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シノノメナギの恋わずらい  作者: 麻木香豆
第二章

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慶一郎さん

「気持ちよかったです、すいませんね……お風呂」

 お風呂上がりでワックスで遊ばせていた髪もサラッと垂れてさっきとは違う雰囲気。

 なんか思い出す、常田くんと初めてラブホ行った時にシャワー室から出てきたときの姿……どきっとしたなぁ。その時と同じ感覚。兄弟揃って色白で風呂上がりのほんのりと頬がピンク色。それがたまらない。


 慶一郎さんのパジャマは常田くんが少し前にネットでサイズ間違えて買ってしまったやつが残っていてのでちょうどよかった。このまま持って帰ってもらう?


 結局、慶一郎さんがお風呂に入っている間は常田くんは居間には来ずに自室に篭っていた。わたしと話すのを避けるため? なんで。話し合わないといけないのに。


「浩二、風呂入らんのか」

 と常田くんの部屋に入って声をかけていた。……返事はあまりよく聞こえなかったけど元気がなかった。


「まぁ無理もないかな……梛さん、先に入る?」

「はい、そうさせてもらいます……」


 常田くん、なんでわたしに話してくれなかったの? ねぇ、わたしとの関係はそんな薄いものだったの? 遊びだったの? 

 あんなにも何度も好き好きって、甘えてきたのは何だったの? いつかは大阪に帰ってしまうとかそんなこと考えてたなんて……なんで言ってくれなかったの。


 上からシャワーを思いっきりかける。涙も一緒に流れる。鏡に映る本当の自分の姿。わたしが女だったら少しでも何か違ったのかな。この体であることを悔しく思う。

 性転換しようかと思ったこともあった。でもそうしても子供は産めない。なんで男に生まれてきたの?


 もう何回、何十回、何百回も思ってきたことが今日一番辛く身に染みる。



 お風呂から出ると居間には誰もいなかった。常田くんの部屋の前に行くと二人の声がする。


 ……所々常田くんの荒げる声が聞こえる。普段よりも関西弁がキツい。


 家族だからこそ本音で話せるのか……わたしは……家族じゃない。


 家族になれない。



 わたしは自分の部屋に入って冷え切った布団に入る。



 ふとカレンダーを見る。あと一週間でクリスマス。せっかく初めて彼氏のいるクリスマス、常田くんとの初めてのクリスマスなのに……。






「梛、なーぎー」

 んんんんっ。


「なーぎぃー」

 まだ夜……。


「梛! 起きろやー!」

 ザッとカーテンを開く音、一気に光が入り込む。そして視界には常田くん。


「ワアアアアっ」

「ようやく起きたわ、驚きすぎやて」

 心臓がバクバク言ってる。カレンダー見て珍しくクリスマスのことを妄想できなかったけどあっという間に朝になっていた。


 常田くんはもう着替えてて鞄を持っていた。えっ、もうそんな時間?! 早番の彼の出勤時間前であった。


 わたしは慌てて台所に行くと朝ご飯の用意はできていた。常田くんはもちろん先に食べている。

「……兄ちゃんが朝ご飯作ってくれて、三十分前に帰っていったよ」

「えええっ、ちゃんと挨拶してないというか……朝ごはんもてなすつもりが……」

 常田くんはわたしの頭を軽くコツン、と叩いた。

「しかも兄ちゃんは梛の部屋まで行って起こしに行ったのに全く起きなかった」

 朝ご飯まで作ってくれて、尚且つわたしを起こしてくれ……たっ?!


 わたしは常田くんを見た。彼はうなずいた。

「兄ちゃんに梛が男だってバレた」

 うそぉおおおおおお!


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