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早朝バイト①
上木と円香は勤務の時間になりカウンターに出た。夜勤の人と引き継ぎを済まし、二人の勤務が始まった。
上木は勤務が始まって5分と経っていないが緊張していた。自分が恋している女性との初勤務に楽しむ余裕など上木にはなかった。
けれども、無常にもお客さんは来る。違う意味で緊張している上木は、小刻みに震える手を必死に抑えながら、レジ操作や袋詰をおこなう。
「おりがとうございました。」
早朝のピークが終わったらしく、店内には上木と円香の二人っきりになった。
「上木さん、前出しとかやりましょうか。」
円香は慣れた手付きで業務を始めた。上木も慣れているはずなのだが、今日はなんだか上手くいかない。