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剣と魔法と異世界転移と…  作者: 椿 ムラサメ
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大三章   白色の家とエミリ・シュナフォード

ギルドで冒険者として登録を終えた拓真は、ゼレスが教えてくれた元剣を教えていたザノ・シュナフォードが住んでいる大きい白色の家のある場所を教えてもらい向かう拓真であったが、異世界に着いて何も食べず魔力も使いお腹が空いた拓真は、フラフラの足取りで歩いていた。無事たどり着くことができザノ・シュナフォードの弟子になれるのか…

シルスと別れた後、俺はゼレスに言われた通りガースルを出て左に歩っていた。街に初めて入ったときのような、数多くの他種族の人々を改めて見た。その道中色々な店を見た。果物屋や肉屋・魔導具らしきお店それから武器・防具屋,そしてチラホラ見慣れない食べものを焼いて売っている屋台もあり、色々な店が左右に列を成して並んでいた。だが俺は生憎一ゴルも持っていない。冒険者登録はゴルが一つも入らなかったが今は、何も買えないままその大通りをひたすら歩いている。いつしか,腹の虫が鳴るようになった。

「はぁ、お腹すいたなぁ、そういえば転移してから何も口にしてないなぁ」

そんな事を口にして歩っているといつしか目の前にゼレスに教えてもらった、大きな白色の家が左側に見えていた。 

「もうダメだ……」

俺の体は空腹に耐えきれず、白色の家の目の前で倒れた。

「うぅ、ここはどこだ?」

深い夢から覚めるような感覚があり、目をゆっくり開けると、俺は人二人分ぐらいの大きなベットの上に仰向けで寝て居た。

「やっと気がつきましたか、どこか痛むところはありますか?」

俺は声のする方に顔を向けると、そこには歳が俺より大分若い女性が木製の椅子に腰をかけてこちらに微笑みかけていた。

「痛いところは、無い、です。」

「それならよかった。今水を持ってきますね!」

そう言って席を立ち水を撮りに行こうとする彼女を俺は引き止めた。どうしても聞きたいことがあったからだ。

「あの!あなたの名前を聞いてもいいですか?」

「私の名前は、エミリ・シュナフォードです!」

シュナフォード?俺は違和感を抱きながら答ええた。 

「ありがとうございます。俺の名は……」

「クニエダ タクマさんですよね!父から聞きました。」

俺はエドロフトとシルスあとゼレス以外に名前を言った覚えがない。

「エミリ・シュナフォード,あぁ,君はザノ・シュナフォードさんの娘さん?」

「そうです!ザノ・シュナフォードは私の父です。」

その言葉を聞いて絡まっていた違和感の糸がスルスルと解けていくのを感じた。

「父から剣を習う黒髪で剣を持っている若い男の人が来ると聞いていて、家の前で剣を持って倒れているところを見た時は本当にビックリしたんですよ!」

彼女は笑いながらそう話した。多分ゼレスがザノさんに俺のことを話したのを聞いたのだろう。俺は寝ているのも悪いなと思い体を起こそうとする。

「駄ですよ!まだ目覚めたばかりなんですから!」

そう言ってベットに押し付ける彼女。

「で、でもザノさんに挨拶に行かないと。」

「今は、寝てて下さい。父には私から話しておきますから。」

「でも……」

「でもではありません!あなたは今体調が万全では無いんですから、大人しくしてて下さい!」

そう言い毛布をかける彼女。

「ありがとう、じゃぁその言葉に甘えさせてもらうよ。」

「いえいえ、安静にしてて下さいよぉ?私は水を持ってきますので。」

そう言って出て行った。部屋には俺一人と剣が一つあり、窓がいくつもあった。ふと窓から外を見てみると外は暗くなっていた。

「この世界の月は二つあるんだなぁ」

部屋の窓から赤色と青色の月を見つけ,一人部屋の中でそう呟く。

コンコン……ドアを叩く音がした。

「コンコン…… 失礼します、エミリですタクマさん入ってもいいですか?」

「大丈夫ですよ、入ってください。」

「失礼します!水を持ってきました!」

「ありがとう‼︎」

俺はそう言い、彼女から水を手渡しです受け取った。

「そういえば、ザノさんってどこにいるの?」

そう聞くと彼女は残念そうに。

「今日はいないんですよ。急遽魔物狩りの応援に出てしまって。」

「じゃあこの家には他に誰かいるの?」

「いえ,私とタクマさん以外誰もいません。」

俺はその話を聞いて少しドキッと胸騒ぎがした。二十五年間生きてきて初めての経験だ。俺が返事に困っていると、彼女が口を開きこう聞いてきた。

「今日の夕食は何がいいですか?」

俺は、手厚く看病してもらった上に夕食をご馳走すると言われ、内心このままではまずいと思い、こう話した。

「看病してもらった上に夕食もご馳走されては申し訳ないよ!食事はどうにか自分でやりますよ!」

そう言うと彼女は少し怒り顔で。

「父から夕食も出してやれと言われていて、これくらいさせてください‼︎」

「でも……じゃ、じゃあ,俺にも夕食の手伝いさせてください!」

そう言って俺は彼女に熱い目線を送った。

「しょうがないですね、そんな熱心に訴えかけられたら断れないじゃ無いですか。」

「ありがとう!看病してもらった分バリバリ手伝うよ!」

そう言って俺はベッドから飛び起きた。

「じゃあ,改めてよろしく!俺は邦枝 拓真、気軽に拓真でいいよ!」

「私はエミリ・シュナフォード気軽にエミリでいいですよ!」

そう言って握手を交わした。俺はエミリに厨房に連れてって欲しいと頼み、二人で一階にある厨房にあるって行った。廊下には電気の明かりに変わり黄色い魔法石らしきものがぶら下がっていた。

「あの〜この上についているものはなんですか?」

「これは発光石と言って、光を放つ魔石ですよ」

「触っても大丈夫な物なの?」

「触っても大丈夫ですよ!触ってみます?」

「触ってみたいです‼︎」

俺がそう言うと、エミリが発光石に左手を向け、【ウィング】そう小声で唱えた瞬間、窓も開いていない廊下に風を感じた。するとその風達はだんだん集まり,小さいトルネードのようになり、発光石を持ち上げ、慎重にエミリの手元まで帰ってきていた。

「はい、どうぞ発光石です!」

俺はエミリから発光石を受け取ったが、今目の前で見た光景に衝撃を受けていた。

「さっきのは何ですか⁉︎」

「【ウィング】のことですか?」

「そう!そのウィング?ってなんですか?」

俺は無邪気な子供のような目でエミリを見つめる。

「これは、風の初級魔法で【ウィング】を応用したものです‼︎」

「魔法ってそんなこともできるんだ‼︎この世界の人は誰でも魔法が使えるの?」

「誰でも使えるわけではないんですよ。」

俺は、その話を聞いて改めて魔法の才能に恵まれている事にありがたみを感じていた。だが、エミリには「俺が、三色の得意魔法が使えることは黙っていよう。」と心の中で決心した拓真であった。

一通り発光石を触りエミリに返し、また、厨房に向かう道のりに戻る拓真とエミリ、俺はその道中、緊張の余り話し掛けることができないまま、厨房に着いてしまっていた。すると、エミリから質問が飛んで来た。

「そう言えばタクマさんって料理できるんですか?」

そう言いって俺の方を、機体を乗せた視線を送ってくるエミリ。

「一応できるよ。」

「そうなんですか‼︎何が得意なんですか?」

エミリは食いつき気味で返答した。

「俺の得意な料理は、和食かな」

俺は笑いながらそう言い返すと、エミリは不思議そうにこちらを見つめている。

「ワショク?ってなんですか?」

よくよく考えれば、俺が異世界人だなんて知る由もないシルス俺は咄嗟に嘘をついた。

「俺の育った街では和食が、料理の基本だったんだ。」

「そうなんですね!でも聞いたことないです和食かぁ、食べてみたいです!」

エミリは手を胸の前で組み星に願うようにそう言った。

「じゃあ、今日は俺が作ろうか?」

「ダメですよぉ!タクマさんはお客さんで体調も良くないんですから、今日は私が作ります‼︎」

「いやいやでも、和食食べてみたいんでしょ?」

俺は笑顔で言うとエミリは照れ隠しの如く小声で「はい」と言ったので今日は俺が作る事になってエミリの了承を得た。そして、エミリに厨房の使い方を教わった。食材は見慣れない肉や魚・野菜などがあった。調味料は生憎、味噌らしきものは一つも見つからなかったが、塩・醤油・みりん・砂糖に似た調味料は見つけた。

「今から、肉じゃがと魚の照り焼きを作るね‼︎」

「ニクジャガ?テリヤキ?ってどんな食べ物なんですか」

エミリは、不安そうにこちらを見ている。

「できるまで椅子に座って待ってて!

できたら持っていくから‼︎」

俺は笑顔でそう言い、不安そうに見詰めるエミリを厨房の横の食事を食べるであろうテーブルの椅子に座らせ、早速調理に取り掛かった。この世界にもフライパンや、鍋といった調理器具の概念があり俺は手際良く鍋で豚のような肉の肉じゃがと、フライパンでカヒと言う魚の照り焼きを作った。作り終え、よそるため皿を探して棚を開け閉めしていると、箸やナイフ・フォーク、スプーンなどが入ってる棚を見つけ、丁度良いと思い二人分の箸、ナイフ、フォークを取り皿を探した。皿は隣のやや大きめの引き出しに入っていて、二枚取り盛り付けてエミリが待つテーブルに料理を運んで置いた。

「お待ちよ!この大きな皿にに入ってるのが肉じゃがで、小さい皿に盛り付けてあるのがカヒの照り焼きだよ!」

「コレがニクジャガでコッチがテリヤキと言うわ食べ物なんですね!美味しそうです!食べてもいいですか?」

「どうぞ、召し上がれ‼︎」

「それでは、いただきます…」

覚悟を決めた様なエミリは、恐る恐るフォークを取り肉じゃがと照り焼きを少しずつ取りゆっくりと口に運んだ。

「こんな美味しい料理食べたこと無いです‼︎」

そう言うとエミリは、恐る恐る進めていたフォークが次第に速くなっていき、テーブルに置いてあるバケットに入っているパン取り一緒に食べ進んでいた。この世界ではパンが主食らしい。いつしか皿と鍋の料理が消えていた。夜もだいぶ更けてきた。俺は料理の後片付けをして、エミリに教えてもらったお風呂がある場所に足を運んだ。教えてもらったお風呂場に着くと俺はそのデカさに驚愕した。真ん中に直径十メートルぐらいの円型の浴槽とシャワーらしき金属のヘッドとその真ん中に青色と赤色の魔石がついているシャワーが五人分左の壁に並んでいた。

「確か青が水で赤がお湯が出るのか。」

そう言って赤い魔石に左手を翳すと息良いよくお湯が出た。お湯は緩すぎず暑すぎない丁度いい感じだった。俺は異世界のシャンプーとリンスー、石鹸を使ってやや長めの髪と体を洗った。体を洗い終え真ん中の浴槽に入った。浴槽のお湯は熱いぐらいで丁度良かった。体も温まり浴槽を出て着替えようとお風呂を出ると、寝る用の服と長めの白いタオルが用意されていて、タオルの上に紙が乗っていて、紙には、タオルや着ていたものはドア近くのカゴに入れてください!と書いていた。俺はそれに着替えドア近くの竹を編んで作った様なカゴに使ったタオルや着ていた服を入れてその部屋を後にした。そして、介抱されていた部屋に戻り、整えられているベットに入って、目を閉じながら明日から始まるであろうザノさんの稽古について少し不安をいだいると、いつしか眠っていた。

……マ  タ……  タクマ‼︎起きなさい‼︎

聞き覚えのある声が聞こえ、ゆっくりと目を開けた。

「やっと起きましたか。」

目を開けるとみに覚えがない部屋とサリアームの姿があった。確かに最後ザノさんの家のベットで寝たはずなんだが、目に入っているのはどこかの小部屋ような場所だった。ただ不思議なのは、暖かくこゝろが穏やかになる光が部屋全体を包んでいた。部屋は真っ白い石の様な質感の床と薄クリーム色の石の様な質感の壁だった。するとサリアームがこちらを見て話をし始めた。

「ようこそ、ここは私が作り上げた空間、そうですね…【ファジールーム】とでも言っておきます。」

「【ファジールーム】?俺はさっきまでザノさんの家で寝ていたんだがここはどこだ?元に戻してくれ‼︎。」

「大丈夫です、ここは夢と物質の間の世界、精神はこの世界にあるが拓真の体は、ザノの家で寝ているから安心しなさい。」

「そうなのか!なら問題ないな。で、なんで俺をここに?」

「それは、貴方の成長を測るためだ。」

俺は成長を測ると言う意味がイマイチわからず聞き直した。

「俺の成長を測る?」

「そうです、成長を測るのだ。例えばその剣……」

そう言ってサリアームは俺の後ろを指差した。それはその指差した先を振り返り見た。そこには、サリアームから授かった剣がガラス張りのケースに入っていた。

「なぜこの剣がここに⁉︎」

「その剣は貴方のこゝろそのものなので剣の持ち主が成長する度、このファジールームに呼び記録とアドバイスをするのがここファジールームの役割なのです。」

何か言い忘れたことに気づいたサリアーム。

「あぁ、それと、貴方の剣はここに着いたら自動的にそのケースに入るようになっています!」

「なんであのケースに入ってるんだ?」

「あのケースは剣の能力値を計算して魔力板に自動で更新してくれる便利なものなんですよ!」

胸を張り自慢げに話すサリアーム。すると、部屋の中の時計を見て「コホン……では今日はここまでにしておきましょう。」

サリアームがそう言って手を一回叩くと、意識が遠のくのを感じる……次第に明るかった部屋は黒色に染まっていき……目の前が、真っ暗になった所で意識が途絶えた……

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