先祖差別
差別要因は複合的なものではあるが、ここではできるだけ単純化してみよう。本文では、固体差別は区別とし、集団差別を差別と定義する。
まず、世界的に見て、もっとも根本的な差別が先祖による差別である。先祖差別の代表的なものは、人種のような出身地によるもの、名前のような血縁関係がある。
この発生は、人間がローカルコミュニティを形成した時まで溯る。親から引き継ぐものなので、生まれた瞬間に決まる。
出身地差別は、民族あるいは部族間で形成される。人が集団で暮らす以上は仲間か仲間でないかの判断は重要だ。そのため、ここで最初の差別が行なわれる。日本のような単一民族でも、本籍などで差別されることがある。部落問題などはその典型といえよう。
地域内では代わりに、血縁関係による差別が起こる。どの家の出なのか。本家か分家なのか。大きい単位で区別できなければ、さらに小分けし、一軒一軒、あるいは長男か次男かといった個人単位にまで分類が進むのである。
人が集団生活を行なうために、個人の識別は必ず必要になる。この識別がそのまま、比較条件になり差別につながる。このように差別とは集団生活において欠かせない能力なのである。