待って!?
はぁ、はぁ、はぁ。
息をあげて、階段を駆け上る。
遠くから見えた君の影を追い、俺は走る。
君の帰り道なんて知らない。でも……
俺は今、君を見かけた。たまたまと偶然だ。
しかし、今を逃したら、ダメな気がした。
っと、いちいち段差を見てはいられない。
早く、早く、間に合わない。
こんな場所で躓いている暇はない。
俺は君を……
階段を登り終える。
立ち並ぶ民家、ここが全くどこだか分からないが、冷静に考えはいられない。
「――おかえりなさい」
存じ上げないおばあちゃんからの挨拶、無視する訳にはいかずも、何と返せば良いか分からず、
ただいま、とだけ返して、俺は駆け抜ける。
えっと、この道を、
足踏みを止まず、止まることを知らない俺はまるでマグロのようだ。
そして坂道を走る。
中腹くらいで、限界になって、膝に手をつけてひと休憩。
それでも足を止めることなく、思い足をゆっくりだけど、一歩ずつ確実に踏み出す。
はぁ、はぁ、はぁ、つっ、疲れ、
横を自転車が通り過ぎる。中学生くらいの少年が電動自転車を坂道を容易く登る姿。
追いかけるしかないでしょ。
俺だってまだ行ける。
覚悟を決めた俺は最強だ。
また現れた階段。こっちの方が近道か?
数十段をすぐさま駆け上がり、次の場所へ。
彼女は今、のんびり歩いているのだろう。
一人で……
待ってろよ、もうすぐでそこに着くんだ。
そこ先ほどの少年が。
早い、やっぱり、早い。そんな感想しか出ない。
頭に酸素が回ってない。
走る間も呼吸を大切に、大きく息を吸う。
しかし、意識しても呼吸というのは難しく、吐きだす息は小出しになってしまう。
でも、もう大一番。この先に彼女はいるはず。
ラストも走り終わり、そこにいたのは彼女だった。髪を靡かせ、街を眺めている。
手を銃の形にして、他所を向く彼女へ発砲の動作をする。
「――止まりな、そこの君」
「……何でいるの?、、」
俺は、大きく胸を張った。そこに彼女が飛んでくる。
「何で、何で、いっ、いるの……?」
溢れるのは涙だった。
「待ってくれたか?」
「うん!!」




