二人の休日
颯馬は20分前に公園に着いていた。おそらく昨日の夜のせいだ。
昨日、恥ずかしまくって家に帰ると、
「どうしたの〜?好きな子となんかあった?」
と落ち着いた口調だが興味津々なのがすぐに分かる声量と勢いで聞いてきた。
聞いてきたのは、姉の加藤 瑠愛。自称恋愛マスターだ。そう、自称だ。
「別に何も。」と冷たく返し、洗面所に行き手を洗っていると、
「そんな事言って〜。顔真っ赤っかだぞ〜。」と瑠愛に頬をつつかれた。
呆れと羞恥が混ざったため息を吐くと、
「相談乗る?恋愛マスターの姉がなんでも聞こう!」
と、胸に手を当て誇らしげに言うので、
「はいはい、付き合ってやるよ」と返した。
自分の部屋で『恋愛相談会』なるものが開催された。
参加者は、まあもちろんだが姉と自分だけだ。
部屋を戸を閉じると、娘は開口一番、
「颯馬はその子のことどう思ってるの?」と言った。
いきなりのことに驚いた。すぐに心を落ち着かせ、
「あのなぁ、別に好きでもなんでもねぇ。お出かけしたいって言われたからついてってあげただけだ」
と事実を述べた。
それを聞くと瑠愛は呆れて、
「本当、颯馬はなんでそんな紳士的なのにこんなにも...」と、途中で言葉を打ち切った。
「なんだよ。」と聞くと、
「はっきり言うけど、その子は颯馬のことが好きだぞ。考えてもみろ、女子が好きでもない男子をお出かけに誘うと思うか?」
と、言われた。
確かにそうだ。女性にもプライベートがある。なんの感情も抱いてない男性に
自分のプライベートを見てほしい人などいるとは到底思えない。
だが、自分はそこから好きという感情に至るとは思わない。
単に、俺がクラスメイトに言いふらしたりしない人と信じてお出かけに誘ってくれただけかもしれない。
そんな事を考えていると、
「どーせ、信じてるから誘ってくれたとか思ってんでしょ?」と瑠愛が言う。
(こいつ心読めるのか?)と驚いていると、図星だと気づいたのか、
「そんなに自分の事を好いてくれてないと思うなら、その子から離れればいいじゃんか。
その方が楽でしょ?でももし離れるとしたら、もしその行動をして誰が悲しむかとかは考えた方がいいと思うけどね。」
と放たれた言葉は自分の胸に突き刺さる。
そうだ、ここで離れたらまた古賀は悲しむことになる。幼馴染が俺でも俺じゃなかったとしても
古賀は自分の中の光となる存在を1度失っているんだ。ここで俺が離れたら、古賀は...
そう、考えていると、
「相手のことを考えるのも大切だけど、考えるところを間違えたら、その人を悲しませることもあるからね」
と言い放って、部屋から出ていった。
俺は今までの古賀との思い出と自分の行動を思い出して、ベッドの枕に顔を埋めた。
そして迎えた日曜日。俺は今日古賀に素直な気持ちを伝えようと思っていた。
そんなことを考えていると、
「お待たせー!」と少し遠くから声が聞こえた。
若干体が強張ったが、すぐに体をほぐした。
古賀の笑みを見ると、罪悪感に包まれたが、その気持ちは心から消した。
だが、緊張がほぐしきれず、今日も行った場所はあまり覚えていない。
日が沈み出し、2人で帰路についたころ、
「今日、楽しかったね!」と言われたから、
「そ、そうだな...」と若干詰まりながら返した。
いつ気持ちを伝えようか悩んでいると、
「颯馬くん」
結菜が名前を呼んだ。なんだと思い結菜を見れば、
顔を少し赤に染めて、何か言いたげな口をもごもごさせていた。
「ど、どうした?」と聞き返せば、
結菜がこちらに詰め寄ってくる。
(ほんとにどうした?)と困惑していると、
結菜が抱きついてきた。
「、、??!」
突然の行動に驚きが隠せず足元を崩す。
今の体体勢は相当男子高校生からしたらまずいものだった。
地面に腰をついている自分の上に、結菜が乗っかっている。
早くこの状況から脱却したいが、結菜が口を開き、
「…好き」かなり小さい声だったが確かに聞き取れた。
「颯馬くんの事が...好き、です。」
そう放った結菜の顔はまるで林檎のように真っ赤だった。
呆気にとられていたが、すぐに正気に戻ったが、
なんと返そうか悩んだ。
(あーもう!なんでこんな時にすぐ反応できないんだ!)
と頭の中で自分を責めると、
「...私じゃダメですか?」と放たれた、
その時姉の言葉を思い出した。
『もしその行動をして誰が悲しむかとかは考えた方がいいと思うけどね』
そうだ。ここで離れてどうする。ここで離れたら古賀はどれだけ悲しむ?
俺も気持ちは一緒なんだろ?
相手の事を考えすぎたってそれはただの自己満足じゃないのか?
古賀は俺を求めてくれているんだ。ならその気持ちに答えるべきだろ?
「そんなことねぇよ。俺も、古賀の事、好き、だし…」
最後の方は少し羞恥が現れたが、案外その言葉はスラリと口から出てきた。
古賀の表情を見ると、安堵と歓喜の感情が混じりあった笑みを浮かべている。
その笑みを見て、なんて俺は馬鹿なんだと再確認した。
そして、俺は古賀の背中に両腕をまわす。幸い歩いていたところはあまり開けておらず塀があったので、
そこに寄りかかり、抱きしめあって2人の時間を堪能した。そう、2人だけの時間を。
10分程だった頃だろうか。急に羞恥が登ってきて、俺は古賀に声をかける、
「古賀。も、もう十分だからな。あと単純に恥ずかしい...」
と声をかけると、古賀も正気に戻り、
「はっ!す、すみません!つい調子に乗ってしまい!」
と頭を縦に降り謝ってくる。
その様子が微笑ましく、若干の笑みを浮かべた。
多分その笑みは今までになく、綺麗だっただろう。
そして俺は古賀の手をとり立ち上がって、
「さあ、帰るぞ。俺の大好き結菜」
と調子に乗って言うと
「はい!私の大好き颯馬くん!」と結菜が返してきたので
顔を赤らめたが、結菜はそんなことは気にせず、手を絡めて俺の腕に体を寄せてくる。
ほんとに俺は幼馴染に愛されている。
いや、愛されすぎているな。と感じて、再び帰路についた。
ここまで、ご閲覧ありがとうございました!
自分自身この作品が初めてということもあり、少ない部数で簡潔になりましたが、
今後もいろいろな話を投稿していこうと思うので、是非続けて見ていただけれるとうれしいです!
リクエスト等も受け付けているので、書いて欲しいのがありましたら、
どしどし送ってきてください!
ではまた次の作品で!!
ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!