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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無題シリーズ

下水道

作者: みづ きづみ

自分が中学生の時に書いたっぽいのですが、正直草生えました

色々改稿しました

 僕はある日の会社帰りにある物に恋をした。

円形の黒色の顔。その体は顔で隠れていてよく見えない。

それに重くて顔を持ち上げられない。


 そこがまた良い。


 簡単には手に入らない方が恋のし甲斐があるってもんだ。

家の近くにあるそれは、妻と違っていつも笑い掛けてくれる。

嗚呼、これは浮気になるのかな…。嗚呼…浮気のスリルは堪らない!


 それは何かって?


 それはマンホール。

いや、細かく言うと下水道。


 触れてみると、太陽の熱を吸収していて温かい。

僕は今日も彼女に挨拶をする。

そして僕は思った。

彼女……毎日独りで寂しくないのかな。


 そうだ! 家族を作ってあげよう。

そうすれば浮気のスリルも上がるしね。


 次の日から僕は、彼女に家族を増やしてあげることにした。


 先ずは誰がいいかな。

僕は通勤途中の電車の中で考えた。

デスクに向かい、仕事をしている時も、仲間と昼食を摂っている時も。

そして長い一日が終わる。

バス内で決めたことを反芻する。

最初は近所の子供。最初は近所の子供。最初は近所の子供。最初は近所の子供。最初は近所の子供。最初は近所の子供。最初は近所の子供。最初は近所の子供。最初は……--


 『次は○△。○△。』バスのアナウンスが、最寄の停留所が近いことを報せる。



 明日は休日だ。

彼女に家族を増やしてあげれるな。

僕はほっこりした気持ちでベッドに入った。


翌日僕は早速、近所の公園に出掛けた。

最初は近所の子供。

それを胸に。


 公園には親子連れの集団がたくさんいた。僕は顔見知りの奥さんに挨拶を交わす。

「おはようございます!そのお子さん、貰いますね!」


 僕は優しくそう言って、近くで遊ぶ3、4歳のガキを包丁で滅多刺しにした。

あれ?可笑しいな。奥さん…何で叫んでる?


それに……おい!そのガキを庇うな!!


 僕は奥さんも仕方なく刺した。

ずぶぶと背中に包丁が沈む。


 悪くない感触だな。

僕は狂った様に奥さんの背中に包丁を沈めた。

よく周りを見てみると、他の親子連れが逃げている。


んー。うん!仕方がないな。

それに、射程圏内!よーし!

ガチャリ

タタタタタタタタタタタ


僕は懐に隠しておいた、使うことは無いだろうと思っていたマシンガンを取り出した。


ああー。糞!

あの感触は無いなー。

やっぱり次から包丁にしよう。

あ、でも、チェーンソーもあるな。

次はチェーンソーで試そう。


僕は公園に倒れている数十人の死体を順に蹴りながら家まで運んだ。


全く、重いな。でも彼女の為だ!


途中、何人か驚きの表情を浮かべる人に出会った。もちろん全員家族だ。


今日はなんてついてるんだろう。彼女はきっと喜ぶぞ!


 家に着いた。


いやー大量大量!


 僕は彼女に新しい家族を紹介する。

「…でこっちがお隣の西東さん。仲良くしてくれよ。」

僕は彼女に念を押す。


彼女は人見知りだからなぁ。


微笑ましい。

僕は体に付着した新しい家族達の血を流す為、風呂場に入った。


「おおっと失礼。」

今年で19になる僕の娘だ。


「お…お父さん?…その服…赤いの何??」

「ああ、これはね……」

僕はそう言いながら娘の腹に包丁を沈めた。


うーむ。

良い感触。

ついでに首も斬ってみる。

おおー!凄いな。

これはシャワーだ。

ははは。

僕はそこで本来の目的を思いだし、シャワーを浴びた。


朝風呂はいいなぁ。

おう、そうだ。

彼女に娘を紹介してやらねばな。


 僕はさっと体を洗い流し、パンツを履いた。

娘の顔と体を両手に持ち、彼女の元へ急ぐ。

「僕の娘だ。よろしくな。」

また1人、新しい家族。

僕は何て良いやつなんだ?

嗚呼、この心を満たす充足感。


 翌日から、僕はまた会社で次の家族を誰にしようか考えた。

そういえば、同僚の1人の顔に赤いものが付いてた様な。

それに、社長は新しい家族がなんたらかんたらと……気のせいかな?


 それからはまた暇な毎日が始まった。

デスクに向かい、キーボードを叩く退屈な毎日。

でも、それさえも彼女の為を思えば頑張れるんだ!


 僕はこの1週間でかなりの成績を残した。

社長には昇格も近いと言われた。

何もかもが上手く行くなぁ。

これも、彼女と出会えたからだ。


 明日は休日だ。

そろそろ、親戚を紹介しても悪く無いな。

そういえば、妻が春佳がいないと僕に泣きついて来たが、春佳は何処に行ったんだろうか。



僕が彼女に紹介したんだ。

僕は妻に、「春佳なら、住み込みでアルバイトに行っている」と言っておいた。

だってややこしくなるじゃないか。


 それから、明日は祖父母の所に行くと言っておいた。

妻は仕事らしい。

ならいいや。僕1人で行こう。


 そして翌日、僕は車を高速に乗せて祖父母の元へと急いだ。

今、祖父母は寝たきりで介護のヘルパーさんが付きっきりで看病してくれている。勿論、交代でね。

でもそれも申し訳ないし、ヘルパーさんも開放してあげないとね。


 僕はいつも通りに包丁で挨拶。

死体は車が軽自動車だから入らないので放置することにした。


そして祖父母。僕が来たことに気付いていない。

仕方ないなぁ。


「お爺さん、お婆さん。僕ですよ。」

…………。

よし、いいや。連れていこう。


 僕は車からチェーンソーを取り出した。

ブロロロロロロロロロと小気味良い音がする。

「2人共ー。少し痛むけど我慢して下さいねー!」


 僕は2人を横に並べ、一気に斬れるようにした。ゆっくりと首にチェーンソーを傾けていく。

刃が2人の薄皮を裂く。そして肉。


ぶしししし。ぐちゃちゃちゃちゃ!


うんうん。

2人の断裂は終了。家に運ぼう。


 妻の方の祖父母も殺りたかったが、もう時間が無い。

彼女は僕を欲している。妻を紹介したら僕も逝こう。

僕は車に鞭を打ち、家へと走らせた。


家。

時間はもう11時。

取り敢えず、祖父母の紹介を済ませ、妻の眠る寝室に向かった。

チェーンソーは止めよう。近所迷惑になるし。


 ハサミで良いか。めんどくさいしな。

僕は髪を切る時のハサミを手に持っていた。


「おい、おきろ。」

「……んん。何よ?」


同時に首をハサミで断裂させた。

よし、あとは僕。妻を彼女に紹介し、僕は彼女の中へと入った。


ふむ。思っていたより、広いな。

見掛けによらず、心が広いんだね!

僕は彼女に惚れ直した。そうとなれば、僕もだ。


包丁を首へ持ってきた。

降り下ろす。

僕は永遠に彼女と1つに成った。



3日後


「警部!白高警部!」

俺は白高順次。鹿児島県警の警部。

そして今俺の名を呼んだのは大井出。

俺の部下だ。まあ、ただのアホだが。


「どうしたー。例の事件か?」


俺達は、いや、全国の日本にいる警察官はとある事件の為に毎日徹夜で勤務している。

それは、日本各地の至る所での失踪事件。

全く。どうなってる。


「はい!そのことです。し、失踪した場所に近い場所で多くの洪水が発生しました!」


どういうことだ。そういえば今日は大雨だな。


「ってお前、それ事件と関係無いだろが!」

「ひぇ!で、でもあるんですよ!例外を除く失踪した場所全てで洪水が起こっているんです!」

「へー」

「『へー』じゃなくて!」

「で、そこから何か見つかったか?」

「え?……い、いえ。」

「なら、話し掛けんな。」

「……す、すいません。」

「大井出、雨、止んだらそこ全部捜査に行くぞ。他の部署にも通達しろ。」

「あ…はい!」


こうやってアメとムチを使い別けるのができる上司ってやつだ。

「白高警部!ありがとうございます!」「おう。良いってことよ。」ってな。いや、悪くねぇ。


2日後

雨は止んだ。

俺と大井出は大阪府に行く事になった。

何でそんなに遠いのかと言うと、俺達の地位は低い……それだけだ。


「おうおう、人間存分にいるじゃねーか。」

大井出が大阪城付近を車で運転する。


「それはそうですよ。別に日本の国民全員が居なくなった訳じゃないすから。消えたと言っても全体の2、3%ですからね。」

「2、3%でも充分多い! 前見て運転しろ! で喋んな! うっせ!」

俺は大井出の後頭部を殴った。

正直……拳がはんぱなく痛かった。


「止めて下さいよ!もういつも警部はそうやって弱気を出してくれるんすから」

……いや、俺は別に弱気を出した訳じゃ…「警部!警部!ついたっすよ!」

いちいちうるさい奴だ。


 俺と大井出は車から降り、住宅地を見て回る。

「大井出。確か、洪水だったよな。」

「あ、はい!そうっすけど。」

「じゃあ、下水道を調べるぞ。」

「ええ!何でっすか!」

「そりゃ、洪水だからな。」


 俺は下水道の金網を思いきり引き上げた。

「うわっ!くっさい!」

下水道はある程度臭うものだが、この臭いは異常だった。

何と言うか……死臭?

そして俺は自分の眼を疑った。


「うわあ!……これは?」

「警部、どうしたっすか?」

大井出は穴を覗き込む。

「うわああああ!!」

大袈裟だ。

いや、そうでもないか?

下水道の中には7、80人分もの死体が積み上げられていた。

ガガガガガガ

無線だ。

「こちら白高。」

『こちら大西だ!これは……』

「やはりそっちもか。」

『ってことは……』

「ああ。そっちと同じだ。」

『これはヤバイ。俺は直ぐに救急車に連絡したが…』

「そうか、大井出!救急車!」

「あ、はい!」

大井出が119を押す指が見えた。

「とりあえず通信切るぞ。」

『ああ。』

ブチッ


こうしてこの事件は終わりを迎えた。


翌日

俺は出勤の為家を出た。

ふと、目の端に映った下水道と書かれたマンホール。

俺も、これに恋をしたくなってみた。

俺は次の日から、彼女に家族を増やしてあげることにした。

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