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其の⓳

「編集さん、おつかれ様です」


「こんばんは、森乃さん。いかがお過ごしでしょうか。本日(昨日?)5月1日は労働者の日、メーデー(May Day)です」


「へえ、そうなんですか。義務の履行ばかり迫るワルイ資本家に労働者の権利を啓発するよい機会ですね」


「ええ、まったくです。それでは二回クビ事件PART8をどうぞ」


これまでのあらすじ


ゲーム会社に入ったクマさん。入社5日目でクビになるもなんとか復帰。正直、そのままバイバイキーンでもよかったが、担当作品が面白そうだったこと、展示会に出展したかったこともあり、エベレスト級のプライドを必死に抑えつつ、「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ」を脳内に再生しつつ、ノドまで出かかった「バカと仕事できるか。クマさん偏差値70未満イヤ(編集部註:おまいう)」を懸命に呑み込み、下手に打って出たのであーった。


登場する人物・団体


ゲーム会社…クマさんの働く(正確には働いていた)会社。法人を装う個人事業主とのちに発覚。入口は指紋認証、社内に監視カメラ多数、大型タイトルの販売実績があるが、社内の人間は全員がブラッディー・パペットだとクマさんはにらんでいる。


ブラッディー・パペット…操り人形のこと。外見と中の人が一致しない。ピンと来ない方は、マトリックスや攻殻機動隊、オルタード・カーボン(Altered Carbon)などを思い浮かべてほしい。


ワニさん…クマさんの上司。香港人。日本語・英語・中国語(普通話・広東話)ペラペラ。面接時はハードコアゲーマーの設定だったが、一緒に仕事をしていくと何も分かってないことが判明。かなりの美人。キレると一方的にまくし立てる。


ラマさん…クマさんの同僚。香港人。ワニさん同様いろんな言葉が喋れる。日本語はクマさんより上手い。ゲームのパブリッシングの経験が豊富にある、という設定だったが、今はもうよく分からない。「10分後に会議があるので、今少しなら大丈夫です」と電話口で言うが、そんな会議はない。小動物みたいでカワイイ。


ハゲタカさん…提携先の商社(版権あーだこーだで知られるアノゲーム会社の系列)の御仁。マシンガントーク。電話に出ればいつも言質を取られ、よくわからん約束をさせられるのでクマさんは苦手。


いつにも増して前置きが長くなるのを承知で、ひとつ説明したい。共通言語のことだ。下品で申し訳ないが、勤め人なら「おしりが決まってない」=「締め切り(や納期など)が決まってない」と認識する、とはご理解いただけるはず。


同様に、金融系(に限らないかもしれないが他はクマさん知らない)なら「刺された」=「当局に法令違反を指摘された」と認識する。


つまり、業界用語とでもいうべき言葉があり、業界人ならそのような言葉は全員が一意に使い、認識する。逆に、そういった言葉を分かってないと「曲者!!であえー、であえー!!」と囲まれ、ハリボテクンの烙印を押されてしまう。


「はーい、ストーーップ!前置きでクマさん限界。暑い暑い今日暑い」


「だからあまり丁寧に書くと後半バテルって言いましたよね森乃さん」


「いまさらそんなこと言われても困るクマ…」


「でも、なんとなく次に何を言いたいのか分かりました。ワニさんが業界用語を理解してなかった、化けの皮が剥がれた、でしょう?」


「編集さん、ファイナルアウンサー?」


「ファイナルアウンサー」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………(今日はコレで尺を稼ぐ作戦か…)」


「正解!!!」


「やはり」


「ハードコアゲーマー設定のワニさんが、まったくのトーシロと判ったとき、ひな壇から全力でコケる人たちの気持ちが分かりました」


「なるほど。だから偏差値70未満イヤと?」


「アレは……ウソです。偏差値が当てにならないのは経験知ですから。まあでも普通は経歴と中身って一致しますよね」


「ええ」


「昔の上司・同僚がケンブリッジ大学・オックスフォード大学の数学部卒だったんです、300年くらい生きてんじゃないかってくらいヤバかった」


「今回は違ったと?」


「違うにしても、少し違うのと、けっこう違うのと、全然違うのでは差がありますよね」


「どのくらい違いました?」


「英検1級持ってるって言ってたのに、アルファベット書けませんくらい」


「ははは。そんなに?」


「少なくとも私には何も知らないように写りました。『教えて 教えてよ その仕組みを 僕の中に 誰がいるの?』の『僕』を『君』に変えたのが当時の私の心境です」


「(イマイチよく分からない)まあいいでしょう。ではまた次回に」


〈つづく♪〉


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