全ての始まり
エブリスタから持って来ました
よろしくお願いします。
初めまして。私の名前は……紹介するほどでもないか。
血液型はO型、誕生月は三月。スリーサイズは内緒の普通の女子高校生だった。
なぜ過去形かと言うと、あいつのせいである。
あいつは成績優秀、運動神経抜群のイケメンヤローである。
今まで告白された女の子は大金持ちの蝶ヶ崎さん、生徒会長の茜浜先輩、留学生のアネッサ等々(全員美少女)数知れず。しかも人望があるから人はヤツの事を『完璧超人』と呼ぶ。
そんな奴があろう事に私に何かと構ってくる。……自分で言うのもアレだが温和で平和主義な私が心底、豆腐の角に頭をぶつけて死ねば良いのにと思っている位に。
その上今までに告白した子全員に交際を断ったから、まあ大変。(なんて命知らずな事をする)
その結果私は全ての女子の敵になってしまった。
それからは靴を隠されるは、シカトされるは、水を掛けられる。あまりにの陰湿さに普通なら不登校になるレベルを(女のいじめは心底怖い)私は耐えてきた。
だって私は関係ないし、どう考えても告白を断ったあいつのせいだし。第一、いろんなタイプの子がいたのに全部断ったんだよ。(まさか、あいつホモじゃないだろうな)
私はただ、普通に卒業して普通に会社入って普通に結婚して普通に子供を産んで普通に死ぬ事が私の人生プランだったのに。
あいつのせいで何もかもめちゃくちゃだ。
今日も激しい攻防戦を繰り返してきた。上からの水落としを勘をフルパワーで使い避ける。シカトについてはこれは気にしない。てか、一人の方が好きな私には好都合で、対して辛くも苦しくもない。靴隠しには、ある隠し場所に靴と学校専用スリッパを隠している。その場所は、女子は決して探さないから大丈夫だ。
その隠し場所は、校舎から数メートル離れた場所にある、男子野球部の部室だ。
野球部の部室は、男子の汗と香水と腹ごしらえの食べ物などの匂いが混ざって、異臭が凄い事凄い事。おかげで女子はマネージャー以外、決して近寄らない場所だから私は目を着けた。その上、野球部のキャプテンが同じマンションの同じ階同士で、頼み込んだら快く了承してくれた。
その時にキャプテンから初めて聞かされたのが、全校女子が私の敵ならば、全校男子は私の味方らしい。私へのいじめにはかなり嫌悪と反感を持っている様だ。同じ学校の彼女がいる男子の中に破局を考えている者もいるらしい。
ちゃんとした感性を持っていているならば、何故あいつの事を憎むか嫌いにならないのか。キャプテン、あんた生徒会長の事好きだったんじゃなかったのかよ。好きな人が他の男に告白されて振られたんだぞ。後、彼女持ちの男子達。お前等の彼女はあいつに告白しているたぞ。ビッチ女だぞ。検討以前にそんな女早く別れな。
まあ、話が脱線してしまったけど簡単に纏めると。
あいつ大好き女子VS私に同情している男子の図に分かれている。
そんな訳で、私が暴力を振るわれたら男子は振るた女子に冷たくもしくは抗議したり(ここで殴らない所が我が学校男子の良い所)匿ってくれたりしてくれる。
そんなわけで、私は今日も自殺せずに頑張って生きている。
因みににあいつは私がいじめられている事も、女子と男子が対立している事も、学校側が私のいじめを知っていて無視している事も、全部の原因は自分にある事も全然知らない。
そう言う無神経で鈍感な所全てが嫌いだ。
まあ、別に良いけど。どうせ高校までの我慢だ。
大学は県外か海外留学を考えている。将来は記憶力の良さを生かして、翻訳家を目指している途中だ。流石のあいつも同じ大学を目指さないだろう。……念の為私の味方であり、あいつの友達でもある男子にそれとなくあいつの進学先を聞いて貰おう。
そんな事を考えて駅のホームまで着いた。ふと何気なく隣を見た。
『げっ』
隣にあいつが何時の間にか立っていた。幸いあいつは私に気が付いてない様だ。
私はあいつから気付かれない様に白いフードを顔が見えない様に深く被った。悪態も小さく言って良かった。
チラリと、もう一度隣を見るとあいつの後ろの女の子に見覚えがあった。
確か同級生の子で、あいつの事をまるで神様の様に崇めている子だ。可愛い顔をしているのに隈が出来て頬もげっそりと痩せていて、何と言うか目が軽くどこか飛んでいて、いろいろもったいないなーと思っていた子だ。世の中にはもっと良い男がいるから、早くこんな男諦めれば良いのに。
そんな時にスマホからラインが入った。家政婦の雪絵さんからだ。私は直ぐにラインを返した。そうして私は同級生の事をすっかり頭から抜けてしまった。
その時気付くべきだった。
その子が私の方を物凄い顔で睨んでいたことを。
《列車が来ます。黄色線から出ないで下さい》
アラウンスの後、列車の姿が見えた。
うん。黄色線から出てない。そう確認すると私はスマホを鞄に入れて列車が来るのを待った。
あれ?
何で私飛んでるんだろう。何で背中を押されたんだろう。何で私の後ろに隣にいる筈だった同級生の子がいるのだろう。何で同級生の子は笑っているのだろう。何で同級生のこ子笑顔から絶望の顔に変わったのだろう。何で私の右腕にあいつの手が掴んでいるのだろ。何で重い筈のあいつも飛んでいるのだろ。何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。
何でこいつは私を助けようとするのだろう?
ただ私が分かるのは、私とあいつが一緒に死ぬ事しか分からない。