神様(ただし課長クラス)に出会いました
………………
…………
……
う~ん。
あれ? 何で私、倒れているのだろ。
ああ、私、同級生の子に駅のホームから押されて、それから……
薄れていた意識を徐々に起き上がってきた。意識が復活した先に見たものは。
アゴヒゲを生やしたおっさんが顔面全体に写っていた。
「……」
「……」
ガッツン!!!!
「痛い!!」
とりあえず、目覚めて早々知らないおっさんの顔なんて気分が悪いので、頭突き食らわしてやった。(因みにに私の頭は石頭だ)
おっさんは私の頭突きが効いたのか、悶え苦しんでいた。起き上がっておっさんを観察して見た。
おっさんは五十代ぐらいで、黒の髪に目。顎髭も黒だ。不健康にガリガリに痩せている。第一印象は気の弱い奴と思った。
「ひ、ひどいよ~。いきなり頭突きなんて……。心配してたのに~」
「目覚めて早々に知らないおっさんの顔なんて、気分悪い事この上無いんですよ。後、いい年したおっさんが語尾を伸ばさないで下さい。普通に気持ち悪いです」
私はそう言うと、今度は周りを見回した。(その間おっさんは私の言葉に傷付いたのか、落ち込んでいる)
周りは野原で至るところに花が咲いている。良く良く見れば椿、桃、桔梗、あ、あっちには金木犀がある。季節の花を齧っていれば、絶対一緒に咲かない花が幾つも咲いていた。
「ねえ。動いても平気?」
やっと復活したおっさんが立ち上がった。このおっさんひょろりと背が高く、私の上半身二つ分の背の高さだ。
「……大丈夫ですけど何で聞くのですか?」
そう言うとおっさんが気まずそうな顔になった。
「あ~その……。君がここに運ばれた時、色々と大変だったから……」
「臓器と骨が出ていたと?」
「女の子がそんな事言うもんじゃないよ……ちょっと血は出てたけど」
成程。だから制服がボロボロで、所々真っ赤な所があるのは私の血か。
「一様治療したけど、痛い所は?」
「特にありません。ただおっさんに膝枕されて、しかもおっさんの情けない顔をドアップで見たせいで精神的苦痛を感じます」
「そこまで言えるなら大丈夫だろうけど……本当にひどい」
おっさんは肩を落とした。
「ところで私から質問しますけど」
「言いけど、質問て何?」
「一回しか言わないから、しっかり聞いてください」
私はおっさんを真っ正面から見た。
「第一に此処はどこか。第二に貴方は誰か。第三に何で私が此処に居なければならないのか。最後に……」
私はそこで言葉を切った。
「……私と一緒にいた男がいたけどソイツはどこやった」
おっさんは困ったような顔をして頭を掻いた。
「……とりあえず座ろうか。長くなる話になるから」
「……良いですよ」
おっさんは指をパチンと鳴らした。
すると二人の真ん中に白のテーブルとイスが現れた。ご丁寧にお茶菓子まである。
「紅茶でいい?」
「構いません」
私がそう言うとおっさんはカップに紅茶を注いだ。そのまましばし紅茶の味を楽しんでいた。悔しい事にオッサンが淹れた紅茶は美味しかった。
「・・・・・・・・・・・・君もだいだい分かっていると思うけど、まず此処は人間から天国と呼ばれてる所の一室」
「一室?」
私はそのままお茶少し飲んだ。
「此処は傷が酷い人が癒す所。他に生前心のケアを必要な人の専用の所がある。とにかく天国はものすごい広いんだよ」
そのままおっさんはクッキーを食べた。
「なるほど」私
もチョコクッキーを食べてみた。……これも美味しい。
「本当広すぎてなんど迷子になったことか」
おっさんは溜息を吐いた。
「良い年した大人が迷子にならないで下さいよ」
「ハハハ。何せ私も此処に来る事は滅多にないからね。二つ目。私の正体は…………人間から『神』と呼ばれている」
おっさん、もとい神様はそう言った後、チラリと私の方を見た。
私はそんな視線を気にせずにまた一つクッキーを取った。
「……あまり驚かないね」
「だいたい予想してたんで。後、神様だからこそ天国で迷子にならないで下さい」
「神様相手に厳しく言うね~。と言っても、私以外にも神はいて、私は中級クラスの神なんだ。
まあ、会社で言う課長クラスでね、君が知ってる神、たとえばゼウスとかアテネとかは上級の神、会社で言う社長とか会長クラスだね。つまり此処は本社、本来の私の場所はもっと別の場所で、例えると地方の小さな会社に勤めている様なものだね」
「へー」
神にも格差とかあるのか。何とも世知辛い世界だな。
「で、何で私が死んでしまったんですか? まさか手違いな訳じゃあないでしょうね?」
ギグッ!!!!
神様は滝の様な冷や汗をダラダラ流し、顔は大丈夫かといいたいほど真っ青になった。
「…………今すぐあやまるなら怒らないであげます」
「すいませんでした!!」
私は鎌を掛けるつもりでそう告げたら、最後の『す』の所で神様が綺麗な直角に腰を曲げて謝りだした。それはそれは見事な直角だった。
私はお茶を一息飲んで、深く深く深呼吸をした。
「今すぐ私の死んだ理由を話せ」
軽く殺気でも出たのだろう。神様の癖に半泣きになってきた。




