第１話 たんじょう日の準備２
イヴやミルクとその仲間達が、
オーティスのたんじょう日の準備をしていると
とつぜんのトラブルにみまわれて……
対象：小学校四年生位～
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
木々にはみずみずしい
葉が芽ぶき、森中で植物が、
いっせいに花をさかせています。
その回りをチョウチョや
ミツバチが、いそがしく
ブンブン飛び回っていました。
ウグイスやヒバリが、
どんな生き物でも心を
うばわれてしまいそうな、
晴れ晴れするような
声でさえずっています。
小鳥達の歌声に合わせ、
小川はかろやかな音楽を
かなで流れ出し、それは
海へと続いて行くのでした。
長い冬をすごした生き物達は、
この美しい春を一日もむだに
しないよう、できる限り楽しく、
幸せに、そして大切に
くらしておりました。
森の生き物達は、
毎日ピクニックをしたり、
野外コンサートを開いたり、
それはもういそがしくしていたのです。
『かわいい犬のお店』から西に、
十五分ほど歩いた所に、
桜なみ木があります。
そこの桜は、
まさに満開でした。
空も大地も、
どこもかしこも一面に、
うすピンク色の花びらで
おおわれていました。
オーティスは、同じく
白地に茶色いもようのある、
パピヨンの女の子ルルを連れて、
桜を見にそこを
おとずれていました。
「オーちゃんには、
桜がとてもよく似合うわねぇ」
ルルは、耳としっぽの長い
毛をたなびかせながら、
うっとりと言いました。
「そうかな。あ、また来た！」
オーティスはルルの言う
ことにはおかまいなしです。
飛んで来る花びらを
つかまえようと、
風がふくたびに口を、
カスタネットのように
カチカチと鳴らしています。
「そうよ。
とても男らしく見えるわ」
ルルはウサギのように
ぴょんぴょん飛びはねて遊ぶ、
オーティスに見とれて言いました。
しかしオーティスは、
急に何かに気がつくと、
一人でそちらへかけて
行ってしまいました。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は２０２５年８月１５日です。
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