↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/75

学園祭 4

 レオの告白を聞いてランチも食べ終わった後は、レオがヴィンスに魔法を教えていた。


 「髪の色素が薄い方が色んな髪色に変えれるんだ」

 「素の髪色に色を乗せるのか」

 「ヴィンセントは黒だから焦茶くらいにしか出来ないな」

 「じゃあ一度真っ白にして、更に違う色を重ねると…出来た」

 「……お前本当に凄いな」


 ヴィンスの髪色は綺麗な栗色になっていた。この世界で最も多い髪色だ。


 黒髪も格好良いけど栗色も似合っている。思わず見惚れてしまっているとすぐに元に戻った。


 「この魔法、ずっと掛け続けてなきゃいけないのか。集中力もいるし今日は転移魔法使ったから結構辛いな」

 「やっぱり劇の時に転移魔法使ってたんだ?本当に乱入してくると思わなかったな」

 「…フリだとしても、今度あれ以上ニーナに近づいたら許さないからな」

 「悪かったって」


 あんな大勢の観客の前で転移魔法を使ったなんて、いきなりヴィンスが現れて皆驚いただろう。


 「その魔法、私が掛けてもらう事も出来るの?」


 ヴィンスの雲行きが怪しくなってきたので、助け舟を出そうと聞いてみる。


 「出来るよ。ニーナもヴィンセントとお揃いにしてみようか?」

 「うんっお願いします」


 ヴィンスとお揃い……という事は黒髪だ。レオが魔法を掛けてくれたのを教室にあった姿鏡で確認する。


 (新菜(わたし)だ……)


 瞳の色はニーナのままだけれど黒髪になっただけで新菜に見える。この姿を見るのが懐かしくて、少し…切なくなって涙が出そうになった。


 「ニーナ、どうしたの?」

 「っううん、凄いなぁって思って。この魔法が使えたら気軽に雰囲気変えられるね」

 「そうだね。ニーナは黒髪も似合うよ」


 ヴィンスに新菜の髪色も似合うと言われるのは嬉しい。私はこの色だったんだよ、と言いたい。けどそんな事は言えるはずも無く、レオにお礼を言って髪色を元に戻してもらった。


 「じゃあ、俺はそろそろ別行動するわ」

 「一緒に回らないの?」

 「顔出す約束してるとこがあるし、後は2人で楽しんで」


 そう言ってレオは行ってしまった。きっと私達に気を遣ってくれたのだろう。


 「ニーナ行きたいところある?」

 「エリザ様のクラスで革小物のワークショップしてるんだって。行ってみたいな」

 「了解。行こうか」


 ヴィンスに差し出された手を取り歩く。いつもだったら学園内で手を繋ぐのは恥ずかしいからしないけど、今日は学園祭で特別だからいいかな、と。

 

 「あっこの教室だね」

 「革に自分で型押しして作るんだな。面白そう」

 「いらっしゃいませ。どうぞ作っていってくださいね」


 残念ながらエリザ様は当番の時間ではないらしく、いなかった。他の先輩に中へ案内されてやり方を教わり、私とヴィンスはキーホルダーを作る事にした。

 金属型の判子のようなものを金槌で叩き、革に押しあてるだけでオシャレなキーホルダーの出来上がりだ。


 「出来た!」

 「うん、いいね」


 作ったものをお互いに見せ合う。2人共名前を型押ししたキーホルダーを作っていた。


 「……ニーナ、キーホルダー交換しない?」

 「えっ私の名前入りだよ?」

 「うん、俺のも俺の名前入りだけど……嫌?」

 「ううん、嫌じゃない」


 寧ろヴィンスの手作りが貰えて嬉しい。ヴィンスとキーホルダーを交換して笑みが溢れる。


 「ありがとう!大切にするね」

 「俺も」

 「何処に付けようかな」

 「俺は鞄に付けるよ」

 「じゃあ私も」


 またヴィンスと顔を見合わせて笑顔になる。どうしよう…学園祭が楽しすぎる。


 その後もヴィンスとお店を回ったりお茶したりして学園祭1日目が終わった。




―――――




 「行ってきます」

 「今日も楽しんでおいで」

 「お兄様、ありがとうございます」


 今日は学園祭2日目。


 昨日は家へ帰ってからも色々あった。

 劇を観に来ていたお母様に『劇の最後は何だったの?』と問われて言葉に詰まってしまったのだ。


 怒っているとかでは無く、『ニーナを取り合う2人にドキドキしてしまったわ』とお母様の乙女心をくすぐったようだ。


 取り合いになんてなってないけれどその説明が難しく、お兄様の『ヴィンセントくんがヤキモチ妬いたんだね』の言葉に『そうですね』と返事をしておいた。


 ヴィンスと出会ってから嬉しい事と同じくらい恥ずかしい事も多いのは気の所為だろうか。


 まあ考えてもその答えは出ないので、今日は朝一でクラスの皆に劇の最後を滅茶苦茶にした事を謝らなくては、と気合いを入れた。




 「いいよ。面白かったし」

 「私はドキドキしちゃった」


 ヴィンスと2人でクラスの皆に謝ったところ、誰一人怒っておらずそんな返事が返ってきた。皆優しくて泣けてしまう。このクラスでよかった。


 ウィルくんは今日は休んでいるものの、熱は下がったと連絡があったそうで安心した。劇が終わったら告白するつもりだと言っていたエマちゃんは残念だろうけど、また告白のチャンスがあったらいいなぁと思う。


 私はヴィンスとは後夜祭で会う為、それまではリリー、ルシアナ、エマちゃんと学園祭を回る予定だ。


 「昨日のびっくりしちゃった。レオはニーナの事好きなのかな?告白された?」

 「えっ」


 ルシアナから聞かれて思わず声がひっくり返ってしまった。周りからそんな風に見えてしまってるのは大変だ。


 「違う違う。レオは代役で、脚本が変わったのを知らなかったから元の脚本のまま演技したんだよ」

 「そうなの?なーんだ残念」


 咄嗟にそれらしい理由が言えてよかった。ルシアナは何故か残念そうだけど、勘違いされたままだったら私だけでなくレオも困るだろう。


 「ヴィンセント様も格好良かったね。ニーナちゃんを奪っていくところにドキドキしちゃった」

 「私はウィルくんとエマちゃんの演技にずっとドキドキしてたよ」

 「私も!エマちゃん気持ち入ってたよね」


 本当にエマちゃん達の演技は凄かった。エマちゃんがウィルくんを好きなのを知っているから、ウィルくんに向かって『愛しています』なんて言っているのを見てキャーキャー心の中で叫んでしまっていた。


 「……あのね、昨日、劇の後で保健室にお見舞いに行ったら………告白されちゃった」

 「えっ!」

 「えー!」

 「まじで?!」

 「……うん」


 顔を赤くして照れているエマちゃんが可愛い。ウィルくん熱があったのにやるな、と思う。


 「ねえ!お祝いしよう」

 「うんうんっしよう」

 「いいね」

 「……恥ずかしいんだけど」


 エマちゃんの気持ちは分からないでもない。でも2人がうまくいった事が嬉しくて、ついはしゃいでしまった。


 学園祭2日目も楽しくなりそうな予感がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。