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世の中にはな、神様に溺愛されてる人間ってのが居るんだ。
マジで愛されまくってるって感じの奴が、確実にな。
はあ?お前、何、言っちゃってんの!?って感じか?
まぁ、そりゃそうだな。
そう思われても仕方無い事を言ってるって自覚は有るよ。
俺だって他人から言われれば“何だコイツ!?”って思うわ。
だけどな、そうも言ってらんねんだよな〜。
俺の身近に居るんだよ、そんな奴が!
俺と奴は幼馴染みってヤツだ。
チビッチィ頃に行った近所の神社の初詣で奴と知り合った。
何故だか気が合っちまったんだよな…。
その頃から奴は存在自体がチートでな。
その辺のアイドルなんか、足元にも及ばない様な超絶な美形っぷりだ。
老若男女の垣根無く、奴の信奉者が一杯いる。
今では校内外にファンクラブがあり、総会員数が万に及ぶ勢いで増えているとか…。
全く、何者だよ、お前は。
身長は180台後半、嫌味な位バランスの良い肉付きの体。
ポイントを上げるなら腹筋だな。
8つに割れてるぞ。
つまり奴は細マッチョだ。
アーモンド色のサラサラの髪を陽に晒せば、淡い金髪に見える。
染め知らずの天然色なんだと。
一応、言っておくが、奴は日本人だ。
まごう事無き純粋の日本人。
何故、奴の髪が金髪に見えるのか。
そんなもん俺だって知らん。
頭の出来も良く、成績は常に上位をキープ。
5位圏内にランクインしている常連だ。
全く、どんな頭してるんだ。
一度かち割ってどういう構造してるんだか見てやりたいよ。
はぁ…、顔に頭、これだけで十分だろって思うやな。
けどな、まだ有るんだ。
運動神経もスコブル良好。
チビィ時からやってる剣道は、何か知らんが大きい大会で優勝出来る腕前らしい。
部活程度なら、慣れないサッカーやバスケでも、レギュラーと同等位には動ける。
だからよく泣き付かれてる場面に遭遇するんだ。
これで性格が悪ければ、全部が良いなんて奴は居ないんだって、ほっと出来るんだがなぁ……。
泣き付かれて“放っとけない!”なんてほざいて助っ人を引き受けちまうお人好しだ。
珍しく1日中予定の無い休みだってのに、助っ人で朝から夜まで大忙しだ。
夜、ぐったり疲れきったコイツと顔を合わす度に、本当は馬鹿なんじゃないか?って思うよ。
更にコイツを取り巻く環境も普通じゃない。
まずは、実家な。
簡単に言えば、実業家の息子だ。
だが、ただの実業家じゃない、“世界有数の”って言葉が頭に付く。
チビィガキだって知ってる超巨大企業の後取り息子だ。
正真正銘の御曹司って奴だな。
そんな奴の元には、不思議と似通った者共が集まって来るんだ。
俺的には、正直、煩いわウザイわで敵わんがな。
何がって言えば
所謂、どどめ色の声と黄色い声って奴だよ。
特に奴が生徒会長になってからが著しく酷い。
俺に向けられるのが黄色い声ならマダ歓迎するんだがなぁ。
まぁ、有り得ないがね。
で、だ、奴が生徒会長をしている学校も半端じゃない。
当たり前と言えば当たり前なんだけどなぁ、血統書付きの坊っちゃんや嬢ちゃんが通う学校だ。
普通のはずが無い。
一言で言うなら、宮殿だな、宮殿。
いやぁ〜、眩しい眩しい。
至る所でキラキラ光る黄金。
白く滑らかな大理石の床と壁。
更にペルシャ絨毯が一面に敷かれた廊下。
有名画家の描いた絵画が、何の気なしに飾ってある。
他にもモロモロモロモロ…って、遣りすぎだろ!!
いい加減にせい!!
誰か渇入れろ!!渇!
庶民が色んな悲鳴を上げるそんな学校が似合う、それが奴だ。
これで少しは分かってくれただろう?
奴が神様に溺愛されてる者だって事が。
だから、俺は思う訳だ。
あぁ〜、巻き込まれたな。ってな。