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シノノメナギの恋わずらい  作者: 麻木香豆
第二章

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イケメン家系

 カウンターに戻ると返却図書がたくさん……やらなくては。そうすれば雑念は飛んでいく、はず。


 仙台さんはあれから一回来てわたしに会釈してくれた。ふと手にした本、繊細さんがよく読んでいた自己啓発の本。わたしに未練たらたらなんて。ふられた相手を忘れる方法の本読んだら? それとも新しい出会いの本とか、未練を断ち切る本、ん? 諦めきれない恋を成就させる方法? 恋人のいる彼女を振り向かせる方法とかさ、なんでこんな本が世に出回ってるのかしら。


 仙台さんと常田くんの取り合い……あの時も常田くん、僕の女ってすごく主張してて可愛かったし。

 なんかそれに挟まれてるわたしもなんだか……楽しいわねぇ。ふふふ。


 ダメだ、この作業は尚更妄想を生み出してしまう! 雑念雑念! わたしは啓発コーナーを後回しして日本文化コーナーに向かった。

 ここなら変な妄想できないはず。……男の和服、常田くんも似合うかな……ああああ、どこ行っても妄想しちゃうわたしってぇ。

 もぉっ! て本を入れ込んだ。


「あった、あった……この本」

 とわたしが入れ込んだ本を手にする男の人。


「今検索したらあるって書いてあったのに無くてさ。作業中だったんだね」

 ヒョイっと大きいその本を手にした男性。ニコッと微笑んでくれた。


「す、すいません……お待たせしました」

「いえいえ、あちらで読ませてもらうよ」

 とスタスタとソファーに行ってしまった。



「カッコいい……」

 とつい声が漏れてしまった。でもなんか見たことあるのよね、あの笑み。


 それよりもまたわたしは惚れてしまった……。もう、ダメよ。わたしは頬を叩いて再び作業に移る。


「あの、すいません」

「は、はい!」

 振り返ると常田君! そして横にいる笑顔の人は……。


「君か、倅と付き合ってる……」

「倅……て、まさか」

 常田君は頷いた。


「あ、おとん……こちらが東雲梛さん」

「シノノメナギ、梛さんか。浩二が言ってた通りべっびんさんやないか」

 常田君のお父様ーっ! 顔は似てないけど素敵なジェントルマン。笑顔も素敵。

 ああ、短時間で二人も惚れてしまうなんて! しかも常田くんのお父様に……。


「なーぎっ」

 しまった……常田君の笑顔が消えてる。ああ、もう。そういえばお兄様も来るとか聞いてたけど?


「浩二、その子かぁ」

 振り返るとさっきのかっこいい人! って、まさか!


「兄貴、どこいったかと思ったよ」

「悪い悪い、この本を探しててな。そしたらこのべっぴんなお姉さんが持ってたんや」

 ……わああああっ、お兄様っ! この笑顔見たことあると思ったら常田君の……わたしったら恋人の家族に何一目惚れしてるのよ。


「なーぎっ」

 怒ってる、常田君。怒ってる顔も可愛いんだけど……いい加減わたしの惚れやすい性格も何とかしてほしい。


「あー、なんとなく浩二が惚れるのもわかるわ。オカンに似とる。オカン大好きやもんな」

「やかましいわ、オカンと梛はまったくちゃうて」

「梛さん、っていうのかな。弟、すっごく甘えてきません? べったり甘えて、泣き虫で……」

「やめぃ、これ以上!」

 掛け合いが漫才みたい。確かに甘えてくるよねぇ。……しかし常田くんのお母様とわたしが似てるだなんて。


「遅くなりましたがこちら、いつもお世話になっております、図書館の皆さんで食べてください」 

 とお父様から渡されたお土産。わたしも頭を下げて手に取る。……そうだ、普通にここにきたわけじゃないのよ。わたしと会うためじゃなくて……。


「あ、はじめまして。夏目と申します。常田くんのご家族……」

 後ろから夏姐さんがやってきた。なんかさっきより目頭また赤くなってる気もするけど。


「館長が応接室にいますのでご案内します」

 そう言って常田くん、常田くんの家族を連れていく。


「梛もあとできて」

 と、夏姐さんは言う。わたしも? 常田くんは去り際に小さく手を振ってくれた。


 ……病院ではなんて言われたのだろう……。

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