シノラ、強くなる
クリスと相棒になった翌日。
僕はこの小屋から出て、冒険者になる為の準備を行うことになった。
まず、クリスから剣の鍛錬をする様言われた。
冒険者なるもの剣術を学ばなければ、敵との戦いで近接攻撃を与えられないとのこと。
正直な所、クリスに剣術の指導力あるのかなと思っていたけど、なんでもクリスの持つスキルの御蔭で、参考になる剣術を教える事が出来た。
今自分が持っている剣はかなりボロいからとのことで、クリスから青緑の剣を借りて鍛錬を行った。
それにしてもこの剣、綺麗だな。
クリスの足元にあった鉱石と同じ色だな。
次に剣の鍛錬と一緒に魔法の練習をする様言われた。
冒険者なるもの魔法を学ばなければ、支援を行う事が出来ないとのこと。
クリスに今使っている魔法を見せてみた所、本来魔法は人から教わり身に付ける事で使える様になると言われた。
独学で魔法を使える様になった僕の事を凄いと言われたが魔力の操作と量がまだ不安定と言われた為、まず体内に存在する魔力の精錬をする事で操作を完璧にする事と魔力を増やす事になった。
これもクリスのスキルで教わったけど、これ剣術よりも厳しい。
魔力の量の少なさで、操作が上手くいかなかったりする。
だから体内の魔力を精錬することで、操作のコツを掴みつつ、魔力を消費する事で量の上限を増やしていく。
たださっきも言った通りこれが結構厳しくて、魔力がなくなった後に全身から激痛が走る様になる。
クリスが言うには、体内の魔力は一種の生命エネルギーで、魔力がある事で人間は活動できるが、その魔力が無くなると体に激痛が起きてしまい、動くことも間にならないみたい。
でも魔力が無くなったからって死ぬわけではなく、睡眠をとったり長時間休憩する事で魔力が回復する。
だからこうやって魔力が無くなったら、1時間あたりは休憩をとってまた錬成を続けていった。
これを繰り返す事で、魔力の上限を増やしていく。
結構大変だけど、何か目標が出来る事で達成させようと思い、逆に楽しくなってきた。
クリスside
あれから4日ぐらい経った。
最初は剣術も魔法もヘボだったが、次第に形が出来上がっていき、今では並の剣士ぐらいの剣術を身につく様になっていき、魔力に至ってもかなり安定してきたと思う。
魔力の量も十分に溜まった所で、魔法の伝授を行う事になった。
万能図書館で調べてみた所、この世界において一般的には五大元素魔法が主流になっている。
火を生み出し敵を焼く火魔法、水を生み出し敵を貫く水魔法、電気を生み出し敵を感電させる電魔法、風を生み出し敵を切り裂く風魔法、石を生み出し敵にぶつける土魔法の五つである。
これらの魔法がこの世界における魔力があれば伝授するだけで一般的に使える魔法である。
他にも闇の力を持つ闇魔法と光の力を持つ光魔法という希少な魔法もあるみたいだ。
このどちらかを持っていれば、大抵の冒険者は名を馳せる事が出来るみたい。
さて、シノラは現状初級の火魔法以外は使えないみたいだが、聞いたところによると火魔法を生み出せたのは、寒い日に火が欲しいと頭の中で思っていたところで、手のひらから生み出せたとのことだ。
よくラベノや漫画である事だが、もしかして想像するだけで魔法を発動することができるのか?
俺も創造魔法の際、欲しいものを思い浮かべながらやってたし...。
そこで俺は水が手に生み出される想像をイメージさせながら、魔法を発動してみる様に言った。
シノラは若干疑問を抱いてみたけど、言われた通りに水を思い浮かべながら発動させた。
すると、手のひらに小さな水玉が出来上がった。
落ちることもなく、離れることなく、ただ手のひらでぷかぷかと水玉が浮かんでいた。
これによりハッキリした。
魔法は発動させたいもののイメージするとこで、その魔法を発動させることができる。
シノラも若干コツを掴んだのか、その後の水魔法を簡単に発動させることができた。
その後もシノラに各属性のイメージを教えてみた所、なんと五大元素魔法全て使えることがわかった。
普通魔法が使えても人によって使える各魔法の数にも限度があり、五大元素魔法全てを使える者はかなり少ないと万能図書館で書かれていた。
五大元素魔法全てを使える者は、闇魔法と光魔法の所有者と同じく大昔から英雄になれるものが多いらしい。
となると...この子は将来大物になること間違い無い。
剣術も魔力も順調だしきっと依頼を完璧にこなしてSランクになること間違い無いだろう。
それを考えると、この子を捨てた毒親の思考がわからんな。
それから20日ぐらい経ち、シノラは剣術と魔力を完璧にマスターした。
騎士をも上回る程の剣術を持ち、最初は藁を斬っていたものを今では鉄をも斬り裂く剣捌きとパワーを持つ。
魔法は各属性の中級魔法まで発動できるほどの力を身につけた。
火を広げ高波の如く相手に攻めるファイアフェイブ、水を一点に集中させ極太の水柱で相手を貫くスプラッシュスラッシュ、風を使い圧縮した風で敵を切り裂くプレスエアカッター、石を集め大砲の如く発射するストーンバレリー、電気を集めレーザーを放ち相手を感電させるスパークレーザー。
現在、今上げた中級魔法を上限に様々な魔法を取得できた。
これぐらい覚えれば、魔法剣士あたりの強さになったかな?
一応ステータス確認しておくか。
ブゥーン!!
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NAME:シノラ
RACE:人間 RHEA:G
職業:未定
EXP:0/200
LV:1
HP:80
MP:100
PW:60
DF:30
SP:30
SKILL:
剣術I
火魔法
RHEASKILL:
不明
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NAME:シノラ
RACE:人間 RHEA:B
職業:未定
EXP:0/200
LV:1
HP:300
MP:1500
PW:350
DF:75
SP:120
SKILL:
剣術A
五大元素魔法A
RHEASKILL:
不明
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うむ、始めたばかりと比べて良い感じになってきたな。
PWは剣術の影響で190上がり、体力も鍛錬により220上がっている。
まだレベルも上がっていないのに、鍛錬するだけでここまで強くなったからレベル上げでも結構期待できるかもしれない。
魔法も剣術もAに上がり、災害級であるBランクの魔物なら余裕で勝てる。
後は俺の手伝いもあれば、いずれ最強の冒険者になるだろう。
クリス「シノラ、今日までよく頑張ってきたな」
シノラ「いや、クリスの指導がとても良かったからだよ」
クリス「ここまでやれば、災害級ぐらいならたやすく倒せるぞ」
クリス「そして最後の仕上げだが...シノラ、お前には俺と契約してもらう」
シノラ「契約?」
クリス「あぁ、俺がお前と契約することで俺のスキルを共有することができる。そして俺のスキルの中には成長速度アップとステータス成長倍率のスキルがある。これをお前に共有させれば、お前の成長率はよりアップする」
シノラ「それって凄いけどしてもいいのかな?他の人にクリスの事バレちゃうんじゃないかな?もしバレたら、クリス…」
クリス「それに関しては大丈夫だ。俺のスキルは普通の鑑定では見ることができないみたいだから。」
シノラ「ほっ…」
実は一度自身について万能図書館で調べてみたら、宝龍は神の使徒であり、神やその眷属は鑑定スキルを無効することができると書かれていた。
又宝龍と契約し、スキルを共有した人物も所有しているスキル以外は見えないとのこと。
しかし、何故シノラがこの事を心配しているのかは判っている。
宝龍である俺は手にしたら莫大な富と力を得られる為、野心を持つものに狙われかねない。
シノラは俺を悪い奴らに利用される事に心配しているのだ。
本当に良い子だなこいつ。
クリス「さて、そろそろ契約をするか。準備はいいかシノラ?」
シノラ「うん、大丈夫」
クリス「よし、いくぞ」
俺は契約用の魔法陣を発動させ、その中央にシノラを置く。
そして契約をする際の呪文(検索済み)を唱える。
クリス「我、創造神様の眷属オミペントドラゴン、勇敢なる少年シノラよ、我が力を其方に授け、その力でこの世界の秩序を守るのだ!」
そういい、額をシノラの額につける。
その間から眩い光が発し、俺とシノラの体を包み込む。
そして少しして、光が収まっていく。
こうして契約の儀式は終わった。
クリス「どうだシノラ?」
シノラ「うーん、何も感じない。これで本当にスキル共有出来たのかな?」
クリス「確認してあげよう」
そう言い、俺は鑑定スキルを発動させる。
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NAME:シノラ
RACE:人間 RHEA:B
職業:未定
EXP:0/200
LV:1
HP:300
MP:1500
PW:350
DF:75
SP:120
SKILL:
剣術A
五大元素魔法A
鑑定(共有中)
成長速度アップL(共有中)
ステータス成長倍率L(共有中)
全属性魔法L(共有中)
鍛治魔法L(共有中)
回復魔法L(共有中)
状態異常無効L(共有中)
自動体力回復L(共有中)
自動魔力回復L(共有中)
超再生(共有中)
RHEASKILL:
魔法学習
術学習
生産学習
EXTRASKILL:
???
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うむ、きちんとレアとエクストラ以外は共有されている。
だが、これでシノラの戦力は大幅に上がった。
これなら冒険者になっても特に困ることはないだろう。
…ところでシノラのこのレアスキルは何だ?
魔法学習に術学習、それに生産学習?
学習だから何か条件でスキルを得られるようになるのかな?
そう思い、俺は再び万能図書館を使った。
クリス「なっ!?」
そこには驚愕な内容が書かれていた。
この三つのスキルは自分の目で見たスキルを解析し、仮初のスキルを使用し続けることでそのスキルを完全に得られるようになるというものであった。
このスキルは得ることが難しい幻のスキルとも言われており、もし手にしたら将来が約束されると書かれていた。
そんなスキルを三つも持っているシノラに俺は驚いた。
こいつは絶対凄い事をすると