第六十一話
作者 oga
昼時、私はいつものように部室で、みんなとご飯を食べていた。
「ねぇねぇ、昨日のマツ〇会議見た~?」
「見てないわよ。 深夜帯の番組なんて見てるから、授業中いつも眠そうなんでしょ」
パンダに手厳しいツッコミを入れられ、ぐぅ、と音を上げると、イエモンにあることを質問された。
「ところでアリスちゃん、合宿って、どこに行くことになったんですか?」
そうだ。
実は、もう案が出ているんだった。
「昨日、合宿の場所をラインで募集したじゃない? それで、すぐにブックマークから連絡があったんだ」
「詩織ちゃんからですか?」
ブックマークの祖父の家がどこかの避暑地にあるらしく、そこでなら快適に練習できる、とのことだった。
「それでいいかな?」
「私は全然構いませんよ!」
「……私も異論ないけど」
2人の合意を得て、後で他のメンバーにも尋ねた結果、反対する人はいなかった。
こうして、ブックマークの祖父の家で合宿することが決まった。
当日、学校の前で待っていると、続々とメンバーが集まってきた。
イエモン、パンダ、響、ブックマーク、少し遅れてエミリー、エンジョイ、でんじろうが合流した。
「Hey,待たせたね!」
「エミリー、来てくれてありがと!」
「What? 何で井本と弓がいないんだ?」
「井本なら先に来てトランクの中にいるわよ。 あそこが落ち着くんだってさ。 で、弓はやることがあるから来れないって」
「ふぅ~ん」
ブックマークが準備してくれたリムジンに乗って、祖父の家に向かう。
「ブックマークって、もしかして物凄いお嬢様なの?」
「え、普通じゃない?」
……いやいや。
私の持ってきたトランプで時間を潰していると、突然、響が呟いた。
「何だか不気味ね……」
気が付くと、車は鬱蒼とした森の中へと入っていた。
「そろそろおじいちゃん家よ」
森を抜け、車を道端に止める。
扉を開け、地面に降り立つと、そこには目を疑う光景が広がっていた。
「……」
目の前にあるのは、ヨーロッパとかによくあるような城だ。
「……ここ?」
「そう、私のおじいちゃん、吸血鬼なんだ」
……ウソでしょ。




