第三十八話
作者 oga
「よし! 今からデータを作成するから、ブックマークも手伝ってくれ」
「やだ」
「卒業アルバムを見て、過去60年分の部員数をメモしていき、折れ線グラフで減少と増加の傾向を探るんだ!」
僕は卒業アルバム60冊をドサリと脇に置いて、60年前の部員数から読み上げていった。
1時間後、ようやく全てを読み上げると、グラフが完成していた。
「やればできるじゃないか」
「……これから何が分かるの?」
僕はグラフのおかしな所を探った。
陸上部はある年に部員数のピークを過ぎ、年々減少傾向にあった。
そして、とうとう部活自体が無くなってしまっていた。
「地味すぎて、人気無くなったのかな?」
……でも、グラフを追うと、10年前に復活していて、その時は部員数は1人。
そこから、次の年に一気に部員数が増えている。
「10年前のアルバムを見てみよう」
復活した年のアルバムを見ると、その年唯一の部員の名前が記されていた。
「……忽那、ナシス!?」
忽那ナシス、まさか…… アリスの父親か!?
僕は、今度は卒業文集を引っ張り出して、父親の作文を読んだ。
そこには、陸上部を立ち上げてからの三年間の軌跡が記してあった。
忽那の父親は、色々な部活から部員を集め、陸上の枠にとどまらない活動をして来ていた。
演劇部と結託して、「走れメロス」をやったり、
吹奏楽部を集めて、陸上部の応援歌を作ったり。
そして、最後にこう記してあった。
「何か一つのことを皆でやると、とても仲良くなれます」
……これだ!
「分かったぞ! アリスのお父さんがやったみたいに、何か一つのことを皆でやればいいんだ!」
「……面倒くさい」
その時、廊下で井本久一が、けたたましい声をあげながら走り去っていった。
「アリスが退部したぞおおおおおーーっ」




