第1話 たんじょう日の準備5
イヴやミルクとその仲間達が、
オーティスのたんじょう日の準備をしていると
とつぜんのトラブルにみまわれて……
対象:小学校四年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
オーティスはとちゅうで
ルルと別れて、一人で
家へと足を運びました。
家に着くと、
庭の大きなイチョウの木から、
けたたましくトンカチを
ふるう音が聞こえてきます。
オーティスは根もとまで行き、
木を見上げてよびかけました。
「順調なの、リリス」
すると木の上で大工仕事を
していた魔女の子リリスが、
トンカチの音に負けない
ほどの大きな声で答えました。
「うん、
もうじきってとこかな。
後はとびらとまどを取りつけて、
屋根に色をぬればね」
もう、ひと月も
前の話になります。
リリスは雪がとけ始めるころに
ふらりとイヴ、ミルク、
オーティスの家にやって来て、
長いことかけて庭を
ながめ回しました。
そしてついにこの大きな
イチョウの木に決めて、
いつの間にかこの木の上に
ツリーハウスを建て始めたのです。
それは彼女が以前から
ぜひともほしがっていた、
家出した時のための
ひなん所なのでした。
「じゃ、下りといでよ。
もうおやつの時間だからさ。
家の中でイヴが、何か
おいしい物を用意して
くれているはずだぜ」
それを聞くとリリスは、
太い木のみきをつたって、
はっぱを何まいも落とし
ながら下りて来ました。
地面に足を着けると、
彼女はワンピースで
手をふきながら言いました。
リリスの服には
木くずやくものす、
それにすなぼこりなんかが、
たくさんついています。
「ツリーハウスが完成したら、
『かわいい犬のお店』と
わたりろうかで
つなぐ予定なんだ。
考えただけでもわくわくする」
リリスは鼻にしわをよせて、
にかりとわらいました。
二人はならんで歩き出しました。
オーティスがリリスに言いました。
「今日が土曜日だからってさ。
こんなに堂々と、
昼間から出歩いていて、
だいじょうぶなの。
またお母さんに見つかって、
おこられるんじゃない?」
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2025年8月22日です。
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