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弱虫バトン  作者: oga
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第五話

この小説はリレー形式で掲載していきます。


作者 oga

 彼女の名前は笹木黒子と言うらしい。


「コースはこの校舎内。 3階の廊下からスタートして、ゴールは1階の正面の扉。 ルールは必ず端にある階段を使うこと。 廊下を通ってジグザグに降りてくるイメージね」


「オッケーよ」


 私が同意した瞬間、イエモンちゃんが間に割って入ってきた。


「ちょ、ちょっと待って下さい! そんなの先生に見つかったら怒られますよ! それに、なんで競争なんて……」


 すると、笹木黒子はニヤリ、と不敵な笑みをこちらに向けてきた。


「これはお互い欲しいものを賭けた勝負よ。 私が負けたら陸上部に入ってあげる。 そのかわり、あなたが負けたらそこのかわいい女の子を貰っていくわ」


「……分かったわ」


 勝手に話進めないで下さい! 

とイエモンちゃんが怒る。

しかし、勝負と聞いたら熱くならざるを得ない。

これでも元ソフト部のエースなのだから。


「勝負は放課後よ。 待っているわ、忽那さん」






 ホームルームが終わり、教室から出るとイエモンちゃんが待っていた。

一緒に3階に向かう途中も、ずっと不機嫌そうだ。

 3階に到着すると、笹木黒子は準備万端といった風に待ち構えていた。

体操服に身を包み、ストレッチをして体をほぐしている。


(本当にずっと美術部だったのかしら?)


 私も教室で体操服に着替え、イエモンちゃんが1階のゴール地点に移動する。


「スタートの合図は?」


「5時のチャイムよ」


 スタートラインに並ぶ。

笹木黒子はクラウチングスタートを決めるつもりらしい。

スタート直前の独特の緊張感。

そして、5時のチャイムが鳴った。


(しまった……!)


 スタートダッシュを制したのは笹木黒子だ。

開いた距離は1メーター。

しかし、そこから全く差が縮まらない。


(くそ……)


 私はどちらかと言えば足は早い方だ。

毎日走り込みをしていたし、自身はあった。

なのに、笹木黒子とスピードは互角だった。


 数人の生徒が廊下で勝負を見ていた。


「あれ? パンダちゃん?」


「やっぱ足早いよね~。 両親は陸上のオリンピックに出たことあるんでしょ?」


(!!)


 道理で早いわけだ。

普段トレーニングをしていなくても、間違いなくサラブレッドなのだ。


 階段に差し掛かった。

笹木黒子は長い足を利用して、階段を一気に3段飛ばしで降りていく。

更に距離が開いてしまった。


(階段で差を付けられたら勝ち目がない!)


 2度目の階段に差し掛かる前に、すでに5メーター以上の差が開いている。


(私は、負けるわけにはいかない……)


 イエモンちゃんを裏切るわけにはいかない。

どんな手を使ってでも、勝つ!

私はたまたま開いていた教室から黒板消しをつかみ取った。

狙うは、笹木黒子の前を歩いている男子だ。

私は、その男子めがけて黒板消しを投げた。

手から放たれた黒板消しは笹木黒子の脇を通り、男子の足元に吸い寄せられた。

そして……


「うわっ!?」


男子は転倒し、手に持っていたプリントがまき散らされた。


「なっ!?」


横を歩いていた女子もびっくりする。


「でんじろう君! 平気!?」


笹木黒子の目の前をプリントが覆い隠し、思わず減速した。

それとは逆に、私は全速力で駆け出した。


 結果、ゴールを制したのは私だった。


「あれは汚いわよっ!」


「ルールに黒板消しを投げたらいけないなんて聞いてないわ。 あなたこそ両親がオリンピック選手なんて聞いてないわよ」


 イエモンちゃんがあたふたしていると、さっきの男子がやって来た。


「メガネ弁償しろ」


 






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