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VR世界の双剣少女は初めてのゲームを満喫する  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中


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釣りダンジョンに行きました(その8)

 女性三人で調理を始める。

 ミミーさんはシンプルに焚き火で魚を焼き始めたので、私は別の料理をする。

 小麦粉やパン粉、油、調理器具など調理に必要なものはリーフさんが持っていたので、フライにしようかな?

 あと、骨とか内臓とかそのまま捨てるのはもったいないから、川魚のあら汁も……味噌?


「味噌って売ってたんですか」

「ああ。調味料にだけ関していえば、砂糖や塩の他、西洋で好まれるスパイスだけでなく、味噌や醤油、味醂だけでなく豆板醤やコチュジャンなど様々なものが売っていた。ファンタジー世界には似つかわしくないが便利だぞ」


 確かに便利だと思う。

 食べ物って大事だからね。

 ということで、川魚をまずは三枚に卸す。


「コトネ、なかなか包丁の扱いがうまいな。普段から料理をしているのか?」

「はい。私の家、お母さんがいないから料理は全部私の仕事だったんですよ」

「……それはすまないことを聞いたな」


 リーフさんが謝る。

 微妙な空気が流れた。


「あ、違います違います! 死んだとか離婚したとかじゃなくて、私のお母さんは放浪癖があって年に数度しか家に帰ってこないんですよ」

「そういうことか。しかし、それは寂しいな」

「毎日電話で話してますし、昔からそれが普通のことでしたから寂しいって気持ちはありませんね」


 お父さんが寂しいと思わせてくれないくらい、変な訓練を考えて構ってくれたし。

 万能ペッパーミルで出した塩と胡椒を魚の身にまぶして馴染ませている間にあら汁を作る。

 そして焚き火で温めている間に揚げ物を――


「あ、揚げ物用のかまどがない」


 簡易のカマドは一つしか作ってない。

 もう一つ用意しようかな?


「ならこれを使おう。炎付与!」


 そう言ってリーフさんは大剣を抜いてスキルを使った。

 燃える剣をIHコンロみたいに使うってこと?

 剣を調理器具に使うっていいの?


「あの、油で汚れますけど大丈夫ですか?」

「油汚れくらい拭けばいいさ」


 リーフさんがそう言うなら使わせてもらおう。

 剣の上に油鍋を置く。

 火力は家庭用コンロ分くらい十分出ている。

 これで料理はだいたいできたかな? 


「後はこいつだな――」


 リーフさんはそう言って、下拵えの済んでいるそれを取り出した。


   ※ ※ ※


「お待たせ! ガンテツ、釣果はどう?」

「ボチボチだな。これは俺が貰っていいんだな」


 そう言いながら、ガンテツさんは許可を貰う前に魚をインベントリに入れていく。


「持って帰ってもいいけど、どうせ自分では調理できないわよね? どうするの?」

「行きつけの酒場に行って頼めば料理してくれるんだよ。俺が拠点としてる町の料理屋は肉料理はうまいんだが、魚がないから助かるんだ」


 調理してもらう――そういうこともできるんだ。

 だったら、ゲームの世界ならではの食材も用意できれば調理してもらえるんだよね。

 今回の料理に使わなった魚もいっぱいある。

 私の行ってる酒場にも川魚の料理はない……と思う。全部食べたわけじゃないからわからないけど。

 だったら、この川魚を渡して、ウィーン風の魚料理を作ってもらえるかも。

 四人で全員で料理に向かい合う。

 美味しそうな香りがしている。


「「「「いただきます」」」」


 まずは川魚。

 一口パクリと食べる。

 ……美味しいっ!

 え、何これ!?

 鮎とかの川魚の塩焼きを食べたことがあるけれど、それよりも身がふっくらしていて美味しい。

 塩も美味しい気がする。

 万能スパイスミルの力かな?

 フライもサクサクしてふっくらとしている。

 いい油を使っているんだろうな。

 あら汁も美味しい。

 現実よりいい食材が多いんだと思う。

 VRゲーム料理、楽しいかも。


「俺だけ一品多いな」

「唐揚げだ。ガンテツには面倒な仕事を押し付けたからな。詫びだ」

「いいのか? 悪いな」


 そう言ってガンテツさんは唐揚げを箸でつまむ。

 あっ……と声を掛けそうになる。

 リーフさんは嘘は吐いていない。

 唐揚げだ。

 ただし、鶏の唐揚げではない。

 カエルの唐揚げだ。

 ちょっとした悪戯だ。黙っていればわからないし喜んで食べる。

 そう言われている。


「旨いな。こんなうまい唐揚げ、店でも食べたことがない」


 ガンテツさんがカエルの唐揚げをパクパク食べる。

 美味しいんだ、カエル。

 ガンテツさんは最後の一個までしっかり味わって食べ終えた。

 うん、今更教えるのは嫌がらせになるよね。


 最後まで黙っていよう。


「いやぁ、カエルって日本だと滅多に食えないが、本当にうまいよな」

「「「え?」」」


 いま、ガンテツさん、何て言った?

 カエルって言った?


「ガンテツさん、カエルってわかってたんですか?」

「ん? そりゃわかるだろ。アイテム名もカエルの唐揚げって出てたし」


 そう言えばアイテムって凝視すれば名前と簡単な説明が出るんだった。

 料理も同じ扱いになるのか。


「嫌じゃないの?」

「そりゃ最初はどうかって思ったが、レクシアの街の飯屋や俺の拠点をしている街でも蛙肉の料理があるからな。露店で売ってる串肉もカエル肉が多いし。そんなに売ってたら食べてみようって思うだろ」


 ……え?

 レクシアってカエル肉の料理があるの?

 私、露店料理とかたまに買って食べていたんだけど。

 そう言えば、レクシアの料理ってオーストリア料理……そしてヨーロッパではカエル肉は普通に食べるんだっけ?

 もしかして、私の食べていた料理にもカエルが入っていたのかも。

 カエル肉をそこまで忌避しないと思っていたけれど、知らないうちにカエル肉を食べていたかもしれないと思うといろいろと思うところがある。


 そのことに気付いたのは私だけじゃなかったみたいで。


「どうしたんだ? 三人とも」


 私だけでなくリーフさんもミミーさんも顔を真っ青にしてうつむいた。

 今度から料理を食べるときはちゃんと調べてから食べよう。

 そう心に誓うのだった。


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