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成り上がり庶民の英雄伝説  作者: 九十九 薛
王国騒乱編
1/19

プロローグ

少し内容を変更しております


眞壁宗谷は至って平凡な高校生だった。

あの日までは、、、。

いつも通りの時間に家を出て、学校へと向かう。

行ってきますと言ったところで誰も反応はしない。

妹は母親と共に家を出て、父親はギャンブル漬けの毎日。

それでも眞壁宗谷はあくまでいつも通りの何気ない毎日を過ごすだけ。

彼にとって幸せではないが不幸でもないそんな毎日で十分だ。

高望みはせず自分の届く範囲の日常を掴めばいい。

バスから降り、校門の前まで歩くと走ってきた男の手には光る何かがあり、同級生へと近づいた。

咄嗟に庇ったことで男は唖然としていた。

脇腹に触れるとナイフが突き刺さり、血が溢れ出す。

体がよろけ壁に持たれるように倒れる。

(なんで、、、なんで、俺ばっかり)

意識が朦朧とし始める中悲鳴が聞こえ、足音がかなり聞こえた

誰かが声をかけてくるが考えるのも嫌になる。

(なんで俺は顔もろくに知らない同級生の為に死なないといけないんだろうか)

生徒証に入れていた家族写真を握り締め、楽になりたい一心で目を瞑り、意識を捨てた。


いつもの夢だ。

前世の記憶を半月前に思い出してそれからはずっと死ぬ前の夢ばかり見る。

クロア・レディウスとしての俺が生きているのは前世の言葉でいえば魔法が存在し、中世と思われる時代のファンタジー異世界だ。

母親の死後、母親の知り合いに引き取られた。

それからはほとんど地獄だ。

ボロボロの服にボサボサの髪、身体中は傷だらけ。

毎日のように拷問を受ける。

今日は屋敷に貴族が来るからと追い出されてしまった。

あの場所から出れるのならむしろありがたい。

まともに動かない足を引きずりながら、街を出る。

意識が朦朧として膝を地面につき。

吐いてしまう。

(苦しい、、、また、死ぬのか。せっかくの二度目の人生も、、)

悲鳴をあげる体へ鞭を打つように立ち上がり、もう一度歩き出す。

「いやぁ、まさかこんな上物が手に入るとは」

木陰へ隠れ、声のするほうを覗くと高そうな馬車の周りに小太りの男と数人の人影が立っていた。

「第一王女を手土産に帝国での椅子を貰えそうですね」

「当然だ、苦労して手に入れたのだからな、ぐふふふふ」

小太りな男は汚らしい涎を垂らす。

(面倒事に巻き込まれそうだな)

その場から離れようとしたがタイミング悪く落ちていた枝を踏み潰したせいで男の方にその音が聞こえてしまった。

「だれだ!!」

「あ、いやぁ、、迷子になってしまって、、、」

「見られては仕方ない。死ね、クソガキ」

小太りな男が魔法を放ってきた。

「はぁ、あまり目立ちたくはないんですが仕方ない」

しかし魔法は俺の元に辿り着く前に消滅した。

「な、なにをした!!」

「手癖の悪い手を落としただけです」

小太りな男の右手は地面に落ち、そして男は叫ぶ。

「クソガキぃっ!!!!」

「誘拐した人を解放すれば命までは奪わない。どうしますか?」

「そ、そんなこと出来るわけない。これは皇帝陛下への土産物!」

「命はいらないということですね」

「ま、待て、君が望むなら皇帝陛下に口添えしてやってもいい!!」

「興味ないので結構です」

炎弾(ファイヤーバレット)】を男達に撃ち込み気絶させる。

馬車の扉を開け中を覗くと高そうな服を着た少女が気を失っていた。

馬車にトラップ形式の魔法陣が刻まれていることに気づき、少女を抱き抱え馬車から出たのと同時に大爆発した。

少女を布を置いた地面に寝かせ結界を張る。

「貴様、動けば殺す」

後ろから剣先を突きつけられる。

「誘拐犯の仲間ですか?」

「それはこちらの質問だ」

「俺は違います。たまたま通りかかって助けただけです。どうか剣を下ろしてはくれませんか?」

「それはできない。貴様が敵じゃないという保証が何処にもない」

「それを言われると否定しきれないです」

「何者だ?帝国の人間か?」

それは恐らく自分が前世の記憶を持っているからだろう。

「ただの庶民です」

「お、おやめください。クリスティーナ」

助けた少女がよろける体を起こし、俺の前に立つ。

「殿下っ!離れてください。その者は誘拐犯やも知れません!!」

「それは断じて、有り得ません。彼こそ私を助けてくれた御方です。これ以上彼に対する無礼は一切認めません」

「はっ!貴様ら、その方は殿下を助けていただいた御客人だ!御丁重に王宮まで案内せよ」

「「はいっ!!」」

半ば強引に連れていかれる形で馬車に乗せられ、王宮へと案内された。

「改めまして、この国の第一王女、リリシア・ティル・ラクルティアと申します。見ず知らずの私を助けていただき感謝致します」

「クロア・レディウスと申します、こちらこそ騎士殿に助言していただきありがとうございます」

「クロア様というのですね。私のことはリリシアとお呼びください」

「いえ、そんな、、私は一庶民でしかありません」

「それでも助けていただいた事に変わりません」

「改めて感謝する。そして疑って申し訳なかった。クロア殿」

先程の女性が話しかけてきた。

「クロア様、クリスティーナを許してあげてください。彼女は私の為にと」

「お気になさらないでください。自分も同じ立場なら同じことしていましたしあの状況では仕方ありません」

「ありがとう、クロア殿」

女性と握手し何故か女性の方は泣いていた。

「ごめんなさい、クロア様。お父様に呼ばれてましてまた今度お話しましょう」

とリリシア様は去っていった。

「クロア殿、改めて感謝する。君がいなかったらリリシア殿下がどんな目にあっていたことか、、、」

「それは構いません。その、ですね非常に言いにくいと言いますか。無礼なお願いになるんですが」

「なんだ?」

「そのですね、風呂を貸してもらえたりしませんか?さすがにこの状態で王宮にいるのはあまりにも申し訳ないと言いますか」「ここを真っ直ぐ行けば大浴場があるからそこを使うといい。服は用意させるから安心してくれて構わない」

「はい」

案内された所へいき、服を脱ぎ綺麗に畳んでから大浴場へと入る。

体と頭を丁寧に洗い、お湯に浸かる。

風呂に入るのは母親が生きていた頃ぶりでかなり落ち着く。

(やっぱり風呂は最高だ。前世から風呂だけは一日二回入らないと落ち着かなかったな)

数分くらい経ち、誰かが大浴場へ入ってきた。

誰かと思い見るとリリシア様によく似た人物だ。

慌てて出ようとした。

「なっ、なぜ男が!!」

「も、申し訳ありません。クリスティーナ様に案内されて。す、すぐに上がります」

「っ、またクリスティーナのミスね。はぁ、構いませんのでどうぞ。私は第二王女アリシア・ティル・ラクルティアです。こんな形の挨拶になってしまいましたがお許しください、クロア様」

「第二王女?」

「リリシア姉さんの双子の妹です。ひとつ聞いてもいいですか?」

「あ、はい」

「なぜ姉を助けてくれたのですか?私なら怖くてそんなこと出来ません」

「何故ですか、、助けなかったら母親はそんな俺を軽蔑するからです。それに助けないで後悔するよりは助けて後悔した方が気持ち的に楽です」

「凄いですね、貴方は。私ならきっと助けないです。いえ、助けれないでしょうね。貴方のように強くはありませんから」

そう言い残しアリシア様は浴場から去っていった。

「凄い、、か。そんなこと言われたのいつ以来だろう」



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