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夏の雨

作者: 黒宮杳騏

耳に馴染んだ笑い声も

電話越しのように濁る

不自然に俯く事も出来ず

揺れるコーヒーに映った

自分を両手で隠して


白過ぎるカフェオレは君に似ていると思った


ぐるぐると 隠していた言葉が胸で虚しく回る

溶け残った螺旋の底で

甘い筈の砂糖が嫌な音を立てた


君が混ぜてるカップの中

踊るスプーンと同じなのに

左手の指で光るそれは

きっと幸福をかたどった

見えない拒絶の銀色


強過ぎるシナモンが胸を締め付けて香った


躊躇っては触れられずに 届かぬ距離で背伸びしていた

冷めきった苦味は重く

喉の奥につかえて上手く飲み込めない


2月の切なさより

空は寒くて雨が降りそう

誰かの短冊が

濡れて小さな願い滲んだ


跳ねる兵児帯が悪戯に

手にした花火の軌跡は

淡々と曖昧な心を見透かして煙った


見え透いた嘘は脆くて言えない今夜 もう少しだけ

水に落ちる線香花火

尽きるまでの間は君を好きでいたい

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