入学
第2話です。
入学します。
【第2話・入学】
?「…!?……なんだ……夢か…良かった…アレ…?僕の名前は…なんだっ……け?…」
母「ホラ弘人!!学校遅刻するわよー!入学式に遅れるわよー!」
弘人「あぁ、そっか…ヒロト…だったっけ…最近物忘れが酷いな…ハハッ……」
僕は入学式の準備をサッサと済まし、母がいる1階へと降りていった。
母「アラ、制服、似合ってるじゃない!今日からあなたも一人前の高校生ね!」
弘人「やだなぁ、母さん。高校生っていってもちゃんとした学校じゃないんだから…僕の行く所は病院みたいなもんだよ。」
弘人(母さんは呑気だ…どうして…僕の行くところは学校じゃないのに…)
母「何言ってるの!あなたはもう一人前の高校生なのよ!高いお金だって払ってるんだから!ホラ!遅刻するわよ!」
弘人「分かったよ、母さん。それじゃ、行ってきます。」
母「行ってらっしゃぁい!」
僕は気怠く家を出た。
学校…じゃない、病棟までは僕の家から歩いて20分程度だ。以外と近いかもしれないが途中の上り坂が結構キツイ。
この坂を登りきると病棟がある。
弘人「さて、病棟に着いたぞ…こう見ると、結構綺麗だな…」
病棟に少し見惚れていると続々と病棟の門をくぐる僕と同じ制服を着た生徒達がいる。
みな、僕と同じ様に精神異常者なのだろうか…
そう思いながら門をくぐる。
弘人「ここが式場の入り口か…誰も案内とかしていないのか…まぁ…精神異常者が多いから当たり前か…」
僕は少し嘲笑いながら式場に入った。
中には大勢の生徒が沢山のパイプ椅子に座っている。
僕は適当な場所に座った。椅子が固い。鉄パイプ椅子特有の冷たさと固さがお尻を伝わってくる。
弘人「家のソファーがいいな…」
僕がそう思うと壇上に誰かが出てきた。綺麗な頭髪、ビシッとしたスーツを着こなしているあたり、ここの校長だろう。
校長「こんにちは。みなさん。校長の白石 稔です。この学校は精神異常を患っている君達にに入学してもらいたい学校です。完全防備の校舎、安心安全な給食。君達に合った学業。この学校に入学すれば君達は変われます。」
フン、決まりきった文句だ。こう言って精神異常者達を騙し学校と偽り、この病棟に入学させているのだろう。
校長は話を続ける
白石「この学校では1学年5クラスで編成されます。今から紙が1人1人に渡されます。その紙に自分の名前があると思います。自分の名前が書いてあるクラスに行ってください。」
弘人「はぁ…始まっちゃうなぁ…僕は何組なんだろ…」
僕が呟くと紙が渡された。
これがクラス編成の紙か。
僕は…1年2組…か…
白石「それでは、式を終了します。みなさん、それぞれのクラスに移動してください。みなさんのより良い学校生活を心よりお祈りします。」
弘人「教室に…行くか…」
【第2話・完】