九州二次予選スタート!!
九州二次予選スタート!!
(キンコンカンコーン)
「太一~起きろ~
目~開けたまま寝るな~」
木元が太一の前で手を振る、太一はビックリしたようでビクッと体が動いた。
「今放課後?」
「そ~だよ、あと高田がよ~入部届け早く出せだとよ」
「あ~忘れてた」
太一はポケットから入部届けを出して書き始めた。
しかし途中で太一の手が止まった。
「太一どうした?」
「……………オレ入るのなに部だっけ?」
「はぁ!?知らねえよ!!」
「どうしよう」
「部活行けばわかんじゃねぇの?」
「そうだな」
太一はカバンを軽々持って屋上に向かった。
太一は屋上のドアを開けた。
「やっぱり来たか~」
毅史はため息をついた。
「昨日場所伝えてなかったからな~
部室に行くぞ」
「あっはい…
あとすいません部活の名前ってなんでしたっけ?」
毅史は黙って屋上から出た。太一は後をついて行って聞いた。
「ねぇ亀谷さん?」
結局答えない亀谷、太一は部室で他の人に聞こうと思った。
「ついたぞ」
来た場所は音楽室だった。
中からガヤガヤと声が聞こえる。
「ウチの部活は部員百人超える部活だからな
部活説明会のときはさわがしんだよ」
毅史はドア開けて入った。太一も後に続く。
「お~コイツが噂の太一君か~」
ちょっと顔が大きい人が言う。
「そうだよ秘密兵器の男だよ」
「へ~太一君オレ西田って言うんや
ヨロシク」
「ヨロシクお願いします」
太一は手を差し出した。
「握手なんて懐かしいな」
笑いながら握手する西田。
そこに顧問の先生がやって来た。
みんなの前に立って、喋り始めた。
「え~顧問の高田です
自己紹介変わりに……
バァ出た!!」
部室が静かになる。
高田は咳払いをした。
「え~では部活の説明を書いたプリントを用意したので、新入部員は後で取りに来てください
他にわからないことはウチの部活には便利屋……じゃなくて部長の西田に聞け」
「今便利屋言うたよね!!」
「それじゃ~解散」
高田は西田を無視して教室から出て行った。
「だれが便利屋やねん!!ったく」
西田さんは周りの人にずっと文句を言っている。
西田さんを見ている太一の肩を叩き毅史が屋上に行く事を伝えた。
屋上につくとみんな何時になく真面目な顔をしていた。
「みんな怖い顔してどうしたの?」
「太一お前には歌う中で一番大変なとこをやってもらう」
毅史が真面目な口調で言う。
欄がカバンから文字と絵がかかれている紙を出して太一に渡す。
「なんすか?これ?」
「太一にやってもらうポジションのやり方の紙だよ」
太一はしばらく紙を見てから口を開いた。
「ボイス……パーカッション?」
テレビでは聞いた事があるけど、まさか自分がやる事になるとは太一は思わなかった。
「できる?」
沙也が悩んでいる顔をする太一に聞く。
太一はニッと笑って、
「やんなきゃダメでしょ!
やっちゃいますよ!」
それを聞いた5人もニッと笑い、
「じゃあ今日から練習始めるぞ
太一は今日はオレとマンツーマンな」
「えっ!」
「えってなんだよ……」
……………
…………
………
……
…
「出来ねぇ~!!」
「なんでここまでやって出来ねんだよ!?
オレちょっと出来るようになったぞ!」
「やってみてくださいよ」
毅史はぎこちないが、ちゃんとドラムらしい音がなっていた。
「亀谷さんスゲ~!!」
「これだけやったら普通出来るつ~の!」
「出来ないから悩んでるでしょ……」
太一そう言いながら毅史に負けた事が悔しくて黙々と練習した。
「もう時間だし今日は終わり!」
その言葉を聞いてみんな帰る準備をするが、太一だけは帰ろうとしない。そんな太一に毅史は声をかけた。
「んな切羽詰まるなよ
まだ始めたばかりだろ」
「いや…でも…」
「でもじゃねぇよ
帰るぞ」
毅史は太一の荷物を持って太一ごと引っ張って行った。
屋上から出ると校舎は真っ暗だった。
「怖え~な」
「ホントに」
「オバケ出そう」
女子3人は固まって歩いていた。その後ろで男子3人は、
「懐中電灯あります?」
「ないよ」
「ぷ、ぷ、ぷ、あ~やっぱり出来ねぇ!!」
あんまり怖がってはいないようだった。
外に出ると、空には月が見えていた。
「んじゃ~今日はここで解散、気をつけて帰れよ」
そう言って毅史は欄の手を引っ張って行った。
残ったメンバーは、
「ホントにあの二人仲いいよね」
などと話していた。
4人で一緒に帰ってると、雪がいきなり喋り出した。
「あれニシモンじゃねぇ?」
「あ~そうぽいね」
「井本先輩と一緒ですね」
「………誰だっけ?」
「部長ですよ」
二人はもめている様子だった。
西田が井本の胸倉を掴んでいる。
「離せや!おいっ!!」
「何かヤバくない…」
「止めて来る!」
太一が二人に向かって走り出した。
その後に直行が続いて追いかけて行く。
「やめましょうよ!」「うるさい!」
太一を西田が突き飛ばす。
直行が太一を支える。
「大丈夫ですか?」
「あぁ…腹立つな!
やめろって!!」
太一が西田に飛び付いた。
西田がよろけて井本を離した。
「何があったんですか?」
西田を押さえながら聞いた。
西田は息を荒くしながら答えた。
「お前らには関係あらへん!これはオレらの問題や!!」
「だからって暴力は…」
直行が井本を押さえながら言った。
「うるさいな!関係あらへんって!!」
西田はまた怒鳴った。
「怖いね…雪ちゃん…
あっ……ちょ……雪ちゃん?」
沙也を無視して雪は西田の元へ向かった。
「人巻き込んどいて何言ってんだよ……」
そうつぶやきながら西田を殴った。
西田は倒れて、周りがシーンとなる。
「男なんだから、うじうじやってんじゃねぇよ!!」
「このやろう!!」
西田が雪に殴りかかる。
「危ない!!」
「逃げろ!!」
太一と直行が叫ぶ。
井本が西田を止めに走った。
西田は周りの声に構わず思い切り雪を殴ったはずだった……
しかし殴られて倒れているのは………沙也だった…
「沙也!大丈夫…」
「うん…ちょっと痛かったけど…」
西田もしゃがんで言う。
「すまん…大丈夫か?」
「大丈夫だけど…女の子を殴るのは感心しないな」
そう言いながら軽く触るくらいのビンタをした。
「西田……オレが間違ってたとは思えんが今のところはこのまま行こうか
それと倒れる子
家に帰ったら湿布しろよじゃなきゃ腫れるぞ」
そう言って井本は帰って行った。
井本が見えなくなってから雪が聞いた。
「なんでケンカしてたの?」
「お前らには…」
雪が西田をにらむ。
直行が西田の背中を軽くたたきながら言う。
「まぁそんな事言わずに同じ部活の仲間でしょう」
「仲間ちゃうわライバルや!お前ら2年ならわかるだろ!」
「………そうでしたね…」
直行が立ち上がりみんなに帰ろうと指示する。
仕方なくみんな移動しようとした時に西田は口を開いた。
「お前らも音楽性の違いでケンカする時が来る
それを乗り越えられへんのなら大きいチームにはならんからな」
みんな西田を聞いてはいなかった。
西田は5人の後ろ姿が見えなくなるまで見ていた。
「それじゃ~ね~」
「おう、じゃ~」
太一は一人だけ家の方向が違うので、みんなに別れを言って家路につく。
「ぷ、ぷ、プス…
おっ!ちょっと出来たかも」
太一は練習しながら帰った。
「プス、プス、ブス!
出来たじゃ~ん!オレやったよ!!」
太一が喜んでいると家についた。
家に入りテレビがつけてから飯の用意をした。
「ハモりーぐ九州二次予選スタート!!」
「この前のやつか…」
テレビの内容が後半に進んで行き、
「皆さんにお知らせがあります
東京、北海道一次予選スタートします
申込はこちらまで」
(一か月後までか…
オレたちも出れるのかな)