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VR世界の双剣少女は初めてのゲームを満喫する  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中


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初心者ダンジョンを攻略しました(その2)

 蜘蛛から逃げ回った私は気付けば見知らぬ部屋の木箱の後ろに隠れていた。


「蜘蛛、もういないよね?」


 木箱の陰から部屋の入り口を見るけど、何もいない。

 もしかしたらとっくに逃げきれていたかもしれない。

 ともかく、追ってきていない。


「ここ、どこだろ?」


 無我夢中で逃げていたので、自分の現在地が全く分からない。

 ただ逃げた経路を覚えていたとしても、地図も何もないのでやっぱりどこにいるかわからないと思う。。

 とりあえず、お水を飲もうかな。

 別に喉は乾いていないけれど、気分を落ち着けるために水を一口飲んだ。

 落ち着いて、ようやく自分が座っている木箱の存在が気になった。

 

「この木箱、なんだろ? もしかして宝箱かな?」


 ダンジョンの中のものって自由に貰ってもいいんだよね?

 どうせ私が取らなかったら消えちゃうんだし。

 さっきまでの蜘蛛への恐怖が消え、ワクワクしながら宝箱を開ける。

 中身は――


「石?」


 中には灰色の石が大量に入っていた。


【魔鉄鉱石(良質):魔鉄の成分を多く含んだ石】


 こんなの貰ってもどうしようもないけど、とりあえずインベントリに収納しておこう。

 欲しい人がいるかもしれないし。

 石って結構重いんだけどインベントリに入れたら軽くて便利だよね。

 またダンジョン探索を始めよう。

 ……あれ? 扉は?

 部屋を見回しても扉がどこにもない。

 私、どこから入ってきたんだろ?

「あ!」

 よく見ると部屋の端に穴が開いていた。穴を覗いてみると、ダンジョンの通路がある。

 恐怖でおかしくなって天井に開いていた穴を見つけて入り込んだらしい。

 蜘蛛を見つけたら我を失っちゃうのはゲームも現実でも同じか。

 子どもの頃、剣道場に大きな蜘蛛が現れて大変な事になった。

 剣道の稽古中に蜘蛛が現れて道場から逃げ出そうとして、止めようとする門下生の兄弟子たちを全員倒して飛び出したことがあったらしい。らしいというのは、兄弟子たちを倒したことを一切覚えていないからだ。

 あの頃に比べたらいまはだいぶマシになって記憶を失うような混乱はなくなったんだけど、さすがにあの大きさの蜘蛛を間近で見たら仕方ないよね。


 とりあえず、現在地がわからないので適当に歩く。

 曲がり角を曲がって蜘蛛を警戒。

 いたのは、蜘蛛ではなく天井からぶら下がる黒い蝙蝠だった。


「よかった。蜘蛛じゃないなら怖くないもんね……でも多いなー」


 蝙蝠の名前はノワバットか。

 そのノワバットが十匹ほど天井からぶら下がっている。

 これって近付いたら襲ってくるよね?

 でも、あの高さだと剣は届かないな。

 襲ってきたところを返り討ち――っていうのが一番単純だけど、あの数を考えるとちょっと面倒だ。

 蝙蝠って狂犬病やいろいろな危ない病気菌を持っているって言うし。

 壁を駆けあがって宙返りしながらノワバットを蹴り落として――って手段も考えた。

 相手が一匹だったらその方法もありだけど、数が多いと面倒だ。

 だいたい壁を上っている間にその振動でノワバットたちが一斉に飛び掛かってくる可能性もある。


「そうだ、チャージ攻撃!」


 クレハスさんに教えてもらった双剣の遠距離攻撃技。

 あれを使えば天井にいるノワバットも倒せるはず。

 確か、剣を後ろに構えて――暫く待って剣が青く光ったら――


 放つ!


「できた!」


 チャージ攻撃、X印のビーム(正しくは剣戟らしい)が飛んでいく。

 だけど……あれ?


「当たらない?」


 剣戟は狙ったノワバットの方向ではなく明後日の方向に飛んで側面の壁に激突した。

 あまりにも狙った方向と違い過ぎて、ノワバットたちも自分が狙われたと思っていないのか動こうとしないのは幸いだった。

 でも、なんでだろう?

 クレハスさんに教えてもらったときはもっと上手にできたと思うんだけど。


「そうか、マニュアルモードっ!」


 クレハスさんに教えてもらったときはオートモードにしていたからチャージ攻撃も狙った方向に飛んでいった。

 でもマニュアルモードだと、剣の動きに呼応して飛んでいく場所が変わっちゃうんだ。

 チャージ攻撃は構えてから三秒の時間を必要とする。

 連続で放つことはできない。

 一太刀一太刀を大切にしないといけない。


 だったらオートモードで……ううん、ダメだ。

 オートモードは戦いにくい。

 チャージ攻撃が外れて相手がカウンターで襲ってきたとき、咄嗟にモードを切り替えるのに零コンマ数秒の時間を必要とする。

 その瞬間を突いてくる敵が現れないとも限らない。

 だったら、チャージ攻撃を使いこなす!


 一度戻ってノワバットのいない方向に――


 チャージ攻撃!


 さっきより近い。

 たぶん、このチャージ攻撃のイメージは剣による風圧が攻撃のイメージになるんだと思う。

 あれ? ってことは、チャージ攻撃って別に両方の剣を振らなくても両方の剣でそれぞれ別方向に剣戟を飛ばせるんじゃないのかな?

 それに、斬るんじゃなくて突く攻撃なら波形ではなく文字通りビームのような感じに剣戟を放てる気がする。

 試してみる。

 右の剣は斬る、左の剣は突く。

 二方向に飛んでいった!


「うわぁ……これは難しいよ」


 ただでさえ方向の定まっていない剣が余計に定まらない。

 でも、きっとできる。


 お父さんの意味のわからない謎訓練その17!

双掌妙技(デュアル・アーツ)


 右手でけん玉、左手でお手玉をして両手それぞれ別の動きを完璧にできるようにする稽古。

 あの時も最初は全然できなかったけど、修行を続けた結果、右手でもしかめ(玉を大皿と中皿を交互に移動させる技)をしながら左手でお手玉同時四つまで回せるようになった。

 あの時の左右同時に別の動きをするときのコツを思い出せ! 私!


 そして三十分後。


「待たせたね!」


 私は戻ってきたよ。

 ノワバットのいる通路に。 


「チャージ開始」


 剣が青く光った。

 まずは一の矢――左の剣の突き!


「命中した!」


 十匹のうち一匹に命中し、仕留めた。

 と同時に、他の九匹が一斉にこっちに飛んでくる。

 そこですかさず二の矢! 右の剣による払い!


 波形の剣戟がノワバット三匹を同時に捉えた。

 ノワバットが落ちるが、まだ消えない。


 さっきは一発で倒せた。

 感覚でなんとなくそうじゃないかって思ってたけど、チャージ攻撃は突きの方がダメージが大きいんだ。

 この使い分けを覚えたら、戦略の幅がぐんと広がるね!


 と考えているうちに、残りの六匹がこちらに接近してきたけれど、このくらいの数なら問題ない。

 いつもやってたことだから!


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