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契約、黄金の息吹-2

蒲生がもう ゆうは黄金色の大炎へと飲み込まれていた。

最初はパニックに陥った悠であったが、すぐにあることに気が付く。



「あれっ、熱く、ない?」



 通常の火炎ならば身を焦がし、灰すら残らないはずの勢い。が実際には火中にいるにも関わらず悠は熱さを感じなかったのだ。

黄金の火炎に驚き、戸惑っていると突然に火炎に裂け目が出来る。そこから現れたのは、その黄金色の火炎を吐き出した紅き龍。



「さて、血魂けっこんの契約をしようさね。さァ、手をだしな」



 悠は手の平を広げて、龍に手を突き出す。

龍は悠の手の平に、その鋭い爪で真一文字に傷をつける。



「痛っ!??」



 咄嗟に引いた手の平を悠は覗き込む。

皮膚は裂け、白い肉が顔を覗かせる。そして一拍をおいてぶつぶつと赤い粒が浮き、血液がぽたりぽたりと零れ始める。



「な、何をすっ……!?」



 異変はすぐに起こった。

地面へと滴りおちていた血液が、一瞬で蒸発していく。そしてあっという間に、手の平で出血していた部位にまで蒸発が伝わると再び白い肉が顔を覗かせる。

そして次の異変が悠の身に降りかかる。



「あっ……あっ……」



 指先がゆっくりと灰色に変り、すぐに熱せられた鉄のように赤みを帯びた黄金色に変色していく。

そしてその黄金色になった部位はさらさらと次第に黄金色の粒子となって宙へと消えていく。



「なんだっ、何なんだ!? おいっ!?」



 悠は炎の合間に見える龍に向かって視線を向けるとそこにはさもおかしいものを見るように大口を開けて笑う龍の姿。

悠はそこでぞくりと背筋に悪寒が走り、契約したことを後悔したがもう遅い。



 悠の指先から段々と手の平、腕、肩と黄金色に染まっていく。

痛みはないものの、視界から自身の体が消失していくことに悠は恐怖し、全身が震える。そして黄金色に胸、首、そして頭部が染まりきったとき、悠の意識は消失した。






*****




「あ、れ……?」



 悠は気が付くと、辺りの炎は収まっていた。そして慌てて自分自身の顔や体を撫でて異常がないかどうかを確かめる。

ぱたぱたと体のあちこちに触り、自身の体に異常がないことにホッと胸をなで下ろす。



「……さっきのは何だったんだ?」



「あァ、ようやく起きたんさね」



「えっ、どなた……?」



「あァ、この姿じゃわからさね。さっきまでアンタの目の前に居ただろう?」



 悠の目の前には鮮やかなワインレッドのロングドレスを着た1人の若い女性が座っていた。

燃えるような赤い髪と瞳、そして黄金のブレスレットと体に至る所に同じく黄金色の装飾品を身につけていた。それらがジャラジャラと女性が体を揺らす度に音を立てる。



 悠は様々な可能性を考えるが、目の前のその女性がなんであるかなど答えは1つしか考えつかなかった。



「まさか……」




「あァ、アンタと血魂けっこんの契約をした相手さね」



「」



 先ほどまで小山ほどあったはずの龍の姿は消え失せ、龍は若い女性へと変身していたのだった。





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