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大空と銀翼  作者: つけもの
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プロローグ

今から100年程前、セリウムと呼ばれる鉱物が発見された。非常に高い応用性を持ち、特にこれを用いた永久機関は人類史上でも偉大な発明だったが、しかしこれを巡り人間が争わない道理は存在しなかった。

セリウムとそれを加工するのに不可欠な大量な水、特に水が絡んだ事により事は簡単に事は運ばなくなった。人間が生きる事に必要な水資源と更に大きなアドバンテージを得る事ができるセリウム、そのどちらをも巡り争いは過激さを増していった。永久機関の発明から80年、人間は何一つ変わる事なく資源を巡る対立を続けていた。


夜明け前の薄暗い空を異形の影が二機、編隊を組みながら飛んでいる。

薄い戦闘機の形をしたそれには風防(キャノピー)の代わりに機体と同じ薄暗い灰色をした装甲、本来なら翼があるべき場所にはそれすら無く、代わりに大型のコンテナを積んでいたがそんな空力を無視した特異な形状であってもそれは悠々と飛んでいた。

コックピットの中では宇宙服さながらの形状をした新型対Gスーツを着込んだパイロット達がタンデム型の座席に収まりながら全面に張られた切れ目の無いモニターに映った機影を眺めていた。

「こちらナイトホーク1、敵機を目視した、要撃行動にうつる」

「こちら東方防空司令部、了解、引き続き警戒を怠るな」

ナイトホーク1の前席パイロット、アレックス・カニンガムは後席で防空司令部との交信を終えたヴァルター・カリウスを見やり、彼はその視線に気がつくと顎で前に集中するように促した。

何故彼らが迎撃任務に赴いてるかを語るのは簡単である。彼らの住むアメリア共和国と隣国のエレニアとの緊張状態が続いているのはここ十年程の話であった。国境に近い山岳地帯からセリウム資源が見つかったのが発端に良好だったアメリア、エレニア両国間の関係は悪化の一途をたどり、ここ数ヶ月の間では開戦の兆しさえ見えるようになっていた。

そんな訳から元々は首都防空団所属のアレックスも指揮下の飛行小隊と共にエレニアとの国境線の防衛役である東方航空団に転属していたのでる。

アレックスのナイトホーク1は僚機のナイトホーク2と共に敵機の後ろにつくと自動で警告文を発信した

「こちらはアメリア東方防空団所属機である、貴機は我々の迎撃をうけている、直ちに武装解除し当方に帰順せよ、繰り返す・・・」

アレックスは女性的なロボットボイスが読み上げる警告文を聞き流しながら前方にいるエレニア軍機を見つめてた。彼の右手は握っている操縦桿のスイッチでいつでもFCS(火器管制装置)を戦闘モードに切り替える準備が出来ている。

警告文が五周目にも差し掛かろうとする時にエレニア軍機はバンクを振ると自国領内へと引き返していった。

アレックスは深いため息をつくとそれを聞いてヴァルターが笑った。

こうしていつもと何一つ変わらない業務を終え、自分の巣へと戻っていった。その何一つ変わらない明日が来る事を信じながら。

なんだかんだと言ってる間に二作目ができました

ぼちぼち書き進めながら上げていきたいと思います

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