星の後悔、花の叫び
菜々(ナナ)へ
君を残して那月のもとへ行ってから、一ヶ月が経ちました。
後悔、しています。
那月は太陽を忘れられず、俺に太陽を重ねているようです。
俺は間違った選択をしてしまったのかもしれません。那月もお前も幸せにできなかった。
菜々に無視され、初めて気がつきました。俺がしたことはお前を捨てたことも同然だということ。
あれから話すこともままならぬ、きちんと別れることができなかったので手紙を書きました。
別れよう。
振り回してごめん。
お前を優先できなくてごめん。
幸せになってください。
光星
星は俯いた。
花は前を見据えた。
光星へ
二ヶ月、避け続けてごめんなさい。
私なりに考えたいことがあって、顔を合わせられなくて避けてしまいました。
あなたは前からこうなったら、をよく話してくれましたね。
こういう形になるとは思いも寄らなかったから、すごく悲しかったし、つらかった。
正直、捨てられたと思った。
あなたが、何をしたいのかわからなかった。
彼女は死なずにすんだかもしれないけど、私の心はあなたによってこわされました。
それだけは紛れもない事実です。忘れないで。
でも、私はあなたのことが好きです。
まだ、好きなの。
あなたが、まだ私のことを好きだと……那月さんよりも好きだと言うなら、金曜日の放課後、校舎裏に来て下さい。駐輪場で待ってます。
菜々
二通の手紙の送り主は、お互いを思い合っていた。
星は月になびきかけたが、やはり野の花の素朴な可愛さを忘れられなかった。月は、他に光を見つけるだろう。
星は花と共にありたかった。けれど、花の幸福を願い、身を引いた。
太陽が沈む。
花は頭を垂れる。
星は揺れた。
花は叫んだ。
星は花の叫びに揺れに揺れて、花と共にあることを誓った。
彼らはまだ、幼い。
読んでいただきありがとうございます。
男の子についてはいろいろあると思いますが、作者がはじめに書こうと思った子から離れてしまい最低男風になってしまいました。なんとかおわったのでとりあえずこのシリーズは完結です。
このシリーズを読んでくださった読者様、月編や活動報告に感想をくださった橋本ちかげさん、その他応援してくださった皆さん、ありがとうございました!