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地位による経済的差別
居住地とならんで、経済的指標にされるのが、地位だ。社会的地位とグループ内地位がある。
グループ内地位のほうが、差別が起こりやすい。これは、社会的地位が長い時間をかけて築かれたものであるのに対し、グループ内地位は努力によってすぐに変化するからだ。
グループ内地位の扱いは、日本のような年功序列社会とアメリカのような能力社会とでは少々異なる。年功序列社会の場合は、奪い合うものではない。それに対し、能力社会は奪い合う対象であるし、出生によって社会的地位はすでに格差がある。
争奪戦がある以上、差別意識が発生する。努力したものが優秀である。脱落したものは努力不足というわけだ。生まれながらの格差と機会の不平等は無視される。とくに、最初から優位なグループはその優位性にすら気づいていないことだろう。
黒人が白人社会で成功しにくいなど、出生による優位性。このことが認知されれば、多少なりとも相手への評価は変わるはずだ。ただし、正しい評価が行なわれることと、差別がなくなることは別次元である。