第五十話
作者 栗原雪
「なんて酷いことをするの!?」
一生懸命に叫ぶアリス。
「ここに時間通りに、来れなかったお前が悪いのだ。」
「っそ、それは・・・。」
「そうだ、お前は口答えができないだろう?」
どうすればいいの?
「お前はいつもそうやって、沢山の人を犠牲にしてきた。」
顔色一つ変えない響。
冷酷な目をしている。
「私も、被害者の一人だ。」
え・・・?
「私が何したって言うの?」
「お前の、天性の才能だろうか。 そのせいで、私はいつもいつも陰の存在だった。」
睨み付ける響。
「お前は知らず知らずに、誰かを傷つけている。」
思わず、涙が零れ落ちるアリス。
「お前と私とでは住む世界が違う。 今までも、この先も和解することは無い。」
泣き崩れる、アリスを見下す響。
「泣き叫ぶがいい。 決して私がお前を許す日は無いだろう。」
「待て!」
突然、舞台袖から声がした。
「でんじろう・・・?」
アリスがつぶやく。
「別に俺たちと仲良くする必要は無い。」
淡々と語る、でんじろう。
「仲良くするつもりなんてない。」
「じゃあ、何故そこまでメロスにこだわるんだ?」
(お前の目的は何なんだ響? 答えてくれ!)




