第３話 ケンのいへん１０
イヴやミルクとその仲間達が、
オーティスのたんじょう日の準備をしていると
とつぜんのトラブルにみまわれて……
対象：小学校四年生位～
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
彼女はめずらしく、
みけんにしわをよせています。
「そうだね。
気候のいい所に、
少しの間出かけてだね。
おんせんに入ったりして、
心がおだやかにもどった
生き物のことは、
聞いたことがあるがね」
ダイが茶色い
短ぱつをかきながら、
言いました。
「それはいいね。
場所が変われば、
ケンちゃんの気分も
変わるかもしれないね」
ポチはダイに賛成した後、
首をちょっとかしげて、
少しばかりしあんして
いるようでした。
それから、
えんりょがちに言いました。
「……でも、あと数週間で
五月になると言うのに、
行く先をおんせん地に
するのは、少し暑苦しい
かもしれないよね。
これはぼくの、
ちっぽけな考えに
すぎないけれど」
ポチがおずおずと
言いました。
自分が言っている
ことがまちがって
いないか、
不安だったのです。
「確かに。
ポチの言うことも、
もっともだと思うわ。
まだ四月だと言うのに、
今日はひどく
あたたかい日に
なったじゃない？
もう、夏と言っても
いいくらいよ」
ミルクが、
ポチに同調しました。
今度はイヴが口を開きました。
「二人が言うことは、
もっともね。
けれどダイちゃんが
教えてくれた、
ケンちゃんをどこかへ
連れて行くということ自体は、
とてもいい思いつきじゃない？
私はぜひとも
そうすべきだと思う。
このままでは、
ケンちゃんはいつまで
たってもベッドから出て
来られそうにないもの。
彼には何か、変化が必要よ」
イヴがてんじょうを
見つめて、考え始めました。
「どこか気候のよい所で、
おんせんくらい生き物を
いやすことのできる
何かがある。
そんな場所が、
この世界のどこかに
あるものかしら」
「それでは海はどうだろう」
ダイがすぐさま答えました。
「海？」
イヴ、ミルクとオーティスは、
口々にそういうと、
不思議そうにダイを見つめました。
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次回の掲載は２０２５年１１月２６日です。
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