嫌なものは嫌と言える勇気
あるところに、青い瞳を持つ人間が生まれた。
それは空の青さ、海の青さを抱き天上と大地を合わせた色であり、全ての祝福を受けた者であった。
その地域の多くは明るい髪色と暗い瞳を持つ者が多かった事もあり。
さらには人ならざる力を持つ事によって、青い瞳を持つ人間を人々は「神」と呼んで育てた。
特定の地域に雨を降らせ、疫病に苦しむ街では死者を生き返らせ、悪人を業火の炎で焼き尽くす。
それはいつしか「神」と呼ばれ、人とは別の何かとなった。
青き瞳に意思は既に無く、生まれて死ぬまでの間ただの一度も名を呼ばれる事は無かった。
人々の営みの中に入る事なく、人間に絶望した青き瞳を持つ者は死ぬ前に願った。
次はどうか、もっとたくさんの人を救えますように。
そしてどうか出来る事なら、……友達が、出来ますように。
願いは届かず、青き瞳を持つ者達は「神」と呼ばれ、世界各国である一定の周期で誕生する事になるのだが、その中に1人、異端児が生まれた。
ズバ抜けて自由で、それでいて憎めない彼女は、自身の生まれを卑下する事なくすくすくと成長して行く。
そしてそれを見守る者が1人と、巻き込まれる者が数人。
彼女の運命は実に愉快で素晴らしい。
そう思いながら、私は彼女に人知れず拍手を送るのであった。