第1話 たんじょう日の準備4
イヴやミルクとその仲間達が、
オーティスのたんじょう日の準備をしていると
とつぜんのトラブルにみまわれて……
対象:小学校四年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
帰り道で、
ルルが言いました。
「いっしょに行けたら
よかったわね」
「うん。
それにしても、
かっこいい車だった。
クロが乗っていたような、
自分にぴったりの特別な
車を持っていたら。
それで世界中を、
見て回るのになあ!」
「あら、オーちゃん。
あなたの家には、
発明家のケンさんがつくった、
素晴らしい乗り物が
あるじゃないの」
ルルが言ったのは、
以前イヴとミルクと三人で
旅に出た時に使った乗り物、
ユニーク号の事でした。
それは前から食堂車、
おふろ場、しん室と三つの
部屋がたてにつながっていて、
それを前後ではさむようにして
自転車が取りつけられている、
とても画期的な代物です。
ユニーク号はその、
二台の自転車をこいで動かす
仕組みになっていました。
そこには水のタンクや、
自動運転そうちなんかも
ついています。
考えたのは森の発明家で、
研究者でもある
ビーグル犬のケンでした。
ケンのアイディアを基に、
森のみんなで造ったのです。
「うん。でもあれは、
ぼくだけの物じゃないもの。
それに、ぼくは
ぼくにぴったりのサイズの、
さっき見たような
あんな車がいいんだ。
あれでぼくの大好きな本に
出て来る、
ジャック・ラッセル・テリアの
ペペみたいに、ぼうけんに
出たらどんなに楽しいかな」
「まあ、
『コウスケのぼうけん』の
ペペみたいな旅が
したいだなんて。
オーちゃんは本当に
勇ましいのね。
きっとあなたの家族か
お友達が、オーちゃんに車を
プレゼントしてくれるわよ。
だって、もうすぐあなたの
おたんじょう日ですもの。
オーちゃんの回りにいるのは、
才能豊かな生き物ばかりだもの。
あなたせんようの
車を造るのだって、
わけないことだと思うわ」
そう言った後、
ルルは少し悲しそうに、
ふわふわの耳をたれました。
「ごめんなさいね。
私がおたんじょう日に
あげられるのは、
名前をししゅうした
ハンカチぐらいだけれど。
でもきっとだれかしらが、
あなたに車を
プレゼントしてくれるわよ」
「うーん」
オーティスは、これには
あいまいな返事をしました。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2025年8月20日です。
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