第八話
この小説はリレー形式で掲載していきます。
作者 oga
「エミリーはダンス部だろ?」
ピタリ、とでんじろうの動きが止まった。
私も思わずピタリ、と止まる。
……しまった。
勢いで言ってしまった。
「ごめん、今のは嘘だけど、もしこの陸上部にエミリーが入ったら来てくれる?」
私が提案すると、でんじろうは腕を組み、ブツブツと何かをつぶやき始めた。
エミリー、確率、0.01パーセント、というワードが聞こえてきた。
頭の中でエミリーと付き合える確率を計算しているんだろうか。
「……2パーセントか。 やってみる価値はあるな」
「じゃあ、入ってくれるのね?」
「どわああああああっ、き、聞いていたのかっ! そ、そんな話はエミリーを陸上部に入れてからにしろよっ」
でんじろうはそう言い残して去っていった。
私は笹木黒子とイエモンちゃんに教室で待つように言って、エミリーのもとに向かった。
校舎の裏にやって来た。
ダンス部はいつもここで練習をしているから、待っていればエミリーもやって来るはずだ。
エミリーを陸上部に引き入れるのは難しいと思うけど、どうにか練習に誘い出したい。
ただ、向こうも忙しいと思うから、何かオイシイ話で誘い出さねば……
しばらくすると、部室の方からエミリーがやって来た。
「Hey,また会ったね! 何か用?」
「エミリー、ちょっと先の話になるんだけどさ。 今度空いてる日にみんなでバーベキューをしようと思って、あなたを誘ったのよ」
「バーベキューですって!? Good idea! 是非参加したいわ!」
やっぱりアメリカ人はみんなバーベキューが好きらしい。
それに、向こうじゃしょっちゅうパーティなんかもやってるみたいだし、根本的にみんなで何かするのが好きなのだろう。
「じゃあ、また連絡するね!」
「Ok、待ってるわ!」
私は教室で待たせていた笹木黒子とイエモンちゃんと合流した。
「うまく行ったよ! エミリーが練習に来てくれることになった」
「まさかバーベキューで釣るとは思わなったわ…… それでうまく行ったことの方が驚きだけど」
笹木黒子が黒いマニキュアを塗りながらつぶやく。
「でも、アリスちゃんって何気にすごいですよ!」
イエモンちゃんがパチパチと拍手してくれた。
「それで、パンダ。 あなたに早速相談なんだけど」
「パンダって何よ。 別にいいけど……」
「ポスターを作り直して欲しいの。 陸上部員募集! 歓迎会やります! エミリー来ます! って」
エミリー来ます! の所をちょっと協調すれば、更に男性部員が増えるかもしれない。
それだけ男子間のエミリー人気は絶大なのだ。
少なくとも、2パーセントの望みにかけて、でんじろうは来るはずだ。
「あざといわね…… でも協力してあげるわ。 駅伝は10人メンバーが必要だし、エミリーが来るってんならチャンスよね」
「私もお茶入れます! 歓迎するのは得意なので!」
こうして、後日みんなで作ったポスターを校舎に貼って、歓迎会の当日を迎えることとなった。