるんです。











**











 ジャガイモ発言の後、私の言う「ジャガイモ」とこの世界の「ジャガイモ」の姿形が一致した為猟に行く事に決定した。どの部分が必要なのか分からない為私も同伴で。


 驚いた事にこの世界のジャガイモは動いて森中を巡り、進路を邪魔する者は返り討ちに合うという恐ろしい魔物らしい。そんな物騒なジャガイモ私も調理したくないんですけど。

 代用品と言わずもがな違う食材でどーだと提案したが、それは駄目だとのこと。向こう側の指定料理なのでなるべく基本がいいらしい。


 そしてジャガイモ獲り選抜メンバーに選ばれたのは騎士団第二部隊。ラスナグ率いる騎士団だ。

 紹介してもらったメンバーには唯一女性騎士がいたわけだが、その人が副隊長であり、美女であったわけだ。名前はミア=ラゴナッティ。キリリとした男前な性格で、いかにも厳格な騎士さんだが女性らしい気遣いが回る理想の女性。惚れそうだ。

 尊敬を込めて敬語で接している。恐縮されたけど何とか許可してもらえた。



 女神と呼ばれる立場から隊長であるラスナグとミアさんに囲まれゾロゾロと結構な隊列でお城を出発したわけなんだが…。

 初めて城の外に出た私がハイテンションになり寄り道や立ち止まりを起こしてしまい問題のジャガイモがある森に辿り着くまで時間がかかりすぎた。


 しかも早くもバテてしまった私を気遣う始末。ふ…しかもよろけて崖から落ちたのをミアさんに助けて貰ったんだよ。魔術でなんとか助かったけど、二人で部隊をはぐれてしまった。

 現在合流するように歩き積めてます。




「はー…しっかし広いですねぇ…」


「我が国の三割が森になっていますから。この森も奥まで行こうとすれば五日ほどかかります」


「…広いですねぇ……」




 因みに四割が田畑などの農地らしい。この国の人口って…ああでも小さい国って言ってたな。小さい、の規模がどのくらいか分からないから何とも言えないけど。

 痛む足を押さえながら頷いていると、私の座り込んだ岩の前に彼女が座り込んだ。




「…私が水の使い手でしたら、足も楽に出来たのでしょうね」


「ああ、治癒術ですか?いいですよ、私が勝手にはしゃいで勝手に痛めたんです。…ミアさんは巻き込まれたわけですから申し訳ないですけど…」




 いやいや、本当申し訳ない。

 いいえ、と首を振った彼女が「崖から落ちたのも自分の責任」といい始めたので慌てて話を変える事にした。休憩なのにドヨドヨしたくない。




「ミアさんの瞳は茶色なんですね。土の精霊ってどんな魔法を使うんですか?」




 聞きたかった事でもあるけど。

 私の問いかけに驚いた顔をしてみせたけど、ふと表情を崩し話してくれた。




「私は騎士の道を選んだので魔術は極めていませんが、弟がとても強い土の魔術師なんです。彼がよく行う魔術でよければ」


「勿論!」




 弟がいるんだ。こんなしっかりしたお姉さんがいるのは羨ましいなぁ。

 話始めた彼女はとても楽しそうで、弟の事が好きな所が伝わってくる。魔術の話も勿論有り難かったけど、笑顔を見せるミアさんが可愛いのが役得だった。


 そんなほのぼの空間で再び森の中を歩き出す。女の子ってお喋りが好きだよね。例に漏れず私も好きなので割りと柔らかくなったミアさんと歩いてる間疲れは軽減された。




「…ん?」




 暫くすると足元がフカフカになった。フカフカというか…よく畑の土って耕すとこんな感じになると思う。色が濃くて柔らかくて水分と空気を含んでる。

 いい土だ。と感心していたらミアさんが緊張感漂う雰囲気を醸し出していた。




「どうかしたんですか?」


「…土壌が豊かになった場所はジャガイモが通過した跡なのです。ジャガイモは長い蔦を土の中で動かし大地を耕す。そして森の成長を促すように水や光を与えていくのが特徴ですから」




 ジャガイモって森の管理人か何かですか?

 それってあんまりジャガイモ刈ったら…狩ったら?いけないんじゃないだろうか。でもカレーには必需品だしなぁ…量さえ持っていかなければ大丈夫だろう。


 後はあれだ。そう強そうな魔物じゃない事を願う。




「あまり私から離れないようお願いします」


「はい。…でも他のみんなは何処でしょうね。そろそろ合流地点なんですよね?」


「まだここまで来ていないか…もしくは既に交戦中の可能性があります」




 マジでか。

 周りを見渡してみるが地面が柔らかい事以外特に変わった様子はない。来てないだけならいいけど。






「っハナ様!」


「えっ」






 急に体を強く押されよろめいた横を素早い何かが通過した。

 ギョッとして振り返ればミアさんが再び私を押す。その時確かに見えた。



 土の中から蔦のようなものが飛び出してきて、私がいた場所を通過した姿を。






日本のカレーといえばジャガイモは必須ですよね。

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