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シノノメナギの恋わずらい  作者: 麻木香豆
第三章

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ハレの日

 さぁてと、気持ちを切り替えて……。常田くんも着替えたかしら。今日は髪の毛もしっかりやってもらうみたいだし。さらにイケメンになってたらどうしよう。


 わたしはメイクさんにエスコートされて部屋を出た。



「わぁ、綺麗! 綺麗よ、梛!」



 ……?!



「梛さん、素敵!」


 そこには常田くんじゃなくて、お腹の大きい夏姐さんと次郎! な、なんで?!

 あ、メイクさんが言ってた

「みなさんが喜ぶ」

 ってこのこと?!


「僕が呼んだんや」

 常田くん!! 髪の毛はセンター分け。かっこいい……。そしていつもの笑顔! 


「梛の晴れ姿を僕と兄ちゃんだけしか見れないのもあれやろ? あと夏姐さんの息子くんたちも中庭で待ってる」

 わたしは窓から覗くとたしかに夏姐さんの息子くんたちが。次男の泰造くんの横には女の子いるけど、いつも図書館にいる子だ。つきあってるのかしら?


 ん? あそこにいるのは……ネネ! ネネも来てるなんて! 横には男の人。ぴったり寄り添ってる。ネネ、幸せになってね。


「常田くんに来てくださいって言われてねー。久しぶりの連絡がまさか梛のウエディングドレス見に来てって。わたしはあんたの術後心配してたのに……」

 と、夏姐さんは常田くんを軽く小突く。

「すんません、姐さん!」

「まぁいいけどさっ。なんか嬉しいよぉ〜二人が二人が……幸せであってっ……うううう」

 夏姐さん……。次郎さんが彼女の涙を拭く。あなたたち本当幸せそうだよ。


 って、なんか目から何か溢れてきた……。

「はいはいティッシュ……今から撮影ですからね」

 涙……止まらない。

 常田くんがわたしの頭を撫でてくれた。

「梛、いくで。外もいい感じに晴れてきた。みんなに見せてやろうや」


 すると慶一郎さんがサッと何かを出した。タブレットの画面。そこには見慣れた顔が……。


『梛ー! 可愛いー!』

『もう最高じゃない!!! あー、私がメイクしたかったわー』

「サアヤ! 薫子!」

 なんでこの二人が? 常田くんはニコッと微笑んだ。二人の連絡先をなんで知っているの?


「サアヤさんのヨガ教室のメールから連絡取ったんや。名前だけは覚えとったから」

 わぉ、夜に会っただけなのによくわかったわね……でも県外にいる二人に見てもらえるなんて。でもやたらとテンション高過ぎてあれなんだけど、まぁいいか。なんか身近で見てもらえてる感じがする。二人ともありがとう。


 するともう一人画面に映った。

『おー、梛さん。綺麗やわー。って浩二も男前やな』

 お父様!

「おとんも来たかったらしいけどなー」

『そんなべっぴんさんと釣り合うか?』

「うるさいわ! アホ!」

 と、漫才のようなやりとり。おもしろいなぁ、ほんと。大阪にいた頃も常田くんのキツイ関西弁が出ててこれが本当の彼なのかな、と思ったり。私に対しては優しいのね。そう思うと。


 お父様が来たらお母様……。もうあれからどうなったんだろう。常田くんは特に何も言ってなかったけど。


 するともう一つ画面が映った。お母様?!



『浩二兄ー!』

 誰? この茶髪のギャル。寝起きだよね、明らかに。


「美波ーっ、久しぶりやなぁ。寝癖酷いぞ」

 これが常田くんの一個下の妹?! 看護師さんしてるとか言ってたけど完全にギャルである。


『もうさー、病院今大忙しでー夜勤明けなんやけど! あ、梛さん。兄がお世話になってまーす、美波でーす』

「は、はじめまして……東雲梛です」

 美波さんがじーっと私を見ている。画面越しから。

『はーっ、すっごーい。美人! てか大丈夫? 浩二兄はすっごい口悪いけどさぁー』

「あ、あ……大丈夫ですよ。仕事も五年一緒にやってだけどしっかりしてるし」

『ふーん、兄ちゃんいい人捕まえたじゃんー。じゃあまた寝るわー、梛さんまたいつかお酒飲みましょねー』


 と美波さんの回線は切れた。

「まぁ、見た目はあれやけどもええ子やからさ。話し相手になってくれや」

「うん……」


 それよりも……常田くんはお母様に見てもらいたいんだよね、きっと。


「ほないこや……」

 私は常田くんの手を引っ張った。


「なんや、梛」

「もう少し待とう……お母さんにも今日のことを教えたんじゃないの?」

 常田くんは少し顔色を変えたけど笑ってる。

「……ええんや、いこや」


 わたしは首を横に振った。

「もう少し待とうよ」

「梛……」




 するとその時だった。

 画面が一つ付いた。着物を着た女性。


「おかん……」

『浩二、私は見ずに梛さんを見なさい』

「うん」

『梛さんもまっすぐ前を見て進みなさい。周りの人にも感謝して。でも自分らしさは失わないようにね』

「はい……」


 お母様……。常田くんがギュッと私の手を握り返してくれた。


「行くで」

「うん」


 八月、暑い日だったけど今日だけは暑すぎず天気もほどよく、気持ちいい風が流れていた。


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