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1-33 イレーヌ商会

「久しぶりのこの素朴なスープと蜂蜜の練り込まれたパンの味が染みるわ……」


 決して豪華というわけではない簡単な昼食ながら、思わず零れ落ちた感想に、同席するイレーヌがクスクスと笑い声をあげながら破顔した。


「そのように喜んでいただけたのであれば、ヴァレンティンより新鮮な素材を持ち帰った甲斐もあるという物です」

「ベルテセーヌ経由で戻っていらしたのでしょう? よくこのように新鮮なままに届けてくれましたね、イレーヌ」

「恐れ入ります、公女殿下。今回はベルテセーヌでも山沿いの町を経由してみたのですが、夏でも寒冷で食品も痛まず、悪路ながら時間の短縮になりました。あまり交易は盛んなルートではないと聞いていますが、勿体ないことです」

「ベルテセーヌの北の山壁は獣や盗賊も多いため、商人には好まれないと聞くわ」

「日頃、竜の巣を探り歩く我々にとっては可愛らしいものです」


 ドンと胸を叩いた末席の傭兵団長に、「それもそうね」と納得する。

 リンテンの長距離行商商会の多くは、北方諸国群を経由し、ヴァレンティンとの間を交易する。北方諸国群は南北を山に挟まれ、平地が少なく、雪も深い厳しい土地柄であるものの、その北側の年中雪の溶けない険しい山脈は通称『竜の巣』といわれ、帝国でも随一の竜スポットである。

 帝国では竜の災厄を避けるため無為な竜狩りを禁じているが、竜の死骸や竜の“落とし物”からの採集は禁じていない。北方諸国からヴァレンティンの北にかけての山脈は、飛竜が子を産み育てるために飛来し、あるいは死を悟った飛竜が舞い戻って来る“始まりと終わりの地”であるため、素材採取専門の傭兵団“青の傭兵”にとって、竜というこの世の最高素材が手に入るこの北方諸国群は聖地にも等しい場所なのだ。

 ただし、抜け落ちた素材を採取するだけといっても竜の住まう山に登るのだ。生半可な実力で踏み込める世界ではない。それに竜の抜け素材はいつでもどこでも簡単に手に入るようなものではなく、それこそ鱗の一枚でも手に入れば十分にしばらく遊んで暮らせるだけの報酬を得られるが、その鱗の一枚を見つけるのが至難のことである。

 なので竜専門の青の傭兵は、その一枚を見つけるまでの繋ぎを兼ねて、およそ北方諸国を行き交う行商人の護衛という副業を担う。イレーヌ商会における“竜の足跡”が、それである。


 イレーヌ商会は規模こそ大きくはないが、もう六代にわたってヴァレンティン大公家が懇意にしているリンテンでも名の知れた古参の商会だ。一方で“竜の足跡”は、比較的年若いよそ者ばかりが集まった新興の小集団ながら、すでに二度の大規模な竜の痕跡探査の実績を持っているリンテン指折りの実力者集団だ。はじめイレーヌが雇い入れた時にはそこまで著名でもなく、リンテンではむしろ爪弾かれていたというから、まさに商会長の慧眼であったといえるだろう。

 昔と変わらず、鼻高々にもならず気さくで自然体なのもまた、彼らのいい所である。いかにもうちの大公さんが気に入りそうな人達だ。


「でもバレル。だからってうちで二十も年下の商業組合長のお嬢さんを(たぶら)かしてうっかり妊娠させるだなんていう醜聞は、どうかと思うのよ……」

「ッっぃぅっ! ッ、んでご存じなんですかッ、公女様!」


 ガタンと席を立った傭兵団長に対し、イレーヌ含む皆が、あぁぁ……と嘆きの声を上げ、頭を抱えた。


「城下であれほどの騒動を起こしておいて、どうして知らないと思うのかしら。組合長は、責任を取るかと思いきや早々と逃げていきやがったので見つけ次第連行していただきたい、と激怒していたわよ」

「ご、誤解ですッ! 俺はちゃんと責任を取るつもりで、次にヴァレンティンに出向いた時にはちゃんとけっ、結婚、とかッ」

「言い訳は見苦しいわよ、団長」

「本当に最低です、団長。公女殿下に軽蔑されても仕方がないかと」


 団員にまでそう言われては言葉もなかったのだろう。バレルはその場に(うずくま)ってしまった。今日同行しているトイとセーラはどちらも傭兵団の古株であり腹心だから、なおさら追い打ちになったようだ。

 ふふっ。ちょっといじめすぎただろうか。


「そのイジナからの伝言よ。晴れ着はお腹が目立ちはじめる前に着たいんですって。安産のお守りに竜の鱗の護符があったらなお嬉しいんだそうよ」

「殿下!」


 バッと起き上がって気を取り直した団長に、「護符は組合長の要求では?」「むしろ竜一匹くらい提供しないと許してもらえないんじゃない?」なんていうトイとセーラの追い打ちがかけられたが、バレルには聞こえていないようだ。まったく、微笑ましいことである。


「申し訳ありません、殿下。うちの傭兵が貴国でとんだ騒動を起こしました」

「いいのよ。私達の仲ではありませんか。ただイレーヌ、バレルにはせいぜいお高いヴァレンティン産の高級織物と結婚指輪とを売りつけてあげてちょうだい」

「お安い御用でございます。組合長殿が唸るほどの品をご用意しましょう」

「だ、旦那ぁ」

「安心なさい。分割払いにして差し上げますよ」

「一括できないような品を用意するって意味で?! んなところで凄腕の商才を発揮せんでくださいよ!」

「相手は目の肥えた“お嬢様”ですからね。腕が鳴ります」

「ぐっ」


 何とも微笑ましい話題にほっこりしつつ、美味しいヴァレンティン料理に満足したところで、食後に飲みなれたベルブラウの花茶をいただいた。

 ふぅ。とても満足である。


  ***


「さて。ではそろそろ本題に入りましょうか」


 本当ならもっと雑談を楽しんでいたいところだが、そうもいかない。甘いお茶とは裏腹な様子でカップを置いたリディアーヌに、イレーヌだけでなく傭兵団の皆もまた、キッと顔色を改めて表情を変えた。


「まずはウォルマン商会の情報を感謝するわ。まさかリンテンにすでに赤い旗を掲げた商会があっただなんて」

「は……ご存じではなかったのですか?」

「ええ。先ほど貴方のおかげで知ったばかりよ」


 正直、先だってナディアからもらって手紙では“フォンクラーク王室は関係ない”といった書きぶりだったものだから、非常に驚いた。

 本来、御用達の旗というのは国が認めて初めて掲げることが許されるものであるはずだ。なのに王室が承認していないということは、王太子が独断で旗を与えたことになる。


「昨今ヴァレンティンに流れているフォンクラークの品はいずれもウォルマン商会を介したものなのかしら?」

「ほとんどがそうでございます。ウォルマン商会は御用達の旗を掲げ、しかも日頃我々が取引している南方系の卸売り店の半値以下でフォンクラークの品を取り扱っております。これでは従来の店も立ちゆくはずがなく、多くがウォルマン商会に吸収されていっており、我々もウォルマンを無視できかねております」

「リンテンの交易の占有権を持っているクロイツェンが許可して、フォンクラーク王室御用達の旗を掲げているんですもの。南方の品を扱う従来の商会にとっては天敵ね……」

「フォンクラークを経由してくる東大陸の品も急激に価格が下がり卸店も苦慮しておりましたが、それに加えてフォンクラークが直営店まで開き始める始末。一体リンテンで何が起きているのかと、我々もせわしなくしておりました。しかしこの件については先だって公女殿下に国同士の計略が絡んでいるなどと言われて仰天したものでございます」


 そう困った顔で頬を掻くイレーヌに、「すぐに理解してくれただけで充分よ」とリディアーヌもフォローしておいた。流石に、凄腕といっても一介の商人であるイレーヌにそんなことまで察されては、むしろこちらの仕事が無いというものである。

 それにイレーヌはリディアーヌの“ヴァレンティン経由でリンテンに戻ってほしい”という無茶な要望にもすぐに応えて、率先して実施してくれている。リンテンへは遠回りになる上に今までとは違う行動には困難も反発もあっただろうに、有難いことである。


「あれ以来、我々もフォンクラーク系の商会は注視しておりますが、その後のご様子はいかがなものでしょうか」

「貴方達のおかげか、あれ以来クロイツェンに主立った動きは無いわ。こちらの様子を探っているといったところかしら。それに何より、フォンクラーク系の商会を単なる卸売(おろしうり)商会として抑え込んでいただけているのは大きいわ」


 フォンクラークとしてはクロイツェンから港への出入りを許された時点で、自ら商会に行商を行わせ、ヴァレンティンとも行き来させる腹積もりでいたはずだ。だがリンテンとヴァレンティンの間の交易路は竜の飛び交う危険地帯。傭兵団の護衛無くして行き来できる道のりではない。

 しかし現状、名の知れたほとんどの傭兵団はすでにどこかしらの商団と専属契約を結んでおり、ましてやその中でも著名な“竜の足跡”がぞっこんほれ込んでいるヴァレンティン大公家御用達“イレーヌ商会”がフォンクラークを警戒しているとなれば、他の傭兵団も警戒する。

 結果、フォンクラーク系の商会は進出当初ほどの勢いもなく、何より未だ行商部門に手が出せていないのである。

 リディアーヌの計略が上手くいっている背景には、ヴァレンティン家が交易の主導権を持ち続けられているおかげである。その立役者であるイレーヌに感謝しない理由がない。


「ヴァレンティンとしては、フォンクラークの品が安価に手に入るようになること自体に反対は無いわ。クロイツェン側の計略はともかく、両国が減税的な協定を結んだことも、表向きヴァレンティンにとっては益になっているし」


 念のため別の方向からベルテセーヌとの関係が立たれていないことを示す必要性は出てきているけれど、今回の聖別の一件で、少なくともリンテンにはかなりその印象が植え付けられてくれたことだろう。クロイツェンに関する対応としては、すでに上々である。


「でも問題はフォンクラークよ」


 東大陸の物品関連はいいとして、船を着ける権利と共にフォンクラークの商会がリンテンに進出し始めている。とりわけそのウォルマン商会というのがフォンクラークの減免品を一手に担っているのだとしたら、イレーヌの言っていた通り、既存の卸売店らにとっては脅威であろう。


「リンテンで名の知れたイレーヌの商会長が商談を求めていると言えば、私の口利きなんてなくてもすぐさまウォルマン商会は飛びついてくれると思うけれど……」


 だが問題は、ウォルマン商会が赤い御用達の旗を掲げていながら、一方でフォンクラークのバルティーニュ公からはそれが“国が認めていない取り引きである”とのお墨付きをもらってしまっている点である。

 ヴァレンティン家の旗を預けてあるイレーヌに、安易にフォンクラーク内部で問題になりそうなウォルマンと繋がりを持たせることには慎重な判断を要する。


「それが分からない貴方ではないと思うのだけれど、それでもウォルマン商会に私自ら繋ぎを付けて欲しいというのは、一体どういう意図なのかしら?」

「いいえ、殿下。むしろお伺いしたいのは私の方なのです」


 少し慌てたように言ったイレーヌは、軽くひと息をついてから、再びリディアーヌを見やる。


「商人にとっては利益もさることながら信用も大事でございます。ウォルマン商会への警戒心はごもっともであり、しかしウォルマン商会がこのリンテンで無視できぬ存在になっている事もまた確かです。なのでその上で、“探りを入れたく”思っているのです。何しろ我々と取り引きのある南方系の店でも、ウォルマン商会のやり方による被害が出ておりますから」

「その点も問題ね。フォンクラークの品は等しくフォンクラークとクロイツェンとの減免の約定に適応されるものと思っていたけれど、どうやら話を聞く限り、“ウォルマン商会の船だけ”に適応されているのかしら?」

「そう言って障りないでしょう。既存の卸売店では仕入れ価格に変動は無く。いえ、むしろウォルマン商会のせいで、逆に値上がっているほどだと言います」


 リディアーヌは、二国間にどんな約定が結ばれているのか詳しく存じていない。てっきり国と国との約定だと思っていたが、あるいはこれは、フォンクラーク王室とクロイツェン王室……グーデリックとの間の個人的な取り引きなのかもしれない。だからこそ、グーデリックが旗を掲げさせたウォルマンだけがフォンクラークからの税の減免を受けた船を一手に扱えていると。

 バックに王室がいる以上、商人たちには表立って糾弾することもできず、かといってこのまま見過ごせば王室が商人達のルールを無視して幅を利かせることになり、リンテンを商業的に混乱させかねない。だがグーデリックにとっては自分が潤えばいいだけで、アルトゥールにとってはヴァレンティンに対する計略が上手くいけばいいだけ。リンテンのことなど、はなから関心の範疇外なのだろう。

 まったく。他人のテリトリーで勝手をしてくれる。


「こういうことが起こり得ないよう目を光らせるのがブルッスナー家の役目でしょうに。何をしていたのかしらね」

「失礼ながら、目先の利益に飛びついたとしか言えませんね。ウォルマン商会から相当の分け前が入っているはずです。もしかすると、従来の卸売店に卸されている品の価格も操作されているのではと。この港町ではすでに知られた話でございます」

「まさか到着早々、ここまで話が進むとは思っていなかったわ」


 そう頭を抱える傍らで、フィリックがテキパキと書状を仕上げている。おそらくルゼノール家宛の報告書だろう。どうやらブルッスナー家に関してはすぐにでも糾弾の理由が作れそうである。


「それで、イレーヌ。ウォルマン商会との仲介をどうして私に?」

「それは殿下。私はてっきり、殿下はウォルマン商会を訪ねにこちらにいらしたのだとばかり」

「ちょっと待ちなさい、イレーヌ。どうしてそんな話になるのかしら?」

「私も昨日こちらへ戻ったばかりですが、うちの商会ですでにそんな噂が飛び交っておりました。ウォルマン商会が北の高貴なる女性を迎える準備をしている、と。私の方こそ、フォンクラークの出方を警戒なされているはずの殿下がなんと危険なことをと困惑したのです。であれば私のような商人、それもウォルマン商会にとって益の有る我々が商人として接触する方が良いのではと、すでに商会と既知であろう殿下にお願いするつもりでいましたが……しかしどうしたことか。殿下はウォルマン商会をつい先ほど知ったと仰るではありませんか。私の方こそ、困惑しているのです」

「……」


 どういうことだ。そんな予定はないし、イレーヌの言う通りウォルマン商会の名前はつい先ほど知ったばかりだというのに……。


「グーデリック殿下では?」

「……」


 フィリックよ。いや、分かっているんだよ。分かっているんだけど、目を背けようとしていたんだよ。はぁ……やっぱり、あの人しかいないか。


「私、遠回りにお断りしたのだけれど?」

「あの手の人間に遠回りとは、愚策をなさいましたね」


 はぁぁ。


「混乱させて申し訳ないわね、イレーヌ。先日領都の方でフォンクラークの王太子と、少々あったのよ。“例の禁制品”については耳に入っているわね?」

「はい……それがまことであれば、とんでもないことでございます」

「王太子が関与している可能性があったから、探りを入れるつもりで、殿下贔屓のフォンクラークの品を取り扱う商会を訪ねたい、と口にしたの。はぐらかされたように感じたからそれ以上は突っ込んで聞かなかったわ。なのにウォルマン商会が私を迎える準備をしているなどと噂されているということは、そう指示したのは王太子でしょう。言った通り、私自身はつい先ほどまでウォルマン商会という商会の名さえ存じていなかったわ。むしろそれを探るつもりでこちらに来たのよ」

「そうでございましたか……てっきり、すでに殿下は商会に目を付けておいでなのかと」


 もしパヴォが持ち込まれており、それに王太子が関与しているのだとしたら、その窓口はウォルマン商会だ。馬車で話をした時にはグーデリックも商会の名前を口にせず警戒しているのかと思ったけれど、単に何も考えていないだけだった。まさか港にきて早々、自ら大々的に“うちですよ”と(けん)(でん)してくれるとは思わなかった。


「イレーヌ、私が言うことではないけれど、危険ではと言った口で、貴方、私の代わりに自らウォルマン商会に探りを入れる気だったの? まったく。貴方は商人ではなく傭兵の間違いだったのかしら?」

「ははっ、とんでもございません。私は小心者の商人でございますよ。商人なので商人らしく、安価にフォンクラークの品を取り扱う王室御用達店に興味を持ち、取り引きに値するかどうかを調べたく思っただけでございます。殿下が御自らお動きになるよりずっと安全で確実でございましょうし、卸売店の信用を見抜くのは紛うことなく“私”の仕事です」


 まったく、口が上手いのだから。

 だが確かに。ウォルマン商会を調べるにしても、グーデリックのせいでリディアーヌが訪ねるかもしれないことがすでに大々的に知れ渡ってしまっていることになる。こんな中、こそこそと調べに行くのも難しい。であれば、イレーヌの存在は重要な手駒になり得る。

 リディアーヌがそういう思考回路の持ち主だと知っているはずなのに、イレーヌも大胆なものである。


「ご存じかと思うけれど、私は使える物は何でも使うし、他人、ましてや下々に遠慮をするような優しい人間ではないわよ?」

「よく存じておりますとも、公女殿下」


 存じているといいながらも、その笑いをこらえているような顔に憮然としてしまう。

 まったく。本当に分かっているのかしら。


「では命令よ、イレーヌ。ちょっと私、今から変装をしてくるから。私を連れて、ウォルマン商会を案内なさい」

「はい……はい?」


 一度は頷いたイレーヌが、しかしすぐにポカンと顔をあげた。

 それは隣のフィリックも同じで、しかし免疫の有るフィリックはすぐに眉をしかめると、すぐさま重たいため息を吐いて抗議を示した。


「フィリックは変装させても目立つから、お留守番かしら?」

「姫様。一応お伺いしますが、他の計画は?」

「ないわよ?」

「……」

「……」

「そうと決まったら、フランカ。部屋で何か適当な服を見繕ってちょうだい」

「フィ、フィリックさま……」

「……姫様。御自らなさらずとも、イザベラかフランカをそこらのお嬢様に仕立てて内偵させるのでは駄目なのですか?」

「私は自分の目で確認したいと言っているのだけれど?」

「でしたらお嬢様の後ろに控える侍女に扮するだけでも宜しいのでは?」

「まぁ貴方、私に侍女の真似事をさせるの?」

「……」

「……」

「姫様は、まったく、変な所だけ姫様ですよね」

「どういう意味かしら?」

「姫様ぁぁ」


 フランカが情けない声を出しているけれど、これはもうリディアーヌの中での決定事項なのである。


「……フランカ。こうなった姫様を止めるのは無理だ。絶対にバレないよう、死ぬ気で変装させろ」

「えぇぇぇー……」


 姫様の命令は、絶対なのである。






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