一章 凡人、最強を知る第1話:プロローグ
最強になると誓った。
朝目が覚めた時
飯を食っている時
服を着替えている時
うんこをしている時
ちょっぴり切れ痔になった時
親友とおもちゃの剣で戦っている時
フルボッコにされた時
近所のガキと遊んでやった時
調子に乗って泣かせちまった時
旅人から探索者の話を聞いた時
村がモンスターに襲われた時
親兄弟の亡骸を抱いて泣いた時
相棒との差に絶望した時
眠れない夜を過ごした時
はたまた、夢の中にいる時
一体俺がいつそう誓ったかはもう覚えちゃいないが、間違いなく心に誓い、今もなお目指しているその頂。
平凡でありながら深淵に魅入られ、Stage6に最初に辿り着いた「頂」の人間。
愛する人を取り戻すために禁忌に手を染め、「不死」を強要されるハーフエルフの魔法使い。
四面楚歌の中、三日三晩戦い続け自分の国を護った「護国」のドワーフ。
古より存在し、全ての竜人の生みの親と比喩される「真龍」の竜人。
全ての魔を統べ、来たる日に世界を絶望に染め上げると予言された「魔王」の魔人。
そして、未知が跋扈する「深淵」に存在するであろう強者達。
これはいつか語った親友との誓いを果たすため、凡人の俺がどうにか抗い成長していく、そんなお話である。