第三十一話
作者 偽貍狸
「よし!」
弓は一言そう叫んでいま来た道へ走り出した。
「おおおっ!なんだ、珍獣がいたのか!」
するとあのよくわからない珍獣ハンター野郎もついてきて、驚異のスピードで隣へ追いつかれる。
……え、私こんなに足遅かったっけ。
確か弓は弓道部の訓練のおかげか、陸上部の人たち程は行かなくてもクラスでは結構早いほうだったはずだ。
それなのになぜ、ずんぐりむっくりの珍獣ハンターに追いつかれているのか。弓はどうしても理解ができなかった。
「珍獣ううううううううううーーーーー!!!」
必死な形相で走る井本だが、なぜか弓よりも汗をかいていなかった。
もしかして、これでも全力じゃなかったり…
そんなことを考えているうちにもう目の前はグラウンド。
そこを突っ切っている奇妙な組み合わせのふたりをどの部活も練習を止めてガン見していた。
________もちろん、アリスも。
グラウンドのはしの方で練習していたアリスはみるみるうちに近づいてきて、後ろからがっしりと弓と井本の肩をつかんだ。
「ふたりとも!陸上部に入りなさいっ!!」
「まて!それはいいがその前に珍獣だっ!!」
よくわからない流れであっさりと井本は陸上部に入部した。




