結末
バルバラが引き起こした誘拐事件から四年が経った。
結局バルバラは未成年であった事から厳しい規律のある修道院送りとなった。自分の過ちを認め、更生出来たら数年で出られたというのにヒロイン意識の強い彼女はそこでも問題を起こしたそうだ。
結局、悪評のある娼館送りにされたバルバラがどうなったのか私が知る事は出来ない。
せっかくヒロインに生まれ変わったというのに選択肢を間違えてしまったバルバラ。
同じ前世持ちだからか彼女の末路にはちょっとだけ同情してしまうところもある。
そう考えている事を話したらルードルフには甘いと言われてしまうのだろう。
「何を考えるの?」
「バルバラの事よ」
最愛の夫ルードルフに尋ねられるので嘘偽りのない答えを返す。
いつの間に準備をしていたのか私とルードルフは学園を卒業した後すぐに結婚したのだ。
いきなりだと文句を言うと「二年以上も我慢していたのに?」と笑顔で返されてしまった事は忘れないだろう。
既に公爵の座を父から譲り受けている彼は忙しい毎日を送っている。
忙しい身でありながら私との時間を大切にしてくれている出来る夫だ。
「あぁ、あの子か」
どうでも良さそうな表情を浮かべるルードルフに「ちゃんと覚えてるの?」と尋ねると頬を撫でられた。
「覚えてるよ。私の大切な宝物を傷つけた愚か者の顔を忘れるわけない」
私に関わる人だから覚えているのだ。
我儘だと分かっているが愛する人がバルバラの事を覚えていると思うと複雑な気持ちになってしまう。
「複雑ね」
「もしかして嫉妬しているの?」
にっこりと微笑むルードルフは楽しそうに私の頬を撫でてくる。
悪戯な指を取り上げて根元に輝く金色の指輪をなぞりながらにやりと笑う。
「嫉妬してるのはルードでしょ」
「私が?誰に?」
「この子よ」
お腹を摩って見せればルードルフは苦笑いを見せた。私の手に自分の手を重ねた彼は「そうだね」と呟く。
「私と違ってこの子はずっとディアと居られるから羨ましいよ」
「貴方の子なのに?」
くすくすと笑いながら返せば優しく抱きしめられる。腕の中で見上げたルードルフは相変わらず苦笑いのままだ。
「私は心の狭い男なんだ」
「よく知っているわよ」
想いが通じてからのルードルフはヤキモチを妬く回数がとにかく多かった。
バルデマーを始めとする攻略対象者や他の男性と話すだけで激しく嫉妬されたものだ。
結婚してからは少しだけ落ち着いてくれたけど身篭ってからはまた再燃している。
「面倒な私でも愛してくれるかい?」
「勿論よ、貴方は前世の頃から好きな人だもの」
触れ合うだけのキスを交わす。
私は破滅予定の悪役令嬢に生まれ変わった。
しかし今の私は幸せだ。
つまり破滅はお断りになったのだ。
~ fin ~
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