第二十一話
作者 栗原雪
「じゃあ、読んでもらえる?」
渡されたのは、『シェイクスピアの名台詞』
どうしよう、読める気がしないなあ・・・
そう思いながら1ページめくる。
「え~っと、逆境ぎゃくざかいが~与えるものこそ~美しい。それはガマガエルに似て・・・
え~っと、何これ?」
『プッ』
ブックマークがいきなり吹き出した。
「え? 何?」
私は彼女が何故笑っているのか理解できない。
「あなたって、本当に馬鹿ね。」
「へ?」
馬鹿とは失礼な!
馬鹿だけど。
「だって、漢字の読み方間違えてるし。 醜も読めないし。」
「すみません・・・」
苦手なんです、漢字。
「ちょっと、428ページ開いてくれる?」
「428ページッと。」
これなら読めそう!
「ものの善し悪しは考え方ひとつで決まる ・・・」
「よく出来ました。」
「どうしてこれを?」
「この言葉の通りよ。」
どういうこと?
頭にはてなマークが浮かんでいることに気づいたブックマークは、
クスッと笑って、
「だから、彼方にとって私の骨折は良くないことかもしれない。
でも、私にとっては学校で勉強せずに本読めるでしょ?」
なるほど! あれ?
「でも、本のページめくれないじゃん。」
「ホント馬鹿ね・・・ この時代、タブレットがあるでしょ?」




