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VR世界の双剣少女は初めてのゲームを満喫する  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中


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釣りダンジョンに行きました(その4)

 私、宮本ことねの剣道において、一つ大きな弱点があった。

 それは生来の身体の小ささだ。

 剣道において身体の小さいことは不利になることが多い。 

 たとえば頭の位置。

 自分より身長の高い相手と戦うのならばとにかく面に当て辛い。

 腕の長さも違うから、リーチの差も大きい。

 私が通常の剣道ではなく二刀流を選んだのは、父親の影響も多いが同時に小さい身体を相手の攻撃から守るのに適しているからだ。

 しかし、剣道というのは守って終わりではない。

 終わるのは相手から一本を取ったとき。

 たとえ相手の攻撃を防いでも、鍔迫り合いに持ち込まれたらやはり体格差がものを言う。

 ことねが相手の剣を受け流す技法はその鍔迫り合いを避けるために修得した技法であった。

 それでも、私は思っていた。

 自分より大きな相手の剣を弾き飛ばす力自慢の剣を修得したいと。


 そして、私はゲームの中で、スキル屋でその技と出会った。


   ※ ※ ※


「パリィっ!」


 右手の剣でダークスネークの身体を弾き飛ばした。

 パリィ――相手の攻撃にタイミングよく自分の剣を当てることで、その攻撃を弾くことができるスキルだ。

 このタイミングというのは難しい。

 敵の攻撃モーションが始まってからその攻撃が自分の身に届くまでの僅かの時間の間に剣を出す必要がある。

 でも――


 私は常に相手の剣を防ぎ、受け流し戦ってきた。

 二刀流の剣は守る剣。

 力圧しは本来のスタイルではない。


「パリィっ!」


 再度別のダークスネークの胴体の攻撃をパリィで弾き、そして頭から突っ込んでくるダークスネークは通常の突きでカウンターをしてダメージを与える。

 だんだんと周囲のダークスネークの数が減ってきた。

 このまま倒したいけれど――


「……鋭くなっている」

 

 敵が減ったことによる弊害。

 残った魔物が広いスペースを利用し始めた。

 蛇の胴体による攻撃もしなりが大きくなり、その速度が増している。

 あとちょっとなのに――せめて背後の敵でもなんとかできれば。


 そう思った時だった。


 私の側面のダークスネークの脳天に、トゲ付きの鉄球が飛んできた。


「援護は任せて!」


 そのトゲ付きの鉄球を操っていたのはミミーだった。

 結構な重さの鉄球を釣り竿一本で操っている。

 なんであの重さの鉄球を操って糸が切れないのか疑問に思うが、釣り竿で戦うってそういうことなんだと納得した。


「まるでモーニングスターね」


 リーフさんがダークスネークを殴り潰しながら言う。

 もーにんぐすたー?

 どういうこと?

 モーニングムーンだったら、クロワッサンを選べるモーニングだと思うけれど、なんだろ?

 あとで教えてもらおうっと。

 側面のダークスネークがミミーさんに片づけてもらえたことで、そちらを背に戦いに集中ができる。

 そして、ようやく最後のダークスネークを倒した。


【コトネのレベルが上がった】


 レベルアップした。

 これでレベル25だ。


「お疲れ様! みんな強いわね」

「そういうミミーもな。援護は助かった」

「ああ。ダンジョンの雑魚バトルにしては数が多かったからな」


 あ、やっぱり多いんだ。

 普通、三匹とか四匹だもんね。


「モンスターハウスみたいなものかしら?」

「屋外でハウスとは呼べないな」

「じゃあモンスターフィールド?」

「どうだろう? 違うと思うがダンジョンはまだまだわからないことだらけだから」


 ミミーさんとリーフさんが推論を立てる中、ずっと黙っていたガンテツさんが私の方をじっと見る。

 まるで睨んでいるみたいだ。

 え? 私何かやっちゃった? 


「コトネ、少しいいだろうか?」

「はい……」

「本来、こういうのはマナー違反なんだが」


 ガンテツさんがそう前置きをして、リーフさんとミミーさんに聞こえないような小さな声で尋ねた。


「(お前、もしかして宮本ことねか?)」

「え? 私のこと知ってるんですか!?」

「やっぱりそうか……あの動きで確信が持てたよ。とても凄い動きだった。あれはオートモードじゃなくてマニュアルモードだろ?  お前の……いや、ことねさんの試合を動画で見たことがあるがそのまま、いや、それ以上だった。正直、動画を見たときから小さな身体で自分より大きな相手に挑んでいく姿はすげぇって思って尊敬してた。まさかこんなところで会えるなんて。握手してもらっていいか?」

「は、はい」


 私はガンテツさんと握手をする。

 大きい男の人の手って感じがする。


「感激だ」


 まるでアイドルと握手をしているようなことを言ってくる。

 現実の私ですらないんだけど、いいのかな?

 ガンテツさんが私の手を握って涙を流していると、ミミーさんがそれに気づいて声を上げた。


「ちょっと、ガンテツ。何してるのよ。女性の身体に触れるのは通報案件よ。コトネちゃん、通報していいわよ」

「通報しません! お互いの戦いを称え合ってただけです。ね、ガンテツさん!」

「ああ、そうだ。(すまない。ことねさんのことは誰にも言わないから安心してほしい)」


 別に隠しているわけじゃないんだけど、ガンテツさんがそう言ってくれたので私は頷いた。

 それにしても、釣りのダンジョンに来てるのにまだ全然釣りができてないよ。

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