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王様らしいナカナカに渋い声だ。
声だけなら、残念のザの字も浮かばないのにな。
やっぱり残念だ。
その残念な声で、何気に気になる言い回しをしなかったか?この王様は!
良かろうか?だと。
まて王様よ、何故に疑問系だ。
まさか勇者召喚を失敗して違う者を召喚した(喚んだ)事があるのか!?
いや、流石にソレは無………くもねぇーのか?
俺がココにいる時点でアウトだな。
因みに、俺は奴とのレベルが違い過ぎて存在さえ気付かれて無い。
存在感[空気]ナイスだ俺!
面倒事など御免だからな。
奴は考える素振りを見せたが解らなかったようだ。
俺としては考えるまでも無いと思うがな。
奴は首を傾げ、
「すいません。私には分かりません。」
王様に向け、頭を下げる奴の姿も姿勢も美しく様になってる。
謝罪姿も美しいって…コレもチートなる技か!!
奴は何してもアッサリ許されそうだ。
少々、馬鹿な事を考えていた俺の方にも、奴は困った顔を向けて来た。
その奴の視線を追うもの幾人か……。
あー…、せっかくの存在感[空気]が…。
奴の動きで、俺の存在が認識されたようだ。
奴のスケジュールの全てが定まった後が良かったんだよ!
俺の事は。
驚きと訝しげな思いが籠った視線が突き刺さる。
奴と一緒にいる事が多いい俺は、似たような状況に陥る事が良くある。
その度に思うんだかな、簡単に魅了され過ぎじゃねーか、お前ら。
で、大体の信奉者は奴の側にいる俺を敵害視するんだな。
奴から離れれば解決する。
試した事も有るが、結果、無駄に終わった。
余計に奴がかまって来るようになり、状況を悪化させやがった。
まったく、いいかげんにしやがれってんだ!!
どうやら世界が変わっても状況ってもんは変わらんらしい。
周囲からのあたりが、徐々にキツくなって来ている。
あぁ〜、めんどくせぇ〜…。
そんなに牽制しなくとも奴以外居ないだろ、勇者なんて者に相応しいのはよ。
「これは失礼いたした。
では、お二方、詳細と念じていただきたい。」
お二方と言ってはいるが、王様は超絶美形から目が離せないらしい。
「異界よりの来訪者は、それで確認出来るのだと聞いておる。」
場の空気を読まないってのも、王様の必須スキルなんかね?
どんどん殺伐とした空気と物騒な呟きが溜まっていってるんだかなぁ。
王様、見事なスルーだ。
いっそ、清々しい程だな。
褒めて遣わそう。
王様のスルースキルに感心している間に奴は詳細表示させたらしい。
何故分かったは、簡単だ。
見りゃぁ分かる。
何と言っても、奴の動きが変だ。
空間を見てるって感じだな。
ソレに慣れるなよ…、元の世界でやったら危ない奴認定だぞ。
そう言えば、王様が何か言ってたなぁ。
“詳細”だったか?
コレも定番中の定番だな。
キング・オブ・定番!
独自性の何かってもんは無いのか?
つまらん。
俺の詳細が表示される前に、奴は答えを見つけたようだ。
周りの有象無象連中も気付いたか。
周囲の期待が半端ねぇ!!
まるで怨念だな。
非常に有難迷惑。
対象が俺じゃないってのが唯一の救いだ。
「どうであった?そなたのステータスに“勇者”の文字は有ったであろうか?」
王様の問いに、頷きながら「はい。勇者と出ています。」と返した奴は、会心の一撃・真摯な微笑みを炸裂させた。
固まってるぞ!!硬直してるぞ!!
うっわぁ〜!!
顔、真っ赤だ!
これは間違いなく…クリティカルヒットだ!!
奴は王様を魅了(落と)した。
王がコレで大丈夫なのか!?この国は!!
簡単に魅了(落ち)過ぎだろ!!
「「「おおぉぉぉ〜おおぉぉぉうぉぉ〜!」」」
聞くに耐えない野太い声の歓声だ。
奴が勇者で嬉しいのは分かったから、いい加減ヤメロ。
あんまり聞きたいってもんでもねぇーんだからな。
黄色い声もウザイが、まだコレよりはマシか?
………いや…、大して変わらんな。
さて、勇者宣言した奴と満足そうな王様が何やら話ているが、放って置こう。
何ら問題は無い。
テンプレート展開の世界だ、大体、何を言ってるかなんざ、丸わかりだろ。
魔王を倒して人類を救えってトコロだな。
一番の定番の定型文だからな、まぁ間違い無いだろう。
随分と短いが奴と王様の話は一段落したようだ。
もっと心行くまで話し合った方が良かろうになぁ。
グルン!!なんて効果音が付きそうな勢いで奴らは振り返る。
話し合いの時間は短いが、良く息が合っているようだ。
良かったな、王様。
俺が丸っきり他人事で良かったのはココマデだった。
癪に障るがな。
何故だか、奴らは俺を見ている。
オカシイ…奴がオカシイ。
何故だかキラキラしてるぞ!!
天然のエフェクトか!
それにしても、俺の詳細がマダ表示されんのだが…時間かかりすぎじゃね?
まぁ、何時かは表示されるだろう。