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魔法石が意味するのは


 「試験おつかれさま!乾杯!」


 ヴィンスとレオと合流して『お疲れ様会』と称したランチをしている。


 「リリーのとこのお店じゃなくてよかったの?」

 「他のお店を知ることも勉強になるんだよ」

 「なるほど」


 リリーのいつも先を見据えている行動は真似したい。先が見えていない私に是非とも指導してほしいところだ。


 「皆、休暇はどう過ごすの?」

 「私は家族と領地で過ごすよ」

 「俺は特に何も無いから家にいるかな」


 リリーに聞かれて私とレオが応える。ヴィンスは…


 「俺は…習得したい魔法があって、専門家の所へ勉強しに行く予定」

 「えっ」

 「えー!休みにまで勉強するの?何の魔法を習うの?」


 リリーが聞きたい事を聞いてくれる。学園では魔法に於いて右に出るものはいなさそうなヴィンスが習いたい魔法…気になる。


 「習得出来なかった時に恥ずかしいから秘密にしておくよ」

 「そっか〜残念。でも頑張ってね」

 「ありがとう」


 何の魔法か分からなかったけど、休暇にまで勉強するのだから習得出来るよう応援したい。


 「リリーはどう過ごすの?」

 「私は、ほぼお店の手伝いかな」

 「リリー、本当尊敬するよ」


 皆でランチを楽しんだ後は「また明日ね」と挨拶をしてヴィンスと馬車へ乗り込んだ。明日は終業式だ。


 「ヴィンス、休暇中はずっと勉強してるの?」

 「いや、早めに習得できたら後はゆっくりするか、……ニーナに会いに行きたいな」

 「ふふっ、領地まで結構かかるよ」

 「そうだな」

 「勉強頑張ってね」

 「うん」


 ヴィンスが会いに来てくれたら更に楽しそうだなぁと思っていると、ぽすっと頭に重みが掛かった。見ると私の頭に顔を埋めている。


 「えっ!なっ……!?」

 「……明日の終業式も会えるか分からないし…暫く会えないかもしれないから充電させて」


 私で良ければどうぞと冷静に返せたらいいけれど、動揺していて何も言葉が出てこない。


 「…嫌だった?」


 反応がない私に聞いてくる。困っているだけで全然嫌じゃない。ふるふると首を横に振って応える私の顔は赤くなっているだろう。


 ヴィンスは赤くなっている私の顔を見て色々と察したのか、ふっと嬉しそうに笑うと私の手を握った。


 「これだったらいい?」

 「っどちらでも……」


 返答に困る質問に何とか返事をしたところをヴィンスに耳打ちされる。


 「ニーナ、休暇楽しんでね」

 「〜〜っ!……ヴィンスも、ね……」


 学園が始まってからヴィンスと一緒に過ごす時間も多かった。暫く会えないなんて始めてなので、私もこの繋いだ手で会えない分の充電しておこうと思うのだった。




―――――




 「ニーナ元気でね。また新学期にね!」

 「うんっリリーも元気でね!」


 終業式にリリーと抱き合って挨拶をする。リリーは家族よりも過ごす時間が長かったのでは、と思う程一緒にいたので一ヶ月も会えないのが本当に寂しい。


 「2人共またな。新学期からもよろしく」

 「うんっこちらこそ」

 「また新学期にね!」


 レオとも挨拶を交わす。レオにも1学期は本当にお世話になった。2学期からもまたよろしくしたい。


 他のクラスメイト達にもまたね、と挨拶をして学園を後にした。ニーナと入れ替わってから通っていた学園も1学期が終わったのだと思うと感慨深いものがある。




 「お母様、ただいま戻りました」

 「お帰りなさいニーナ。学園おつかれさま」


 お母様は相変わらず甘々で、私の頭を撫でながら「1学期よく頑張ったわね」と労ってくれた。


 「明日は朝から領地へ向かうから、この後サラも呼んで一緒に支度をしましょう。領地へは途中の休憩も入れて明後日の夕方には着くかしら。お父様もルークも向こうで待っているわ」

 「お父様とお兄様に会うのも久しぶりですね」

 「2人共忙しくしていたものね。最近やっと落ち着いてきたそうよ」


 以前、新たな鉱脈が見つかって忙しい時期に私が倒れたからと王都まできてくれた。そのあと一ヶ月程社交の場に顔を出したりとした後は仕事の為また領地へ戻っていたのだ。


 「そうね、ルークの時間が空いていたら、向こうで色々連れて行ってもらうといいわ。乗馬も出来るわよ」

 「わあ!是非やってみたいです」


 お母様の提案に心を躍らせる。お兄様との交流も深めて色々連れて行ってもらいたい。


 自室に戻り、お母様達と支度を始める前に自分でもいるものを纏めておこうと準備する。動きやすい服に靴、正装も1着はいるだろうか。馴染みがない為、普段身に付けていなかったアクセサリー類も一応見てみる。


 (これは…?)


 その中に小さなアンティークの箱があり、一際厳重に保管されているものがあった。手に取ってみるとカランと中に何かが入っている。鍵は掛かっているようだけれども鍵穴は見当たらない。箱を手に取ってくるっと回して見ている。


 すると淡い光を放ち、共にカチッと音が鳴った。


 「えっ?」


 (鍵が開いた?)


 どういう仕組みなのだろうと気になりながら、恐る恐る箱を開けてみる。


 「……魔法石?」


 中には黒っぽい、ネックレスに出来るよう加工された石が仕舞われていた。前に博物館でみた魔法石に似ている。多分、というより絶対魔法石だろう。手に取って見てみるが私にはこの石に魔法が込められているのか、魔法が込められていたにしても何の魔法かは当然分からなかった。


 (()()()の大事なものかな?)


 前に魔法石はお守りで持つ人が多いとヴィンスが言っていた。()()()もそうだったのかなと、私が触れるのも躊躇われた為とりあえずその石を元に戻しておく。箱に仕舞うとまたカチッと鍵が閉まった。


 (不思議な箱…)


 元にあった場所へ戻したところにノックの音が聞こえる。私が返事をすると、お母様とサラが入ってきた。


 お母様にさっきの魔法石の事を聞きたかったが、サラに聞かれて不思議に思われてもよくないかなと思い留まった。特に急いでいる訳でもないので今度時間のある時に改めて聞いてみようと思う。


 その後は手際の良いサラが荷造りをほとんど終えてくれて、領地への準備も完了したのだった。




―――――




 早朝、門の前に停まっている馬車の1つに乗り込む。


 「行ってきます!」

 「留守をお願いしますね」


 お母様と、執事のヘンドリーに挨拶をし出発した。領地では領地での使用人がいる為、少人数での出発だ。


 サラも今日の宿泊場所に着いたらそこから休暇に入るそうなので、領地ではまた別の侍女がお世話をしてくれるそうだ。サラがいつ休むのか心配になっていたので、明日からしっかり体を休めて欲しいと思う。


 馬車からの景色がどんどん自然豊かなものへと変わっていく。その景色も自分の元いた世界とは違うのが珍しくて飽きない。


 時折、お母様と元いた世界の事や学園での事を話しながらの馬車の旅は、あっという間に時間が過ぎていった。



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