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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

季節モノ

バレンタイン

作者: 中村翔


2/13───バレンタイン前日

はぁー。はぁー。

息が白く燃ゆる季節。

私はというとチョコレートと格闘中。

チョコレートの甘さを自分に置き換えて。

「あとは。冷蔵庫に入れてっと。」

これで明日にはチョコレートができるはずだ。

そういえば愛犬の散歩を忘れていた。

こんなに暗くなっていくものか?

まあいいか。行ってもいいや。

そんなことを考えつつリードを握る。

「こら!そんな引っ張るなって!」

私の腕を引きちぎる気だろうか?

「あっ!」

リードを奪って走り去ってしまった。

「もー!誰が迎えに行くと思ってるんだ。」

愛犬の走っていった方へと歩み寄る。

がつがつ。ピチャ。

「何食べてるの?エサ足りなかったかな...?」

ガツ。

愛犬の後ろに見えるのは。死体?

「うっ、うぁ。」

生きてる!救急車はえっと。

グサっ!

携帯を取り出した...瞬間刺される。

自分のお腹が死ぬほど熱い。

そっか。死ぬほどじゃなくて死ぬんだ。

意識が混濁してるなか手を捕まえた。

だがそれは無意味。意識は沈んで浮かばない。

2/14───バレンタインデー

「う、ん。」

今日はやけに寝起きが悪い。

もっと寝てたい。もっと。も、っ、と。

ガバっ!

「なんか嫌な夢見たような?まあいいか。」

ぎぃー。

「おーい!チョコレート冷蔵庫に忘れてるよ」

そうだった。

チョコレートを包装してっと。

カバンにチョコが3つ。

「いってきまーす!」

勢いよく自転車を漕ぎ出す。

息を白く巻いて走る。

まるでタバコでも吸ってるようだ。

はぁはぁ。ふう。

ガチャン。

駐輪場を後にして教室へ向かう。

石炭ストーブの香りが鼻をつく。

「久々の学校。あったかいなー。」

とりあえずチョコ一個。

隣の席の引き出しへぶち込む。

「どーん!」

誰もいないのをいいことに勢いに任せてぶち込む。

残りチョコレート二つっと。

キーンコンカーンコン。

生徒が登校してきた時間。

やはり気分がすぐれない。

保健室へ退避!

保健医はいない。

ここで二つ目投入!

保健室の引き出しのなかに勢いよくぶち込む。

(どーん!)

流石に声を大にできない。

後一個。

ベッドに寝転びながら封を開ける。

「まあ、自分へってことで。」

パクリ。

甘くて頭痛がする。

パクリ。

苦くて夢見心地。

パクリ。

もう何も考えられない。


『今日未明。廃校になった中学校に侵入したと見られる女性が死体で発見されました。チョコレートに毒や薬などを混ぜて服用したと見られており・・・』


───ハッピーバレンタイン

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― 新着の感想 ―
[良い点] こわ…… オチがしっかりとあってすごく良い! [気になる点] 最初の夢は何だったんだ?
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